株式会社VOISINGは2026年8月24日、同社が利用するBIツールへの不正アクセスと個人情報漏えいについて第三報を公表し、本件に関連する一部情報が外部で公開されていることを確認したと明らかにしました。
これに先立ち、セキュリティ対策LabはダークウェブのハッカーフォーラムでVOISINGのデータベースを入手したと主張する投稿を確認しました。。投稿者は「約5万人分のユーザー情報を含む」と主張し、メールアドレス、生年月日、性別、表示名、アカウント状態、Keycloak関連のユーザー識別子などとみられるサンプルを掲載しています。
今回の第三報で状況は「データを不正取得された段階」から「一部情報の外部公開を企業側も確認した段階」へ進みました。利用者は、VOISINGや所属タレント、ファンクラブ、オンラインストアなどを装うメール、SMS、電話、SNSのダイレクトメッセージに注意する必要があります。
VOISINGのデータ外部公開に関するサマリー
確認できている内容:
- VOISINGは2026年8月24日、個人情報漏えいに関する第三報を公表しました。
- 同社は8月22日、本件に関連する一部情報が外部公開されていることを確認しました。
- 元となったインシデントは、VOISINGが利用するBIツールへの不正アクセスです。
- 不正アクセスは8月10日1時2分頃から確認されています。
- 8月16日18時47分から20時21分に、BIツール内のデータが不正に取得・ダウンロードされました。
- VOISINGは8月16日23時55分に事態を把握し、8月17日1時55分までに対象システムを停止・遮断しました。
- 8月20日の第二報では、想定される対象人数の最大値を約17万人と公表しています。
- 約17万人は影響範囲を精査中の最大値で、確定した漏えい人数ではありません。
- VOISINGは顧客のアカウントパスワードについて漏えいしていないと説明しています。
- 漏えい対象には、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、性別、購買履歴、決済金額の記録、サービス加入状況、応援対象タレントの選択情報などが含まれる可能性があります。
- 第三報では、不審なメール、SMS、電話などへの警戒と、漏えい情報や関連画像をSNS等で拡散しないよう呼びかけています。
提供されたハッカーフォーラムのスクリーンショットで確認できる内容:
- 投稿は2026年8月21日付です。
- 投稿タイトルは「[Japan] Database voising-official.com / Entertainment company」です。
- 投稿者はVOISINGから流出したデータベースだと主張しています。
- 投稿者はユーザー情報が「approximately 50,000 people」、約5万人分含まれると主張しています。
- サンプルにはメールアドレス、生年月日、性別、表示名、アカウント状態などとみられる値が表示されています。
- Keycloak User ID、Keycloak Usernameなどのフィールド名も確認できます。
現時点で未確認の内容:
- ハッカーフォーラムに掲載された全データの真正性
- 「約5万人」という件数の正確性
- 約5万人とVOISING公式の最大約17万人との包含関係
- VOISINGが8月22日に検知した外部公開先と、8月21日の投稿が同一か
- 投稿者がBIツールへ侵入した本人か
- 投稿者が第三者からデータを入手した人物か
- BIツールの製品名
- 悪用された脆弱性のCVE番号
- 攻撃者・攻撃グループ
- ランサムウェアによる暗号化や身代金要求の有無
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象組織 | 株式会社VOISING |
| インシデント | BIツールへの不正アクセス、個人情報漏えい |
| 不正アクセス開始 | 2026年8月10日1時2分頃 |
| データ不正取得 | 8月16日18時47分~20時21分 |
| 事態把握 | 8月16日23時55分 |
| システム停止・遮断 | 8月17日1時55分まで |
| 第一報 | 8月18日 |
| 第二報 | 8月20日 |
| 公式の想定対象人数 | 最大約17万人、暫定値 |
| フォーラム投稿 | 8月21日付 |
| フォーラム側の主張 | 約5万人分のユーザー情報 |
| 外部公開の公式検知 | 8月22日 |
| 第三報 | 8月24日 |
| アカウントパスワード | VOISINGは漏えいなしと説明 |
| 攻撃者 | 未確認 |
| BIツール名・CVE | 公表されていません |
VOISINGが「一部情報の外部公開」を確認
8月24日の第三報で最も大きく更新されたのは、VOISING自身が本件に関連する一部情報の外部公開を確認した点です。
第一報では、BIツールへの不正アクセスと、ツール内のデータが不正にダウンロードされたことが確認されていました。
第二報では影響対象が最大約17万人となる可能性が示されました。
