
2025年5月8日に発表された株式会社KADOKAWAの2025年3月期通期決算によれば、最終利益が35%減、さらにサイバー攻撃による特別損失として24億円を計上したことが明らかになりました。
大規模サイバー攻撃によるシステム障害 – 業績への影響
2024年に発生したサイバー攻撃により、KADOKAWAはグループ全体で大きな業績の下振れを余儀なくされました。特に影響が大きかったのは、主力事業であるWebサービスと出版部門です。
Webサービスでは、「ニコニコ動画」をはじめとする複数のサービスが長期にわたり停止を余儀なくされ、有料会員の一部が離脱。加えて、クリエイター支援やシステムの復旧対応に伴うコストも膨らみ、売上は前年比で約39億円減少、営業利益は約21億円のマイナスとなりました。
出版部門においても、システム障害の影響で販売や配本の遅延が生じたことで、売上が約36億円減少、営業利益も約19億円減と大きな打撃を受けました。
このほか、リアル施設の運営事業などを含む「その他部門」でも、影響は避けられず、売上で約7億円、営業利益で同額のマイナスが発生しています。
さらに、これらの対応にかかった費用として、KADOKAWAは25/3期に特別損失24億円を計上。純利益も大幅に落ち込むかたちとなりました。
こうした結果は、単なる一過性のトラブルにとどまらず、サービスの根幹を支えるシステムとセキュリティ体制の重要性を改めて突きつけるものとなっています。KADOKAWAは現在、再発防止と信頼回復に向けた取り組みを進めており、その実行力が今後の回復に向けた鍵となりそうです。
「ニコニコ」サービス停止が業績に直撃
2024年6月~8月にかけて「ニコニコ動画」などのKADOKAWAの主要サービスがサイバー攻撃により停止。これにより、有料会員の一部が退会し、ライブ事業においてもイベント収益が大きく減少しました。25/3期第4四半期には、カード決済の制限措置により過去分も含めて約2億円の売上減が生じたと報告されています。