石川県野々市市職員が私的目的で市民の戸籍謄本を不正閲覧し懲戒処分

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石川県野々市市職員が私的目的で市民の戸籍謄本を不正閲覧し懲戒処分

石川県野々市市は2026年7月13日、地域政策部に所属する主事級の職員が、業務上の必要がないにもかかわらず私的な目的で市民の戸籍謄本を閲覧・印刷していたとして、減給10分の1・6カ月の懲戒処分を行ったと公表しました。発端は本人からの外部通報で、正規の交付申請書も提出されていなかったことが判明しています。当サイトでも継続して報じてきた、自治体職員による戸籍・住民情報システムへのアクセス権限を悪用した内部不正の一例です。

サマリー

  • 野々市市は2026年7月1日付で、地域政策部主事の職員に対し減給10分の1・6カ月の懲戒処分を行い、同年7月13日に公表した
  • 発端は2026年5月1日、当該職員によって「自分の戸籍情報が業務上の必要がないにもかかわらず閲覧・印刷されている可能性がある」との外部通報だった
  • 5月8日、戸籍情報連携システムの利用履歴を調査した結果、同年4月10日・22日に、通報者の戸籍謄本を閲覧・印刷していた事実が判明した。あわせて、戸籍証明書等の交付申請に必要な正規の申請書が提出されていないことも確認された
  • 6月17日に本人へ聞き取りを行ったところ、私的な目的で通報者の戸籍謄本を閲覧・印刷していたことを認めた
  • 処分理由は、職務上の権限を濫用し業務上の必要がないにもかかわらず私的な目的で特定個人の情報を不適切に閲覧・取得したことが、全体の奉仕者としてあるまじき行為であり市職員としての信用を著しく失墜させるためとされている
  • 管理監督責任を問い、所属長である課長も厳重注意処分を受けた
  • 市長は、個人情報の保護を厳守し市民の権利を守るべき立場の職員が職責を著しく逸脱しプライバシーを侵害したことを陳謝し、公務員倫理の徹底と個人情報保護意識の改革に取り組むとコメントしている
項目 内容
公表日 2026年7月13日
処分年月日 2026年7月1日
被処分者 地域政策部 主事
処分内容 減給10分の1・6箇月
発覚のきっかけ 2026年5月1日、本人からの外部通報
不正閲覧・印刷の日時 2026年4月10日・22日(戸籍謄本)
正規手続きの有無 戸籍証明書等交付申請書の提出なし
本人が事実を認めた日 2026年6月17日
監督責任 所属長の課長を厳重注意処分

何が起きたか

野々市市総務部秘書課の発表によれば、2026年5月1日、ある人物から「自分の戸籍情報が業務上の必要がないにもかかわらず、閲覧・印刷されている可能性がある」との通報が外部から寄せられました。市が5月8日に戸籍情報連携システムの利用履歴を調査したところ、地域政策部に所属する主事級の職員が、同年4月10日および22日に、通報者の戸籍謄本を閲覧・印刷していた事実が判明しました。あわせて、戸籍謄本等の交付を受けるために本来提出されるべき正規の交付申請書が、一切提出されていなかったことも確認されています。

市は6月17日に当該職員への聞き取りを実施し、私的な目的で通報者の戸籍謄本を閲覧・印刷していたことを本人が認めました。市はこの行為について、職務上の権限を濫用し、業務上の必要がないにもかかわらず私的な目的で特定の個人情報を不適切に閲覧・取得したものであり、全体の奉仕者としてあるまじき行為であって市職員としての信用を著しく失墜させるものだと結論づけ、2026年7月1日付で減給10分の1・6カ月の懲戒処分を行いました。あわせて、管理監督責任を問い、当該職員が所属する課の課長を厳重注意処分としています。野々市市長は今回の事案について、個人情報の保護を厳守し市民の権利を守るべき立場にある市職員がその職責を著しく逸脱し個人のプライバシーを侵害したことを深く陳謝し、全職員に対して公務員倫理の徹底と個人情報保護への意識改革に改めて取り組むとコメントしています。

繰り返される自治体職員による住民情報の不正閲覧

当サイトでも継続して報じてきた通り、戸籍・住民情報システムへのアクセス権限を持つ自治体職員が、業務外の私的な目的でこれを悪用する事案は全国で後を絶ちません。熊本県阿蘇市では、「複雑な家系図を作成したかった」という動機で戸籍管理情報へ不正アクセスした職員が停職3カ月の懲戒処分を受けた事例があり、宮崎県小林市では友人の個人情報を盗み見た職員が懲戒解雇となっています。このほかにも、熊本県八代市の職員による個人情報の不正閲覧や、三重県大紀町で町職員が虐待通報者の個人情報を漏洩した事案秋田県で職員が他人のメールを不正閲覧し個人情報を送信した事案など、同種の内部不正が繰り返し確認されています。

これらの事案に共通するのは、正規の業務手続き(今回でいえば戸籍証明書等の交付申請書の提出)を経ずにシステムへアクセスできてしまう権限設計の甘さと、多くの場合、被害者本人からの通報や外部からの指摘がなければ発覚しないという検知体制の限界です。今回の野々市市の事案も、発覚のきっかけは職員自身の申告や内部監査ではなく、被害者本人による外部通報でした。

情報システム部門への示唆

自治体・企業を問わず、戸籍・住民情報・顧客情報等の機微な個人情報を扱うシステムを運用している組織にとって、今回の事案は権限管理と利用ログ監視の重要性を改めて示しています。具体的には、正規の申請書・承認プロセスを経ない照会・閲覧が発生した場合に、システム側でアラートを発する仕組みや、業務上の必要性と実際のアクセス記録を定期的に突き合わせる監査プロセスの整備が有効な対策になります。今回のケースでは、交付申請書が提出されていないにもかかわらず戸籍謄本の閲覧・印刷自体は可能だったとみられ、正規の手続きとシステムアクセスの権限が連動していなかった可能性があります。

また、こうした不正閲覧の多くは、被害者本人が偶然何らかの形で気づき通報するまで発覚しないという共通点があります。定期的なアクセスログの棚卸しや、機微情報へのアクセス理由を事後的に検証できる仕組みを平時から整備しておくことが、内部不正の抑止と早期発見の両面で重要です。あわせて、公務員倫理や個人情報保護に関する教育を定期的に実施し、アクセス権限を持つこと自体が特権ではなく重い責任を伴うという意識を、システムにアクセス可能な全ての職員に浸透させることも、根本的な再発防止策として欠かせません。

出典