Salesforce(セールスフォース)とSalesloft Drift 連携で拡がるサプライチェーン サイバー攻撃の解説

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SalesforceとSalesloft Driftの連携で拡がった大規模サプライチェーン サイバー攻撃のまとめと解説

2025年8月Salesloftのチャット製品「Drift」を起点に、Salesforce連携のOAuthトークンが悪用されるサプライチェーン攻撃が明らかになりました。攻撃者は正規権限で各社のSalesforceからサポートケースの本文や連絡先情報を一括抽出し、機密情報の探索も試みたとみられます。Cloudflare、Palo Alto Networks、Zscaler、Taniumなど被害公表が相次ぐ中、全トークンの失効とローテーション、連携の再点検が急務です。

何が発生したのか要点

  • SalesforceとSalesloft Driftの連携機能の不具合を突かれ、大規模なサプライチェーン攻撃が発生
  • Salesforceの脆弱性ではなく、Drift側のシステム設計不備
  • Google、Cloudflare、Zscaler、Palo Alto Networks、Proofpoint、BeyondTrust、CyberArk、Workivaなどの著名企業に影響 ただし各社の製品基盤への影響は発生しておらず一部顧客への限定的な影響のみ
  • Salesloft DriftはIOCハンティングと連携系所の上トークン・秘密情報の一斉失効を推奨

SalesforceとSalesloft Drift連携へのサイバー攻撃の概要

2025年3月、脅威アクターはSalesloftのGitHubリポジトリへ侵入し、TruffleHogセキュリティ ツールを使用してソースコードの秘密をスキャンしその結果、Salesloft Drift および Drift Email プラットフォームの OAuth トークンを発見。

2025年8月上旬から中旬にかけて、Salesloft傘下の対話型チャット製品「Drift」のSalesforce連携を起点とした大規模なサプライチェーン攻撃が発生しました。攻撃者は、Drift側に保存・接続されていたOAuth認可情報(アクセストークン/リフレッシュトークン)や一部APIキーを窃取し、その正規権限を用いて各社のSalesforceテナントへAPI経由でアクセスし、サポートケースやサポート連絡の本文や連絡先情報などを大量にエクスフィルトレーション(持ち出し)しました。

影響は数百社規模に及んだと見られ、Cloudflare、Zscaler、Palo Alto Networks、Proofpoint、BeyondTrust、CyberArk、Workivaなどの著名企業が、Salesforce内データ(主にテキスト情報)への不正アクセスと初動対応を公表しました。SalesforceとSalesloftは連携を一斉に無効化し、DriftアプリはAppExchangeから撤去されています。

加えて、調査の過程でDrift Email連携のOAuthトークンも標的になり、一部構成でGoogle Workspaceの限定的アクセスが確認されたことから、Driftに保存・接続されたすべての認証トークンを侵害前提で扱うことが強く推奨されています。

原因

原因は、DriftとSalesforceをつなぐ認可トークンの不正取得と再利用にあります。

攻撃者はDrift側の侵害を通じて、連携に紐づくOAuth/APIキーを入手し、正規アプリとしてSalesforce APIへ認証済みアクセスを行いました。

これにより、権限が許す範囲でSOQLクエリやBulk API 2.0を駆使したデータ抽出が可能となりました。Salesloftは、OAuth連携についてはベンダー側でトークンを失効・再認証させ、APIキー連携はお客様側でキーの再発行と差し替えを行うよう勧告しています。

また、外部のセキュリティ企業と連携し、封じ込めと原因究明を進めています。

さらに、後続の分析でDrift Email連携のトークンも悪用対象だったことが判明し、少数の構成でGoogle Workspaceのメール等に限定的アクセスがあったと報告されています。

これにより、「Salesforce×Drift」連携に限らず、Driftに保存・接続される全連携トークンの全面的な失効・ローテーションが必要という結論に至りました。

繰り返しになりますが、Salesforce本体の欠陥が原因ではなく第三者連携に与えた“正規の権限”の横取りこそが攻撃の核心でした。

被害を発表した組織

以下の企業が限定的な被害や被害の可能性を発表しています。なお各社とも製品やサービス基盤への影響は発生しておらず、流出した場合でも被害は限定的としています。

Cloudflare(クラウドフレア)

Salesforce の Case 本文に含まれていた Cloudflare API トークン 104 件 を特定し 全件ローテーション しました。製品・基盤への侵入なし添付ファイルは対象外。発生時系列(8/9 偵察 → 8/12 侵入 → 8/17 一括抽出 → ジョブ削除)と IOC を公開し、影響可能性のある顧客へ個別通知しています。

Zscaler(ゼットスケーラー)

