2026年7月1に発覚した株式会社ニチレイへの不正アクセスによるシステム障害について、ランサムウェアグループRansomHouse(ランサムハウス)がダークウェブ上のリークサイトで犯行声明を発表しました。同グループのリークサイトには、ニチレイの企業情報とともに、Action date(攻撃実行日)として障害発覚日と同じ2026年7月13日が記載され、暗号化を実施したうえで証拠(EVIDENCE)となるデータを保有していると主張されています。RansomHouseは、2025年10月に事務用品通販大手のアスクルを攻撃し、約1.1TBのデータ窃取を主張して国内で大きな被害をもたらしたことで知られる恐喝集団です。
ただし、本稿の内容はあくまでRansomHouse側が一方的にリークサイト上で主張しているものであり、本稿執筆時点でニチレイからは、今回のシステム障害の原因がランサムウェア攻撃であったことや、RansomHouseが関与したこと、データが実際に窃取されたことについての公式な発表はなされていません。ランサムウェアグループは自らの成果を誇張して喧伝したり、実際には関与していない事案について犯行を主張したりする場合もあります。以下の内容は攻撃者側の一方的な主張として捉え、確定した事実と混同しないよう注意が必要であり、実際の被害の有無や範囲については、今後のニチレイによる公式な調査結果を待つ必要があります。
サマリー
- 本稿の内容は、いずれもRansomHouse側がリークサイト上で一方的に主張しているものであり、本稿執筆時点でニチレイによる公式な裏付けはありません。攻撃者の主張には誇張や虚偽が含まれる可能性がある点に留意が必要です
- ランサムウェアグループRansomHouseが、ニチレイへのサイバー攻撃について犯行声明をダークウェブ上のリークサイトで発表しました
- リークサイトには、攻撃実行日(Action date)として2026年7月13日、ステータスとしてEncrypted(暗号化済み)およびEVIDENCE(証拠あり)が記載されています
- RansomHouseは、ニチレイのデータを暗号化し証拠となるデータを入手したと主張したうえで、ニチレイのIT部門がインシデントを隠蔽しようとしていると非難し、機密データやプロジェクト文書の漏洩を防ぐために連絡するよう求めています
- リークサイト上では、パスワードなしでダウンロード可能な証拠パック(Evidence packs)へのリンクも掲示されています
- RansomHouseは2025年10月、アスクルへのサイバー攻撃で犯行声明を発表し、約1.1TBのデータ窃取を主張、その後2回にわたってデータを公開した恐喝集団です
- 本稿執筆時点で、ニチレイ側はRansomHouseの主張の真偽について公式な言及をしておらず、攻撃者の主張は誇張を含む可能性があるため慎重な評価が必要です
- ニチレイは7月17日から業務を順次再開していますが、個人情報漏洩の可能性については継続調査中としていました
整理表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 攻撃を主張したグループ | RansomHouse(ランサムハウス) |
| 標的 | 株式会社ニチレイ |
| リークサイト上の攻撃実行日 | 2026年7月13日(ニチレイの障害発覚日と一致) |
| リークサイト上のステータス | Encrypted(暗号化済み)、EVIDENCE(証拠あり) |
| 攻撃者の主張 | データの暗号化、証拠データの入手、IT部門による隠蔽の非難 |
| 証拠パック | パスワードなしでダウンロード可能とされるリンクを掲示 |
| RansomHouseの過去の主な国内被害 | アスクル(2025年10月、約1.1TBのデータ窃取を主張) |
| ニチレイの対応状況 | 7月17日から業務を順次再開、個人情報漏洩の可能性は継続調査中 |
| 留意点 | 攻撃者の主張は誇張の可能性があり、真偽の確認が必要 |
RansomHouseによる犯行声明の内容
RansomHouseがダークウェブ上に設けているリークサイトには、被害を主張する企業として株式会社ニチレイが掲載されました。掲載ページには、ニチレイが日本を代表する冷凍食品メーカーであり、温度管理物流のリーダーであるといった企業紹介文とともに、売上高4.7B$(約47億ドル)、従業員数10,000人といった企業情報が並べられています。

