旧ジャニーズ事務所の株式会社STARTO ENTERTAINMENTがチケットの転売出品に関する司法判断の発表

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旧ジャニーズ事務所の株式会社STARTO ENTERTAINMENTがチケットの転売出品に関する司法判断の発表

旧ジャニーズ事務所の株式会社STARTO ENTERTAINMENTはチケットの転売に関して、東京地方裁判所がコンサート主催者の営業権を侵害するものと認め、16件の転売出品に対する発信者情報開示命令を発令した事を発表しました。

チケット転売に関する司法判断の経緯

STARTO ENTERTAINMENT社は、契約タレントのコンサートを主催するYC社(ヤング・コミュニケーション社)と協力し、違法なチケット転売に対する法的措置を進めてきました。
特に、「チケットジャム」「チケット流通センター」などのチケット転売プラットフォームで、定価を超えた金額での転売出品が多数行われていたため、発信者情報開示請求を実施しました。

  • 2024年11月28日:「チケット流通センター」に対し、Snow Manのコンサートチケット転売16件について情報開示請求
  • 2024年12月13日:上記16件の転売について、東京地方裁判所に発信者情報開示命令を申立
  • 2025年3月10日:裁判所がYC社の申立を認め、16件の転売出品に対する発信者情報開示命令を発令

YC社は、転売チケットの使用はイベント入場資格のない人物を入場させる行為につながるため、
本人確認の強化
チケットの無効化対応
など、主催者側の負担を増加させる業務妨害に該当すると主張していました。


これが裁判所に認められたことにより、今後のイベント業界全体の転売対策に大きな影響を与える判断となりました。

情報セキュリティの観点から見るチケット転売のリスク

チケット転売は、単に主催者の営業権を侵害するだけでなく、情報セキュリティ上のリスクも孕んでいます。

 個人情報の不正流通

転売サイトでは、購入者や出品者の個人情報がやり取りされることが多く、

  • 氏名・電話番号・メールアドレス
  • 支払い情報
  • 電子チケット情報(QRコード・購入履歴)

などが適切なセキュリティ対策なしに扱われるケースがあります。
また、転売されたチケットには、購入者の個人情報が一部記載されている場合もあり、第三者に悪用される可能性があります。

さらに、違法転売目的の詐欺グループが、偽のチケット購入サイトを運営し、個人情報を窃取するケースも確認されています。
不正なチケット販売サイトを通じた個人情報流出リスクにも注意が必要です。

フィッシング詐欺の増加

近年、チケット転売を装ったフィッシング詐欺が増加しています。
特に、SNSやフリマアプリなどを利用した「個人間取引」では、実際には存在しないチケットの販売を持ちかけ、金銭や個人情報を騙し取る手口が横行しています。

フィッシング詐欺の手口

  1. チケット購入希望者を装った詐欺師が、SNSや掲示板で「定価でお譲りします」と投稿
  2. 購入希望者に対し、偽の決済ページやQRコードを送付
  3. 決済を完了してもチケットが送られず、連絡が途絶える
  4. 支払い情報や個人情報が不正に利用される

このような手口による被害を防ぐためには、正規の販売ルート以外でのチケット購入を避けることが重要です。

電子チケットの不正利用

現在、多くのコンサートやイベントで電子チケットが導入されていますが、転売された電子チケットの不正利用も問題となっています。

不正利用のパターン

  • チケットの複製・転売:QRコードやチケットIDをコピーし、複数の購入者に販売
  • ログイン情報の乗っ取り:転売サイトで入手したアカウント情報を利用し、公式アプリに不正ログイン
  • 偽チケット生成:本物のQRコードを改ざんし、偽チケットを作成

これらの対策として、イベント主催者側は多要素認証(MFA)や動的QRコードなどの技術導入を進める必要があります。

まとめ

今回の司法判断は、チケット転売がイベント主催者の営業権を侵害する行為であると正式に認められた点で、極めて重要な意味を持ちます。
しかし、転売の問題は法的側面だけでなく、情報セキュリティの観点からも深刻なリスクを伴うものです。

  • 個人情報の不正流通
  • フィッシング詐欺の増加
  • 電子チケットの不正利用

これらのリスクを最小限に抑えるためには、主催者・販売プラットフォーム・消費者が一体となって対策を講じることが求められます。

今後も、技術的・法的なアプローチを組み合わせながら、安全なチケット販売とイベント運営の実現を目指していくことが必要となるでしょう。