Amazon Web Services(AWS)は、2025年10月19日夜(米PDT)から20日午後にかけて 北バージニア(us-east-1)リージョンで発生した障害の原因と影響範囲を公表しました。原因は Amazon DynamoDBの自動DNS管理システムに潜在していた欠陥(レースコンディション) により、リージョナルエンドポイント(dynamodb.us-east-1.amazonaws.com)の DNSレコードが空 になる誤更新が発生し、自動修復にも失敗したことでした。これによりDynamoDBへの新規接続が広範に失敗し、同サービスに依存する EC2の新規インスタンス起動、Network Load Balancer(NLB)、Lambda など多くのサービスで連鎖的な不具合が発生しました。
影響
外部への影響としては、Signal、Snapchat、Roblox、Duolingo などのプラットフォーム、銀行のオンラインサービス、Ring 等を含む多数のアプリ・Webサービスで接続障害が報告されました。障害時には世界で 約2,000社、8.1百万件超 の不具合報告(Downdetector集計)が寄せられました。
技術的原因の詳細
DynamoDBはリージョン内で多数のロードバランサーを運用し、DNS Planner(プラン生成)と DNS Enactor(Route 53へ反映、AZ冗長)が自動で各エンドポイントのDNSレコードを更新します。
障害当時、遅延していた古いプランを適用しようとしたEnactor と 新しいプランを反映し終えた別のEnactor の処理が まれなタイミングで衝突(レース) しました。結果として 古いプランが上書き→すぐ清掃処理で削除 され、リージョナルエンドポイントのIPが全削除 される不整合状態に陥りました。その後の自動更新も停止したため、手動介入 により是正しました。
タイムライン
-
10/19 23:48 ~ 10/20 02:40
DynamoDB でAPIエラー率が上昇。自動DNS管理の欠陥によりリージョンの公開エンドポイントの解決が失敗しました。02:25 にDNS情報を復旧し、キャッシュの期限切れとともに 02:40 までに接続は概ね回復しました。 -
10/19 23:48 ~ 10/20 13:50
EC2 では新規インスタンス起動が失敗(既存インスタンスは稼働継続)。DynamoDB障害で依存サブシステム DWFM(DropletWorkflow Manager) のリース更新が滞り、復旧後もリース再確立が輻輳して「insufficient capacity/request limit exceeded」等のエラーが発生しました。エンジニアが スロットリング導入とDWFMの選択再起動 を行い、13:50 に全面回復しました。並行してネットワーク状態伝播を担う Network Manager のバックログにより、新規起動インスタンスの接続性反映が 10:36 まで遅延しました。 -
10/20 05:30 ~ 14:09
NLB で一部ロードバランサーの接続エラーが増加。ネットワーク状態の反映遅延により、健全なノードでもヘルスチェックが交互に失敗/成功する事象が発生し、DNSからの出し入れが繰り返されました。09:36 に自動フェイルオーバーを一時無効化して解消し、14:09 に再有効化しました。 -
その他の主要サービス
-
Lambda:10/19 23:51~10/20 14:15 にAPIエラーや遅延。SQSポーリング系の内部サブシステムの復旧遅れやNLB影響を受けましたが、段階的スロットリングで同期待機系を優先し解消。
-
ECS/EKS/Fargate:10/19 23:45~10/20 14:20 にコンテナ起動失敗やスケーリング遅延。
-
Amazon Connect:10/19 23:56~10/20 13:20、着信・発信・チャット等でエラー増。ダッシュボード・データ更新の遅延は10/28までに補填予定と案内。
-
STS:10/19 23:51~10/20 01:19 および 08:31~09:59 にAPI障害。
-
IAM/コンソールサインイン:10/19 23:51~10/20 01:25 に失敗率上昇(Identity Center含む)。
-
Redshift:10/19 23:47~10/20 02:21 にクエリ・作成変更が失敗。後続でEC2置換起動の遅延により一部クラスターの復旧が延び、10/21 04:05 に完全回復。
-
AWS Support:10/19 23:48~10/20 02:40 にサポートケースの閲覧・更新が不能。無効応答を返すサブシステムが原因で、対処済み。
-
再発防止策・今後の対応
AWSは以下を実施・計画しています。
-
DynamoDBのDNS Planner/Enactor自動化を全世界で一時停止。再有効化前に レース条件の修正 と 誤ったDNSプラン適用を防ぐ追加保護 を導入。
-
NLB:ヘルスチェック異常時にAZフェイルオーバーで過剰に容量を外さないよう、除外速度の制御(ベロシティコントロール) を追加。
-
EC2:DWFMの復旧ワークフローを対象にした 大規模スケール試験の拡充、および 待ち行列サイズに基づくスロットリング改善 を実施。
-
障害全体の教訓を踏まえ、復旧時間短縮と影響低減 に向けた追加施策を検討。








