GartnerがEDRを重視する理由とMagic Quadrantについて解説
リサーチカンパニーであるGartner(ガートナー)が毎年発表するMagic QuadrantにはEDR部門があり、EDRベンダーを相対的に評価しています。
企業がEDR製品を導入する際の参考になりますので、EDR製品の検討をしている方は参考にしてみると良いでしょう。
目次
Gartner Magic Quadrantとは
Gartner Magic Quadrantは、世界的に著名なリサーチ&アドバイザリ企業であるGartnerが提供する、企業のIT製品やサービスの評価レポートです。このレポートは、各業界の主要なプレイヤーを4つの象限に分類し、各社のビジョンの完全性と実行能力に基づいて評価しています。特に、ITセキュリティ分野においては、EDR(Endpoint Detection and Response)ソリューションの評価が注目されています。
Gartner Magic Quadrantは、企業が最適な製品やサービスを選定するための指標として広く利用されており、その評価は業界に大きな影響を与えています。
Gartnerの活動
Gartnerは、IT業界におけるさまざまな領域でリサーチを行い、その結果を企業向けに提供しています。Gartnerの活動は、技術の進化や市場の変化を分析し、企業が競争力を維持し、成長するために必要な情報を提供することにあります。
セキュリティ分野においては、最新の脅威や攻撃手法に対する洞察を提供し、企業が適切な防御策を講じるためのガイドラインを提示しています。
Gartnerが毎年開催するカンファレンスでは、世界中のセキュリティエキスパートやリーダーたちが集まり、最新のサイバーセキュリティトレンドや技術について議論しています。こうした活動を通じて、Gartnerは企業が最適なセキュリティ戦略を構築するための情報を提供しています。
Gartnerがセキュリティに対して言っていること
Gartnerは、ITセキュリティ分野において、EDRの重要性を繰り返し強調しています。特に、従来のアンチウイルスソフトウェアやファイアウォールだけでは、今日の高度なサイバー攻撃に対処することが難しいと指摘しています。Gartnerは、エンドポイントセキュリティが企業の全体的なセキュリティ戦略において不可欠であるとし、EDRソリューションがその中心的な役割を果たすべきであると言います。
EDRが重要な理由と方向性
EDRは、現代のサイバーセキュリティにおいて重要な役割を担っています。Gartnerは、エンドポイントが企業のネットワークの中で最も脆弱な部分であると指摘しており、ここで発生する脅威を迅速に検出し、対応することが企業のセキュリティ戦略において極めて重要であると述べています。特に、リモートワークの普及やクラウドコンピューティングの拡大に伴ってエンドポイントへの攻撃が増加しており、EDRの重要性がさらに高まっています。
Gartnerは、EDRソリューションがこれまで以上に高度な脅威に対処する能力を持つことを求めています。例えば、AIや機械学習を活用した脅威の予測分析や、自動化されたインシデント対応が求められるようになっています。また、エンドポイントの監視だけでなく、XDR(Extended Detection and Response)と統合することで、ネットワーク全体のセキュリティを強化することが重要であるとしています。
これまでのGartner Magic Quadrant EDRのレポート
Gartner Magic Quadrantは、EDRソリューションの評価においても重要な役割を果たしています。過去数年間のレポートでは、いくつかの企業がリーダーとして評価されており、そのポジションを維持し続けています。
2021年
2021年のGartner Magic Quadrantでは、CrowdStrike、SentinelOne、そしてMicrosoftがリーダーの位置を占めました。これらの企業は、強力な製品戦略と実行力を持ち、企業が直面する複雑なセキュリティ課題に対応するための包括的なソリューションを提供しています。特に、CrowdStrikeはそのクラウドベースのアーキテクチャと迅速な脅威対応で高く評価されました。
2022年
2022年には、Microsoft Defender for Endpointがさらに強力なプレイヤーとして挙げられました。Microsoftは、Windows環境との高度な統合とコスト効率の良さが評価され、リーダーの一角を担いました。また、SentinelOneはAIと機械学習を活用した高度な脅威検出機能で注目を集めました。
2023年
2023年のレポートでは、CrowdStrikeが依然としてリーダーのポジションを維持しつつも、XDRへの移行を進める中で他の企業との差別化を図りました。XDRは、EDRの機能を拡張し、ネットワーク全体のセキュリティを統合的に管理する新しいアプローチです。これにより、企業はより包括的なセキュリティ戦略を実現できるようになっています。
この年のレポートでは、ある大手小売業者がCrowdStrikeのXDR機能を活用して、サプライチェーン全体のセキュリティを強化し、サイバー攻撃からのリスクを大幅に軽減したことが紹介されました。
まとめ
Gartner Magic Quadrantは、企業が最適なEDRソリューションを選定するための重要な指針を提供しています。Gartnerのリサーチによれば、EDRは現代のサイバーセキュリティ戦略において欠かせない要素であり、特にリモートワークの普及や新たな脅威の登場に伴い、その重要性が増しています。
今後もGartnerのリサーチを注視しながら、最新のEDRソリューションを活用して、企業のセキュリティ体制を強化することが求められます。
また、Gartnerのリサーチは、単なる製品の選定指標にとどまらず、企業が直面するセキュリティリスクを理解し、それに対する最適な対策を講じるための重要なガイドラインでもあります。特に、セキュリティの脅威が日々進化している現代において、EDRソリューションは企業の防御ラインを強化するための欠かせない要素となっています。
Gartnerが評価するEDRソリューションは、単なるセキュリティツールではなく、企業全体のリスク管理戦略の中核を成すものであり、これを正しく選定し、効果的に運用することが企業の成功に直結することをGartnerは強調しています。