担当者の氏名・業務メール・役職・電話番号・所在地・製品ライセンス/商流情報 および 一部サポートケースのテキスト本文 への 限定的アクセス を確認。連携遮断、トークン予防ローテーション、サポート時の 本人確認強化 を実施。プロダクトや基盤への影響は無し。

Palo Alto Networks(パロアルトネットワークス)

Account/Contact/Case/Opportunity広範抽出“password”“secret”“AKIA” 等の資格情報探索、クエリ削除による痕跡隠蔽 を観測しました。影響範囲は ビジネス連絡先・販売記録・基本的ケースデータ で、技術添付は含まず製品・サービス・基盤への影響なし

Proofpoint(プルーフポイント)

Salesforce 上の 一部情報の閲覧 を確認。Drift 無効化と連携遮断 を完了し、Salesforce/Salesloft と連携して調査を継続。ソフトウェア/サービス/顧客保護データ/社内ネットワークへの影響なし と公表しています。

BeyondTrust

Drift 無効化、資格情報の広範ローテーション を即時実施。影響は Salesforce に限定 され、顧客情報の悪用兆候なし製品・コード・保護データへの影響なしフィッシングやソーシャルエンジニアリングへの警戒 を呼びかけています。

CyberArk

Salesforce–Drift 接続の遮断、関連資格情報のリセット、外部専門家の関与 を実施。アクセスは CRM 内のビジネス連絡先や会話メタデータ、サマリ項目 などに限定。API キー/資格情報/セッション録画/パスワード・秘密情報/ドキュメント・添付/サポートケース情報 は影響なし。自社製品・サービスへの影響もなし

Workiva

Salesforce に保存されていた 顧客連絡先(氏名・メール・電話)とサポート本文の一部 の閲覧を顧客に通知。基幹プラットフォーム自体への侵入はなく、影響は CRM 側に限定フィッシング等の二次被害 への警戒を促しています。

Tanium

Salesloft Drift から窃取された Tanium の認証情報により Salesforce データに限定的アクセス があった可能性を把握したと公表しています。対象は 氏名、業務メールアドレス、電話番号、地域・ロケーション参照 などの 一般的なビジネス連絡先情報 に主として限られ、顧客情報の悪用兆候は確認されていませんTanium プラットフォームや他の社内システムへのアクセスは一切なし と断定しています。

対策として Drift のアクセスを直ちに無効化 し、広範な調査 とともに SSPM(SaaS Security Posture Management)を活用した統合・連携まわりの検出・統制を強化 しています。利用者には フィッシングやソーシャルエンジニアリングへの警戒 を呼びかけ、公式サポート以外の経路で パスワード等の秘匿情報を要求することはない と注意喚起しています。

Google(GTIG)

活動を UNC6395 として位置付け、Drift Email 連携のトークン悪用 に伴う Google Workspace への限定アクセスを更新報告。Drift に保存・接続されたすべての認証トークンを侵害前提 として扱い、失効・ローテーションと横断調査 を強く推奨しています。

脅威アクター

Google Threat Intelligence Group はこの活動を UNC6395 として、Cloudflare の脅威チームは GRUB1 として追跡しています。

対策

  • Drift 連携の遮断と再認証統制:原因と是正策の妥当性が確認できるまで安易に再接続しない

  • トークン・秘密情報の一斉失効/ローテーション:Drift–Salesforce の OAuth/リフレッシュトークン、API キー、Webhook シークレット、SSO 連携シークレット を広範に更新します。Drift Email 連携 を含む Drift 側に保存・接続される全トークン を対象にします。

  • ケース本文の“秘密情報スキャン”TruffleHog/Gitleaks 等で AKIA、Snowflake トークン、JWT、client_secret、password などを自動抽出し、見つけ次第 即時失効・再発行 します。

  • IOC ハンティングと時系列再構成:Salesforce Event Monitoring で Report/Query/Bulk API/Async

侵害兆候(IOC)

このインシデントには以下の指標がIOCとして関連付けされています。

ユーザーエージェント文字列

  • Pythonリクエスト/2.32.4
  • Salesforce マルチ組織フェッチャー/1.0
  • Python/3.11 aiohttp/3.12.15

IPアドレス

  • 154.41.95.2
  • 176.65.149.100
  • 179.43.159.198
  • 185.130.47.58
  • 185.207.107.130
  • 185.220.101.133
  • 185.220.101.143
  • 185.220.101.164
  • 185.220.101.167
  • 185.220.101.169
  • 185.220.101.180
  • 185.220.101.185
  • 185.220.101.33
  • 192.42.116.179
  • 192.42.116.20
  • 194.15.36.117
  • 195.47.238.178
  • 195.47.238.83
  • 208.68.36.90
  • 44.215.108.109

 

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参照

SalesLoft Drift公式