攻撃に関する情報としては、ステータスがEncrypted(暗号化済み)とされ、攻撃実行日(Action date)として2026年7月13日が記載されています。この日付は、ニチレイが不正アクセスによるシステム障害を検知・公表した日と一致していますが、これはあくまでRansomHouseがリークサイト上でそのように記載しているというにとどまり、両者の関連がニチレイ側から確認されたわけではありません。攻撃者が実際の障害発生日に日付を合わせて掲載している可能性もあり、日付の一致のみをもって同グループの関与が裏付けられたと判断することはできません。あわせて、ステータス欄にはEVIDENCE(証拠)およびDEPENDS ON YOU(あなた次第だ)という表記があり、これはRansomHouseが被害企業に対して交渉に応じるよう圧力をかける際の典型的な文言です。
リークサイトには、ニチレイの経営陣に宛てた脅迫文も掲載されています。その内容は、しばらく連絡を待っていたが、ニチレイのIT部門が発生したインシデントを隠蔽することを選んだようだ、機密データやプロジェクト文書が漏洩するのを防ぐために連絡することを強く推奨する、という趣旨のものです。あわせて、パスワードなしでダウンロードできるとされる証拠パック(Evidence packs)へのリンクも掲示されており、被害企業への心理的な圧力を高める狙いがうかがえます。当サイトで既報のとおり、これらはRansomHouseがアスクルへの攻撃でも用いた、データを段階的に小出しにして交渉を有利に進める手口と共通しています。
なお、ランサムウェアグループは自らの成果を誇張して喧伝する傾向があり、リークサイトの主張がそのまま事実である保証はありません。実際にどの範囲のデータが窃取されたのか、そもそも主張どおりの攻撃が行われたのかについては、慎重な評価が必要です。
RansomHouseとは-アスクルを攻撃した恐喝特化型グループ
RansomHouseとは、2021年12月から2022年3月ごろにかけて出現したとされる、多面的な恐喝を特徴とする脅威グループです。セキュリティ企業SentinelOneの分析によれば、同グループは必ずしもデータの暗号化を主目的とせず、窃取したデータを公開すると脅す恐喝のみを目的とする場合がある点に特徴があります。RaaS(サービスとしてのランサムウェア)モデルを運営し、アフィリエイトと呼ばれる実行犯に攻撃を実行させたうえで、自らは身代金交渉などを担う形態をとるとされています。幅広い業界を標的にしており、世界各地で被害が確認されています。
関連:ランサムウェア グループ RansomHouse(ランサムハウス)とは
日本国内でRansomHouseの名が広く知られるようになったのは、2025年10月のアスクルへの攻撃です。当サイトで既報のとおり、アスクルは2025年10月にランサムウェア攻撃を受けて受注・出荷業務を全面停止する事態に陥り、10月30日にはRansomHouseが約1.1TBのデータ窃取を主張して犯行声明を発表しました。その後、11月上旬には2回目のデータ公開が行われ、社員のメールアドレスリストや社内フォルダの構造情報などが含まれていたとされています。
最終的に、アスクルでは約74万件の個人情報流出の可能性が公表され、良品計画やそごう・西武など、アスクルのシステムを利用する取引先にも影響が波及しました。段階的にデータを公開して被害企業への心理的圧力を最大化するという、今回のニチレイへの犯行声明でも用いられている手口は、このアスクル攻撃でも顕著に見られたものです。
RansomHouseは、日本企業を標的にすることは相対的に稀とされてきましたが、アスクルに続いてニチレイという、いずれも社会インフラに近い物流・流通の基幹を担う日本の大手企業を標的にしていることは、注視すべき動向だといえます。
ニチレイへの攻撃の経緯
今回の犯行声明の対象となったニチレイへの攻撃について、これまでの経緯を振り返ります。当サイトで既報のとおり、株式会社ニチレイは2026年7月13日、不正アクセスによるシステム障害が発生したと公表しました。障害は同日午前6時50分ごろに検知され、ニチレイロジグループ各社の冷蔵倉庫の入出庫業務と、ニチレイフーズの冷凍食品出荷業務に影響が生じました。