第三報では、その後に一部情報がVOISINGの管理外の場所へ公開されていることまで確認されました。
つまり、状況は「攻撃者など第三者がデータを取得した」段階から、「少なくとも一部情報が外部からアクセスできる状態になったことを企業側が確認した」段階へ進んでいます。
ただし、VOISINGは公開先、公開者、公開件数を明らかにしていません。
そのため、「全17万人分が公開された」「ハッカーフォーラムに全データが掲載された」とする根拠はありません。
8月21日付のハッカーフォーラム投稿は「約5万人分」と主張
セキュリティ対策Labで確認したハッカーフォーラムの投稿では、VOISINGのドメイン名を含むデータベース投稿が8月21日付で確認できます。
投稿者は、日本のエンターテインメント企業VOISINGから流出したデータベースだと説明し、約5万人分のユーザー情報が含まれると主張しています。
また、サンプルとして複数のレコードを掲載しています。
画面から確認できる主なフィールドは次のとおりです。
- ID
- Created At
- Updated At
- Keycloak User ID
- Keycloak Username
- Username
- Email Verified
- Gender
- Birth Date
- Icon URL
- Display Name
- Status
- Ban Flag
- Ban Reason
- Banned At
- Banned By
- Registration Completed
- Registration Step
- Synced At
実際のサンプルにはメールアドレス、生年月日、表示名など、個人を識別し得る値が表示されています。
過去報道から第三報までの時系列
今回のインシデントは8月10日の不正アクセス開始から、約2週間で外部公開確認まで進みました。
| 日時 | 公表・確認内容 |
|---|---|
| 8月10日1時2分頃 | BIツールへの不正アクセス開始 |
| 8月16日18時47分~20時21分 | BIツール内のデータを不正取得・ダウンロード |
| 8月16日23時55分 | VOISINGが事態を把握 |
| 8月17日1時55分まで | 対象システムを停止しネットワークから遮断 |
| 8月18日 | 第一報。個人情報・プライバシー情報の漏えいを公表 |
| 8月18日12時頃~ | 漏えいが確認された対象者へ順次案内メールを送信 |
| 8月20日 | 第二報。想定対象人数の最大値を約17万人と公表 |
| 8月21日 | 提供されたハッカーフォーラム投稿の日付。「約5万人分」と主張 |
| 8月22日 | VOISINGが本件に関連する一部情報の外部公開を検知 |
| 8月24日 | 第三報。外部公開の事実と追加の注意喚起を公表 |
第一報の詳細は以下の記事で整理しています。
第二報の最大約17万人については以下の記事で確認できます。
アカウントパスワードは漏えいしていないとVOISINGが説明
VOISINGは第二報で、顧客のアカウントパスワードについて漏えいしていないと説明しています。
提供されたフォーラム投稿のスクリーンショットでも、確認できる範囲にPasswordやPassword Hashといったパスワードそのものを示すフィールドは見当たりません。
ただし、メールアドレス、生年月日、電話番号などが漏えいしている場合、パスワードそのものが漏れていなくても別の攻撃に利用される可能性があります。
特に、生年月日、電話番号、推しの名前などをパスワードや暗証番号へ利用している場合は変更を検討できます。
また、他サービスで同じパスワードを使い回している場合も、今回の漏えいを機に異なるパスワードへ変更する方が安全です。
「推し」情報や購買履歴はフィッシングを精巧にする材料になり得る
VOISINGが公式に漏えい対象として公表しているのは、氏名やメールアドレスだけではありません。
対象候補には、
- 購買履歴
- 決済金額の記録
- サービス加入状況
- 応援対象タレントの選択情報
も含まれています。
こうした情報は、利用者の関心や実際の取引履歴に近いフィッシングを作る材料になり得ます。
例えば、
- 「推し」の名前を使った限定グッズ案内
- ファンクラブ更新
- イベント当落・追加販売
- 購入商品の配送確認
- 返金手続き
- 会員情報の再確認
- 不正アクセス被害者への補償
などを装った連絡です。
実際の利用情報に近い文面であれば、無関係な迷惑メールより正規連絡と誤認しやすくなります。
現時点で、これらの二次被害が実際に発生したとVOISINGが確認したわけではありません。
利用者はメール・SMS・SNSのDMで追加情報を入力しない
VOISINGは第三報で、不審なメール、SMS、電話などへの警戒を改めて呼びかけています。
利用者は今後届く連絡について、次の点を確認できます。
- メールやSMS内のURLからログインしない
- 公式サイトや公式アプリを自分で開いて確認する
- パスワードや認証コードを返信しない
