パスワードマネージャーとは?情報漏えいを防ぐ新たな必須ツール

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パスワードマネージャーとは?情報漏えいを防ぐ新たな必須ツール

「パスワード管理」という課題は、昔から言われ続けてきたにもかかわらず、今なお多くの企業にとって頭の痛い問題です。
日本国内でも、情報漏えい事件が後を絶たず、その背景には、意外とずさんなID・パスワード管理が潜んでいたケースが少なくありません。

こうした流れを受けて、セキュリティ専門家たちが口を揃えて勧めているのが「パスワードマネージャー」の導入です。
この記事では、パスワードマネージャーの基本から、なぜ企業に必要なのか、導入のステップまで、実際の事例も交えながら解説していきます。
社内で提案する立場の方も、これから検討する方も、参考にしていただけたらと思います。

パスワードマネージャーとは?

パスワードマネージャーは、オンラインサービスや社内システムのID・パスワードを一元的に管理し、自動入力や安全なパスワード生成をサポートしてくれるツールです。
覚えるのが難しい複雑なパスワードも、これ一つで管理できるので、記憶負担がぐっと減ります。

一番の特徴は、「マスターパスワード」ひとつで、すべての認証情報にアクセスできること。

たとえばiPhoneをお使いの方なら、Face IDを使ってパスワードマネージャーを即座に解除できる場面を経験しているかもしれません。
(実際、私も1パスワードをFace ID連携で使っていますが、かなりストレスが減りました。)

また最近ではGoogle パスワード マネージャーも企業や個人に関係なく利用されています。

なぜ今、パスワードマネージャーが必要なのか

パスワードのリスクは、年々高まる一方です。
Verizonの「2023 Data Breach Investigations Report」では、サイバー攻撃の8割以上が「認証情報の漏えい」から始まったとされています。
また、日本国内でも、ベネッセの情報漏えいなど、簡易なパスワード設定や管理ミスが招いた事故が記憶に新しいところです。

人間はそもそも、長くて複雑なパスワードをたくさん覚えるのが苦手です。
その結果、同じパスワードを使い回したり、誕生日など推測しやすい文字列を使ったりしてしまう……これがリスクを高める要因になっています。

そこで登場するのがパスワードマネージャー。


複雑なパスワードを自動生成し、安全に保管。必要な時にはワンクリックで自動入力できるため、ユーザー側の負担を大幅に減らしてくれます。

パスワードマネージャーの種類

パスワードマネージャーにもいくつか種類がありますが、企業利用を考えるなら大きく3タイプです。

  1. オンプレミス型
    社内サーバーで運用するタイプ。データを外に出したくない業種には向いていますが、導入・運用コストはやや高めです。

  2. クラウド型(SaaS)
    インフラ不要で手軽に始められるタイプ。リモートワークにも強いです。
    たとえばグーグルパスワードマネージャーや「1Password Business」や「LastPass Enterprise」などが有名ですね。

  3. ハイブリッド型
    オンプレミスとクラウドの“いいとこ取り”をする形。セキュリティ要件が厳しいけど、利便性も捨てたくない場合に選ばれます。

サービスの例

たとえば「1Password Business」は、ゼロトラスト設計をベースに、パスワードだけでなくクレカ情報やSSHキーまで一括管理できます。
しかも誰がどの認証情報を使ったかまで記録できるので、内部監査にも役立ちます。

また、「LastPass Enterprise」は、使いやすさ重視。管理者側ではポリシー設定や権限管理が細かくできるため、ユーザーごとのアクセス制御も楽に行えます。

どう導入を進めるべきか

いきなりツールを選ぶ前に、まずは社内の実態を調べるところから始めましょう。
たとえば「パスワードを使い回していませんか?」という簡単なアンケートを取るだけでも、意外なリスクが浮かび上がってきます。

その上で、必要な機能(例:クラウド対応、多要素認証、監査ログ取得など)を整理し、ツール選定に入ります。
可能なら、いくつかトライアルをして、現場の反応を見るのがおすすめです。

導入後は、ルール作りや教育もセットで進めましょう。ツールだけあっても使いこなせなければ意味がありません。
まずは一部の部門で試験運用し、少しずつ全社展開していく流れが、現実的です。

まとめ

パスワードマネージャーは、情報セキュリティ対策の基本になりつつあります。
「うちは大丈夫」と思っていても、管理の甘さは意外なところに潜んでいるものです。

もちろん、導入にはコストも手間もかかります。
それでも、万一の情報漏えいによる損失を考えれば、今のうちから備えておくメリットは十分にあります。

もしまだ導入を迷っているなら、まずは小さなところから一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。