ニチレイは国内最大規模の冷凍・冷蔵物流を担っており、その影響は取引先へと広く波及しました。低温物流を利用する取引先は約5,000社に上るとされ、日本ケンタッキー・フライド・チキンやイオン、くら寿司、江崎グリコなど、多数の外食・小売チェーンで食材の配送遅延や欠品が発生しています。その後、ニチレイは7月17日から業務を順次再開しましたが、この時点では個人情報漏洩の可能性については継続調査中としており、外部への情報流出は確認されていないと説明していました。
今回、RansomHouseが証拠データの保有を主張したことで、ニチレイが継続調査中としていた情報漏洩の可能性について、攻撃者側から一方的な主張が加わった形になります。ただし、これはあくまで攻撃者側の主張にすぎず、ニチレイがこの主張を認めたわけではありません。
前述のとおり、攻撃者の主張には誇張や虚偽が含まれる可能性があるため、今回のシステム障害がRansomHouseによるランサムウェア攻撃であったのかという点も含め、実際の被害の有無・範囲については、ニチレイ側の今後の公式な調査結果を待つ必要があります。現時点で利用者や取引先が過度に不安を抱く必要はありませんが、ニチレイからの公式な続報に注意を払うことが望まれます。
情報システム部門への示唆
今回のRansomHouseによるニチレイへの犯行声明は、情報システム部門にとっていくつかの重要な示唆を含んでいます。
第一に、システム障害の公表と、攻撃者による犯行声明・情報公開の時間差という問題です。ニチレイは7月13日に障害を公表し業務再開を進めていましたが、その約1週間後に攻撃者が犯行声明を出しています。RansomHouseの脅迫文にあるIT部門が隠蔽しようとしているという非難は、恐喝の常套句であり事実とは限りませんが、被害企業が調査中として詳細を伏せている間に、攻撃者側が一方的にリークサイトで情報を発信し、世論やメディアを通じて圧力をかけてくるという構図は、近年のランサムウェア被害に共通するものです。インシデント対応においては、社内での事実確認と並行して、攻撃者による情報公開の可能性を織り込んだ広報・開示戦略を準備しておくことが求められます。
第二に、恐喝特化型グループへの対応です。RansomHouseのようにデータの暗号化以上に窃取データの公開による恐喝を重視するグループに対しては、バックアップからの復旧だけでは被害を完全には収束できません。窃取されたとされるデータの内容を早期に特定し、それが公開された場合の影響(顧客情報の流出、取引先への波及、二次的な詐欺への悪用等)を評価したうえで、関係者への通知や監督官庁への報告を適切に行う体制が重要になります。
第三に、物流・流通という社会インフラを担う企業が繰り返し標的になっているという点です。アスクル、そしてニチレイと、いずれも多数の取引先が依存する物流の基幹を担う企業が攻撃を受け、その影響が広範なサプライチェーンに波及しました。こうした企業では、自社の被害が社会全体に及ぼす影響の大きさを踏まえ、平時からの防御体制の強化と、基幹システムが停止した際の代替オペレーションの整備を、経営レベルの課題として位置づけることが求められます。
出典
- ニチレイ、不正アクセスによるシステム障害-冷蔵倉庫の入出庫・冷凍食品の出荷業務に影響 – セキュリティ対策Lab
- ニチレイへの不正アクセスを伴うサイバー攻撃がケンタッキー・イオン・くら寿司に影響-食材配送の遅延や欠品が拡大 – セキュリティ対策Lab
- ニチレイ、7月17日より業務再開へ、サイバー攻撃による個人情報漏洩の可能性は継続調査 – セキュリティ対策Lab
- アスクルへのサイバー攻撃でランサムウェア グループ RansomHouse(ランサムハウス)が犯行声明 – セキュリティ対策Lab
- アスクルへのサイバー攻撃でランサムウェア グループ RansomHouse(ランサムハウス)が2回目のデータを公開 – セキュリティ対策Lab
- アスクル、ランサムウェアによるサイバー攻撃で約74万件の個人情報流出の可能性 – セキュリティ対策Lab








