ウクライナにとってTikTokはTelegramよりも危険
中国のソーシャルメディア大手であるTikTok(ティックトック)は、ロシア発のメッセージングアプリ「Telegram」よりも、ロシアのプロパガンダや偽情報を拡散するという点でウクライナにとって「より危険」であると、ウクライナ国家偽情報対策センター(CPD)副所長のアリーナ・アレクシーエワ氏は述べています。
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ウクライナ国内の安全保障・インフラ関係者でTelegramの利用が禁止に
ウクライナではフェイク情報を拡散するプラットフォームとして一般的に、Telegramが対象になっていますが
ウクライナは、進行中の戦争の中でユーザーにリスクをもたらすとして、外国製のソーシャルメディアアプリを注視しています。
9月初旬、ウクライナは国家および安全保障機関、軍関係者、重要インフラ施設の従業員が使用する公式デバイスにおいて、Telegramの使用を禁止しました。
ウクライナ国内のフェイク情報拡散の為にTikTokやFacebookなど様々なSNSが利用
TikTok、Facebook、Instagram、Threadsといったプラットフォーム全体に偽ニュースが広がっています。特定のプラットフォームに焦点を絞りすぎると、ロシアのプロパガンダがデジタル空間全体で拡大し続けてしまうという危険があるとされています。
今年初め、CPDはロシアの偽情報を拡散するために利用されている80以上のTikTokアカウントのリストを公開され、
そのリストには、ロシア国営メディアであるTASS、スプートニク、RIAノーボスチなどの公式アカウントが含まれています。
9月初旬、TikTokはRTやTV-Novostiといった国営ロシアメディアと関連するアカウントを、11月の米大統領選挙を前にした安全性の懸念から、数十件にわたり禁止しました。
「もしTikTokが米国で本当に利用できなくなるのであれば、それは我々が同様の議論を始める合図になるでしょう」と、CPDの責任者であるアンドリー・コヴァレンコ氏は述べています。
また、ロシアは有害なコンテンツを広めるために、いわゆる「ボット」を作成し、現地ユーザー間での拡散を図っていると付け加えました。
2022年時点で、TikTokのウクライナにおけるユーザー数は1050万人を超えていましたが、戦争開始後のユーザー数の変動は不明です。ウクライナ国内のTikTokユーザーには、ティーンエイジャーや若年層だけでなく、55歳以上のユーザーも含まれています。TikTokは北京に拠点を置くByteDanceが所有しており、ロシアと関係が深い国家に本社へ拠点を置いている点も注意が必要です。
参照
TikTok more dangerous to Ukraine than Telegram, say local disinformation experts
SNSで拡散される偽情報や世論工作
米 OpenAI(オープン AI)はAI and Covert Influence Operations:Latest Trendsという報告書を発表し、報告書の中でロシアや中国が、ChatGPT(チャットGPT)を含むAIツールやAIモデルを、国内での世論工作に利用したり、福島県のトリチウムの海洋放出を「汚染処理水」としてSNSや特定サイトでのネガティブキャンペーンにも利用されている事を指摘しました。
また、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の夫人、オレナ・ゼレンスカさんが480万ドルの「ブガッティ・トゥールビヨン」を購入したという偽情報がSNSやロシア製のニュースサイトで出回り、調査の結果このキャンペーンにはロシアが絡んでいると専門家に指摘されています。