ESETのEDRってどうなの? 概要から運用管理まで解説
企業に襲いかかるサイバー攻撃が高度・巧妙になっている今日、注目されているのがEDR(Endpoint Detection and Response)ソリューションです。今回は、特に高評価を受けているESET(イーセット)について、その概要、機能からそしてセキュリティ戦略に至るまで詳しく解説します。
目次
ESET EDRの全体像と概要
ESET(イーセット)は、スロバキア発の代表的なエンドポイントセキュリティを強化するための包括的なソリューションのブランドです。中小企業向け製品や大企業向け製品、個人向け製品など様々なラインナップがあります。
基本的なエンドポイント保護をカバーするものから、XDRとしての機能をそなえたものまで ニーズに合わせたソリューションの選択が可能です。
ESETのEDRの基本的な機能
ESETの EDRは、次のような機能を基本とします。
- 管理コンソール
- 最新のエンドポイント保護
- ファイルサーバーセキュリティ
- フルディスク暗号化
- 高度な脅威対策
これに、製品によってはXDRや多要素認証、メールセキュリティなどが加わり、より盤石なエンドポイントセキュリティを実現します。
従来のアンチウイルスの違い
従来のアンチウイルスソフトは、既知のウイルスを検出・除去するのが主な機能ですが、ESETなどのEDRは、それに加えて下記のような優位性があります。
- 未知の脅威にも対応可能
- 脅威の進行をリアルタイムで監視
- 高度な脅威インテリジェンスを活用した予測
ESETの機能解説
脅威の検知と対応方法
ESET EDRは高度なアルゴリズムを用いて、エンドポイント上の異常な挙動を検出します。脅威が検出されると、自動的に対応策が実行され、脅威を隔離・排除します。
こうした対応がクラウドベースで実行されるため、柔軟かつ最新の対策が可能です。
リアルタイム監視
リアルタイム監視機能により、ネットワーク内のすべてのエンドポイントを常時監視し、脅威の兆候を早期に発見します。
汎用サーバを通過する企業データの監視も可能です。
脅威インテリジェンス
世界的にもかなり権威のあるESETの研究所から詳細・高度なインテリジェンスの提供がなされます。
そのため、APTやボットネットをはじめとするさまざまな攻撃を検出・防御することが可能です。
ESET EDRと他製品の比較
ESETと他社のEDR製品を比較してみましょう。
Cybereason
Cybereason EDRはWindows、Mac、LinuxすべてのOSに対応し、数万台のリアルタイム監視が可能です。クラウド上のAIエンジンによる情報分析により、未知の攻撃を検出します。
また、日本語対応にも強みを持ち、インシデント発生時の状況把握のしやすさに定評があります。
Microsoft Defender
Windowsに標準搭載されているセキュリティ対策ソフトで、Windowsを利用していれば無料で使えます。Microsoft 365を利用しているユーザはMac OSやAndroid、iOS端末でも使用可能です。
ただ、マルウェア検出のロジックがパターンマッチングに依存しているため、未知のマルウェア対策としてはいまひとつなところがあります。
Symantec
アクティブディレクトリ脅威保護機能で、機密情報漏洩を防止します。これは、アクティブディレクトリの囮を配置し、危険なマルウェアやサイバー攻撃が機密情報にアクセスしずらくします。
検知においても機械学習が用いられ、高精度の検知が可能です。
ESET EDRの導入方法
導入に必要な条件と準備
ESET EDRを導入するためには、まず企業のセキュリティポリシーの確認と、導入計画の策定が必要です。また、必要なハードウェアとソフトウェアの準備も行います。
導入のステップ
導入は以下のステップで進めます。
- 導入計画の策定
- 必要な環境の準備
- ソフトウェアのインストール
- 初期設定とテスト
運用開始までの流れ
運用開始前には、すべてのエンドポイントに対してテストを実施し、問題がないことを確認します。その後、正式に運用を開始し、定期的なモニタリングを行います。
ESET EDRの価格
ESET EDRは、法人向けであれば主に下記のプランがあります。
- ESET PROTECT ENTRY
- ESET PROTECT ADVANCED
- ESET PROTECT COMPRETE
- ESET PROTECT ELITE
- ESET PROTECT MDR
基本的に、ENTRY、ADVANCED、COMPLETEが中小企業向け、ENTRY以外が大企業向けと紹介されています。
価格については問い合わせる必要がありますが、ESETではトライアルの提供がされており、無料で試すことができるためまずは30日間使ってみるというのも手です。
ESET EDRの運用管理に関して
ESETの運用管理について、下記を押さえておきましょう。
運用中のトラブルはサポートチームへ
運用中に発生するトラブルに対しては、ESETのサポートチームが迅速に対応します。また、定期的なシステムチェックとアップデートを行い、問題の早期発見・解決を図ります。
ログの収集と分析を効果的に
ESET EDRは詳細なログ収集機能を備えており、収集したログを分析することで、脅威の傾向やパターンを把握します。これにより、より効果的な対策が可能になります。
日常管理者の役割を明確に
日常的な管理者の役割としては、システムのモニタリング、定期的なレポートの作成、ユーザー教育などが挙げられます。これにより、セキュリティ体制を強化しましょう。
ESET EDRのセキュリティ戦略
侵入検知と防御のメカニズム
ESET EDRは、高度な侵入検知システム(IDS)と統合されています。このシステムは、ネットワークトラフィックをリアルタイムで監視し、異常なアクティビティを迅速に検出します。さらに、検出された脅威に対しては、即座に防御策を講じることで、被害を最小限に抑えます。
サイバー攻撃への対応策
ESET EDRは、サイバー攻撃の各フェーズに対応するための包括的なツールを提供します。これには、攻撃の初期段階での検出、感染拡大の防止、攻撃後の修復作業が含まれます。これにより、組織はサイバー攻撃に対して迅速かつ効果的に対応できます。
ESET EDRとXDRの統合戦略
XDR(Extended Detection and Response)は、EDRの機能を拡張した次世代のセキュリティソリューションです。ESET EDRとXDRを統合することで、より広範な視点での脅威検出と対応が可能となります。この統合戦略により、組織全体のセキュリティレベルがさらに向上します。
まとめ
ESET EDRは、エンドポイントセキュリティを強化するための強力なツールです。その高度な脅威検出能力、リアルタイム監視、迅速なレスポンス機能により、企業はサイバー攻撃から効果的に防御できます。さらに、他のEDR製品との比較においても、ESET EDRは使いやすさやコストパフォーマンスで優れています。導入方法や運用管理のポイントを押さえることで、どのような規模の企業でもESET EDRを効果的に活用できるでしょう。