NTTスマートコネクトが運営する共用レンタルサーバーサービス「スマイルサーバ」は、2026年7月24日から、収容サーバー「jm9」および「jm10.etius.jp」の全サービスを停止しています。
当初はメンテナンスとして案内されていましたが、7月26日の更新で、対象環境に外部からの不正アクセスを示す痕跡が確認されたことが公表されました。
NTTスマートコネクトは外部の専門機関と連携し、事象の詳細や影響範囲を調査しています。本記事執筆時点の2026年7月27日もサービス停止は続いており、復旧時期は明らかにされていません。
サマリー
- 2026年7月24日18時、jm9およびjm10.etius.jpの全サービス停止がメンテナンスとして案内されました
- 7月25日には作業の長期化が公表されました
- 7月26日の更新で、対象環境に外部からの不正アクセスを示す痕跡が確認されたと発表されました
- 現時点で顧客情報の外部流出は確認されていませんが、調査が完了していないため断定できない状態です
- 外部の専門機関と連携し、事象の詳細と影響範囲の調査が続いています
- 暫定的な代替手段についても、実現可能性の確認が進められています
- サービス停止が長期化する可能性があり、利用企業は事業継続への影響を確認する必要があります
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象サービス | スマイルサーバ |
| 運営会社 | NTTスマートコネクト株式会社 |
| 影響を受けるサーバー | jm9、jm10.etius.jp |
| サービス停止開始 | 2026年7月24日18時 |
| 不正アクセス痕跡の公表 | 2026年7月26日17時20分 |
| 顧客情報の流出 | 現時点では確認されていませんが、調査は継続中です |
| 調査体制 | 外部の専門機関と連携 |
| 代替手段 | 実現可能性を確認中。詳細確定後に案内予定です |
| 現在の状況 | 全サービスの停止が継続中です |
| 復旧時期 | 未定 |
| 個人情報保護委員会への報告状況 | 公表された案内では確認できません |
初報ではメンテナンスとして案内
2026年7月24日18時に公表された初報では、対象は「収容サーバ jm9、jm10.etius.jp のお客様」とされ、全サービスを停止してメンテナンスを実施していると案内されました。
初報の段階では、メンテナンスの理由や具体的な障害内容、復旧の見通しなどは明らかにされていませんでした。
翌25日15時の更新では、作業に当初の想定よりも時間を要しており、完了までの見通しが長期化していると説明されました。
この時点でも、案内上はメンテナンス作業として扱われており、不正アクセスやセキュリティインシデントへの言及はありませんでした。
7月26日に不正アクセスの痕跡を公表
状況が大きく変わったのは、7月26日17時20分の更新です。
NTTスマートコネクトは、サービス停止後に原因究明と安全性の確認を進めた結果、対象環境に外部からの不正アクセスを示す痕跡を確認したと公表しました。
この発表により、単なる設備保守やシステム障害ではなく、外部からの不正アクセスを伴うセキュリティインシデントとして調査が進められていることが明らかになりました。
当初の案内でメンテナンスという表現が使われた理由については説明されていません。不正アクセスが後の調査で判明したのか、安全性を確認するために暫定的な表現を使用したのかも不明です。
ただし、利用企業の情報システム部門が取るべき対応は、通常のメンテナンスとセキュリティインシデントでは大きく異なります。
サービス停止に関する案内が更新された場合は、初報だけで判断せず、その後の情報を継続的に確認する必要があります。
顧客情報の流出は現時点で確認されず
7月26日の発表では、現時点において顧客情報が外部へ流出した事実は確認されていないと説明されています。
一方で、調査が完了するまでは情報流出の有無を断定できないことも明記されています。
これは、情報流出がなかったと確定した状態ではなく、現在までの調査では流出を示す事実が確認されていないという意味です。
不正アクセスを受けた環境では、攻撃者がサーバーへ侵入しただけなのか、ファイルやデータベースを閲覧したのか、外部へ情報を送信したのかをログや通信記録から確認する必要があります。
ログが不足している場合や、攻撃者が痕跡を消去している場合には、情報の持ち出しを完全に否定するまでに時間を要する可能性があります。
共用レンタルサーバーで想定される影響
スマイルサーバの共用レンタルサーバーには、利用企業のWebサイト、メールデータ、データベース、問い合わせフォームの送信内容、アクセスログなどが保存されている可能性があります。
ただし、今回影響を受けたサーバーに具体的にどのようなデータが保存されていたのかは、利用者ごとに異なります。
NTTスマートコネクトは、影響を受けた情報の種類、対象となる契約数、侵入経路、不正アクセスが行われた期間について、現時点では公表していません。
利用企業は、事業者からの調査結果を待つだけでなく、自社が対象サーバーで管理していたデータを確認する必要があります。
Webサイトだけを公開していたのか、メールを利用していたのか、問い合わせフォームやデータベースを運用していたのかによって、想定すべき影響は異なります。
共用サーバー特有の事業継続リスク
共用レンタルサーバーでは、1台の物理サーバーや同一の基盤上に、複数の契約者の環境が収容されています。
このため、基盤側でセキュリティインシデントが発生すると、調査や安全確認のために、複数の利用企業のサービスを一斉に停止しなければならない場合があります。
利用企業側に問題がなかったとしても、事業者側の判断によってWebサイトやメールが長時間利用できなくなる可能性があります。
今回も、jm9およびjm10.etius.jpに収容されている全サービスが停止されており、個別の契約単位ではなく、サーバー単位で影響が広がっています。