- クレジットカード番号をメールやDMで入力しない
- 「漏えい対象か確認する」と称するサイトへ個人情報を入力しない
- 「補償」「返金」「再登録」を理由とする送金依頼に応じない
- 所属タレントや運営スタッフを名乗るDMを信用しない
- 心当たりのない電話では個人情報を答えない
特に、漏えいした可能性がある情報を相手が知っているからといって、相手がVOISINGの正規担当者とは限りません。
攻撃者は漏えいデータを使い、本人しか知らないと思っている情報を示して信用させることがあります。
未成年利用者は保護者・決済者にも注意喚起を共有
VOISINGのサービスは未成年者が利用している可能性があります。
サービス利用者本人と、商品の購入や会費決済を行う保護者が異なるケースもあります。
VOISINGは第二報で、本人以外の保護者や家族が決済を行っている場合には、本件について決済者にも共有するよう案内しています。
未成年利用者では、
- 本人のメールアドレス
- 保護者の電話番号
- 配送先住所
- 家族名義の決済
- イベント参加情報
など、家族の情報と関連付く場合があります。
不審な連絡への注意は利用者本人だけでなく、保護者や決済者にも共有しておく必要があります。
データ公開後は「封じ込め」だけでは対応が終わらない
企業側のインシデント対応では、不正アクセスを止め、認証情報を変更し、脆弱性を修正することで技術的な封じ込めは進められます。
しかし、既にデータを取得されている場合、その後に公開・販売・再配布される可能性があります。
今回、VOISINGは8月17日までにシステムを停止・遮断し、脆弱性への修正やパスワード・アクセスキーの無効化・変更を進めました。
それでも8月22日には一部情報の外部公開を確認しています。
このため、インシデント対応には封じ込め後も、
- 公開サイトやフォーラムでの流通確認
- 公開された情報項目の特定
- 対象者への追加通知
- フィッシングドメインの監視
- なりすましSNSアカウントの確認
- 不正ログインの監視
- 二次被害の問い合わせ受付
を継続するフェーズが必要です。
情報システム部門が確認したいポイント
今回の事案では、顧客向けWebサイトそのものではなく、社内で利用するBIツールが侵害されました。
BIや分析基盤は複数サービスのデータを集約するため、侵害時の影響が大きくなりやすいシステムです。
企業では次の状態を確認できます。
- BIツールをインターネットから直接アクセス可能にしていないか
- 管理者アカウントへMFAを適用しているか
- BI製品・プラグインの脆弱性を資産管理対象にしているか
- APIキーやアクセスキーを定期的にローテーションしているか
- 氏名、住所などの直接識別子を分析基盤へ保存する必要があるか
- 大量エクスポート・ダウンロードを検知できるか
- 通常と異なる時間帯・地域からのアクセスを検知できるか
- 操作ログをBIツール外へ転送しているか
- 侵害時にどの顧客データが取得されたか追跡できるか
- データの外部公開を確認する担当と手順を決めているか
- 外部公開後の顧客通知・フィッシング監視をインシデント対応計画へ含めているか
今回のVOISING事案は、BI基盤への不正アクセスだけでなく、取得されたデータが外部公開された後の対応まで含めて確認できる事例です。
新規記事としての位置付け
既存の第一報記事は「BIツールへの不正アクセスと漏えいした情報」、第二報記事は「対象が最大約17万人へ拡大したこと」が主題です。
今回の記事は、
「漏えいした一部データが外部公開されたこと」
「ハッカーフォーラムで約5万人分との主張が確認されたこと」
「公開後に利用者が警戒すべき二次被害」
を主題としています。
そのため、既存記事とは検索意図を分けた第三報の新規ニュース記事として公開できます。
ただし、タイトルや本文では「約5万人流出」と断定せず、「ハッカーフォーラム側が約5万人分と主張」とする必要があります。
今後確認したいポイント
今後の続報では、次の事項が確認対象になります。
- 漏えい対象人数の確定値
- 外部公開された情報の件数
- 公開された具体的な情報項目
- ハッカーフォーラム投稿とVOISINGが確認した外部公開との関係
- 約5万人という投稿者側の数字の位置付け
- BIツールの製品名
- 悪用された脆弱性とCVE
- 攻撃者の特定
- データの追加公開・販売・再配布の有無
- フィッシングや不正ログインなど二次被害の有無
- 個人情報保護委員会への確報
- 再発防止策
現時点で公式に確認できるのは、VOISINGのBIツールからデータが不正にダウンロードされ、個人情報漏えいが発生し、その後に本件に関連する一部情報が外部公開されたという点です。
一方、ハッカーフォーラムの「約5万人分」という数字、投稿者の攻撃への関与、公開された全データの真正性については未確認です。
利用者にとっては、漏えいの件数そのものよりも、外部公開を企業側も確認したことで、取得された情報がフィッシングやなりすましに再利用される可能性を前提に警戒を続ける段階に入ったことが実務上のポイントになります。