Webサイトやメールを共用サーバーだけに依存している場合、サーバー停止がそのまま顧客対応、受注、問い合わせ対応、社外連絡の停止につながります。
情報システム部門は、ホスティングサービスのセキュリティ対策だけでなく、サービス停止時の代替手段も含めて評価する必要があります。
NTTグループの別サービスとの関係は未確認
スマイルサーバを運営するNTTスマートコネクトは、NTTグループの企業です。
NTTグループの別企業が運営するホスティングサービスでは、過去に不正アクセス事案が公表された例があります。
ただし、運営会社、サービス基盤、対象システムが異なるため、今回のスマイルサーバの事案と、他のNTTグループ系サービスで発生した事案との直接的な関係は確認されていません。
同じグループに属するという理由だけで、攻撃者、侵入経路、原因が共通していると判断することはできません。
一方、ホスティング事業者の管理サーバーや仮想化基盤、管理ソフトウェアは、複数の顧客環境へアクセスできるため、攻撃者にとって価値の高い標的になります。
利用企業は、サービス事業者の名称やブランドだけで安全性を判断せず、障害時の情報開示、バックアップ、復旧体制、インシデント対応方針を確認する必要があります。
暫定的な代替手段も検討中
NTTスマートコネクトは、暫定的な代替手段についても、実現可能性の確認を進めているとしています。
ただし、代替サービスの内容、提供対象、開始時期、移行方法は明らかにされていません。
代替環境を提供する場合でも、安全性が確認されていないデータや設定をそのまま移行すると、侵害されたファイルや不正な設定を新しい環境へ持ち込むおそれがあります。
事業者側では、バックアップの安全性、コンテンツの改ざん、管理アカウントの侵害、マルウェアの混入などを確認したうえで移行する必要があります。
利用企業側も、代替環境が提供された場合は、単にサービスを再開するだけでなく、公開ファイル、CMS、管理者アカウント、データベース接続情報などを確認することが重要です。
情報システム部門が確認すべき対応
スマイルサーバのjm9またはjm10.etius.jpを利用している組織は、対象サーバーに保存していたデータの種類と範囲を棚卸しする必要があります。
Webサイトのコンテンツ、問い合わせフォームの送信内容、メールデータ、データベース、バックアップファイル、アクセスログなど、どのような情報が保存されていたかを確認してください。
個人情報や取引先情報が含まれていた場合は、漏洩した可能性を前提とした影響評価も準備する必要があります。
現時点で情報流出は確認されていませんが、今後の調査で影響が判明した場合に備え、対象者数や情報項目を速やかに把握できる状態にしておくことが重要です。
認証情報の変更を検討
対象サーバーで使用していた認証情報については、調査結果を待たずに変更を検討する必要があります。
対象には、サーバー管理画面、FTP、SFTP、SSH、データベース、CMS、メールアカウントなどの認証情報が含まれます。
同じパスワードを他のサービスで使い回している場合は、該当するすべてのサービスで異なるパスワードへ変更してください。
CMSやWebアプリケーションの設定ファイルには、データベースの接続情報、APIキー、メールサーバーの認証情報などが平文で保存されている場合があります。
攻撃者がサーバー内のファイルを閲覧できた可能性がある場合は、利用者が直接入力するパスワードだけでなく、設定ファイルに保存された秘密情報も変更対象に含める必要があります。
Webサイトとメールの代替手段を確保
サービス停止が長期化する可能性があるため、Webサイトやメールを業務上どの程度停止できるかを確認する必要があります。
Webサイトについては、最低限の告知ページを別のクラウドサービスやホスティング環境で公開する方法があります。
メールについては、DNSやメール配送先を変更し、別のメールサービスへ一時的に切り替える方法も考えられます。
ただし、DNS変更には反映まで時間がかかる場合があります。事前にDNSの管理権限、契約情報、設定変更手順を確認しておくことが重要です。
緊急移行を行う場合は、侵害された可能性のあるバックアップを無条件で復元せず、安全性を確認したデータだけを利用してください。
バックアップとログの保全
利用企業が独自に取得しているバックアップやログがある場合は、上書きや削除を避けて保全してください。
サーバー停止前後のWebアクセスログ、メールログ、管理画面のログイン履歴、CMSの更新履歴、ファイルの更新日時などは、影響確認に役立つ可能性があります。
不審なファイルの追加、意図しないアカウントの作成、設定ファイルの変更、Webページの改ざんがないかも確認する必要があります。
事業者から復旧データが提供された場合は、現在保有しているバックアップと比較し、不審な差分がないかを確認してください。
情報システム部門への示唆
今回の事案では、当初はメンテナンスとして案内され、その後の調査で外部からの不正アクセスを示す痕跡が公表されました。
システム停止の初報が障害やメンテナンスとして案内された場合でも、長期化しているときはセキュリティインシデントの可能性を考慮する必要があります。
情報システム部門は、利用中のクラウド、レンタルサーバー、メールサービスについて、障害情報を継続的に確認する担当者と連絡経路を決めておく必要があります。
サービス事業者からセキュリティインシデントが公表された場合は、影響を受けた契約、保存データ、認証情報、業務停止時間を確認し、経営層、法務、広報、個人情報保護担当へ共有してください。
共用サーバーを利用する場合でも、Webサイト、メール、DNS、バックアップを同じ事業者や同じ環境だけに集中させない構成を検討することが重要です。
単一のホスティングサービスが停止した際に、顧客への案内や社外連絡まで失われる構成は、事業継続上のリスクになります。
NTTスマートコネクトは、判明した事項を速やかに公表するとしています。利用企業は、復旧時期、情報流出の有無、侵入経路、影響範囲、認証情報変更の要否に関する続報を確認する必要があります。








