ランサムウェアグループAiLockが日本交通へのサイバー攻撃を主張

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ランサムウェアグループAiLockが日本交通へのサイバー攻撃を主張

日本最大のタクシー・ハイヤー事業者である日本交通株式会社(東京都千代田区)は2026年7月22日、7月13日に公表したマルウェア感染によるシステム停止について第3報を発表し、外部専門機関と連携して調査を進める中で、同社から流出した疑いのある情報をインターネット上で確認したと明らかにしました。同社は流出した疑いのある情報の内容や影響範囲は調査中としており、今後の調査により判明した事実は速やかに公表するとしています。一方、本稿執筆者が7月15日の時点でダークウェブ上のリークサイトを確認したところ、ランサムウェアグループAiLockが日本交通を標的に挙げ、2.9TBの非圧縮データを保有していると主張していることを確認しました。なお、7月22日21:11の時点で当該リークサイトを確認したところ、各種サンプルデータは公開されていない状況です。本稿の内容のうちAiLockの主張部分は、攻撃者側による一方的な主張であり、日本交通が犯行グループや攻撃の経緯について公式に認めたものではありません。

サマリー

  • 日本交通は2026年7月22日付の第3報で、ネット上において自社から流出した疑いのある情報を確認したと公表しました。流出情報の内容・影響範囲は調査中としています
  • ダークウェブ上のリークサイトにおいて、ランサムウェアグループAiLockが日本交通から2.9TBの非圧縮データを窃取したと主張していることを確認しています(7月15日時点)
  • AiLockのリークサイトには公開日(Date)として「Coming soon」と記載されており、本稿執筆者が7月22日21:11に確認した時点ではサンプルデータは公開されていません
  • AiLockは2024年以降に活動を開始した新興RaaSで、ポスト量子暗号を採用した技術的特徴を持ち、監督当局への被害者情報通報を恐喝の武器として使う手口で知られています
  • 日本交通は発生当初から外部専門機関と連携して調査を進めており、タクシーの注文はアプリ「GO」または乗り場・流し車両の利用を案内しています
  • 本稿のAiLockに関する記述は攻撃者側の一方的な主張であり、日本交通が公式に認めたものではありません。サンプルデータも公開されておらず、主張の真偽は本稿執筆時点で確認できていません

整理表

項目 内容
被害企業 日本交通株式会社(東京都千代田区)、日本最大のタクシー・ハイヤー事業者
不正アクセスの確認日 2026年7月13日
第1報 2026年7月13日(マルウェア感染によるシステム停止を公表)
第3報 2026年7月22日(ネット上に流出疑いの情報を確認と公表)
流出情報の状況 内容・影響範囲は調査中
犯行声明を出したグループ AiLock(ランサムウェアグループ、RaaS)
AiLockの主張するデータ量 2.9TB(非圧縮)
リークサイトの公開日 Coming soon(7月22日21:11時点でサンプル未公開)
AiLockの特徴 2024年以降活動、ポスト量子暗号採用、規制当局への通報を恐喝に利用
現在のタクシー利用案内 タクシーアプリ「GO」、乗り場・流し車両の利用を推奨
留意事項 AiLockの主張は攻撃者の一方的な主張であり、日本交通が公式に認めたものではない

第3報の内容-「流出した疑いのある情報をネット上で確認」

日本交通の第3報(2026年7月22日付)は、以下の内容を公表しています。同社は2026年7月13日付で外部からの不正アクセス(マルウェア感染)を受けたことを公表していますが、現在外部専門機関と連携のうえ調査を進める中で、今回の攻撃によって同社から流出した疑いのある情報をインターネット上で確認したとしています。流出した疑いのある情報の内容や影響範囲は調査中であり、今後の調査により公表すべき事実が判明した場合は速やかにウェブサイトで告知するとしています。タクシーの注文については、引き続きタクシーアプリ「GO」からの注文、またはお近くのタクシー乗り場・流し車両の利用を案内しています。

なお、同社のシステム停止に関する経緯については、当サイトの既報記事でお伝えしたとおり、7月13日の第1報では電話配車システム、ハイヤーWeb受注、陣痛タクシーWeb登録などへの影響が報告されていました。

AiLockリークサイトの記載内容

本稿執筆者が7月15日にダークウェブ上のAiLock Data Leaksのリークサイトを確認したところ、日本交通株式会社の名称と公式サイト(nihon-kotsu.co.jp)、2.9TB uncompressed dataという記載が掲出されていました。公開日については「Coming soon」とのみ記載されており、日本交通の財務情報(連結売上高1,034.45億円、グループ・パートナー企業の売上高1,554.57億円など)を含む企業説明文が添えられていました。7月22日21:11の時点で改めてリークサイトを確認しましたが、各種サンプルデータは公開されていません。

ただし、これらはAiLockが一方的にリークサイト上に掲示している内容であり、日本交通が犯行グループや攻撃の主体について公式に言及したものではありません。また、ランサムウェアグループは自らの主張を誇張したり、実際には窃取していないデータについて主張したりする場合もあります。第3報で「流出した疑いのある情報をインターネット上で確認した」という日本交通の表現は、AiLockのリークサイトを念頭に置いたものとみられますが、この時点では企業として特定のグループへの帰属を認めたものではありません。

AiLockとはどのようなグループか

AiLockについては当サイトの専門プロファイル記事で詳しく解説していますが、今回の事案を理解するうえで重要な点を整理します。

AiLockは2024年に出現した新興のRaaS(サービスとしてのランサムウェア)で、2026年第1四半期に被害件数が顕著に増加したとセキュリティ企業から指摘されています。ランサムウェア追跡サービスransomware.liveの集計によれば、2026年6月上旬時点で少なくとも38件の被害を主張しています。技術的な特徴としては、ポスト量子暗号(PQC)の採用が挙げられ、現在の量子コンピュータでは解読が困難とされる暗号方式を採用している点が他の多くのRaaSと一線を画します。

また、AiLockの最大の特徴の一つは、被害組織が身代金の支払いを拒否した場合に、個人情報保護委員会や金融庁のような規制当局へ違反を通報すると脅迫する手口で、法的・経営的なリスクを恐喝の武器として活用する点にあります。米国のブロックチェーン分析企業TRM Labsの調査によれば、ピールチェーンという手法を用いて資金洗浄を行っており、ビットコインミキサー経由でMoneroへ変換する経路が確認されています。

情報システム部門への示唆と二次被害リスク

本稿執筆時点でサンプルデータが公開されていないことは、ただちに情報が公開されるわけではないことを意味しますが、今後の対応は予断を許しません。AiLockの過去のケースを踏まえると、交渉が難航した場合あるいは期限に達した場合に段階的にデータを公開するというパターンが想定されます。

日本交通の顧客・取引先の立場からは、仮にデータが公開された場合に備えた注意が必要です。氏名・住所・電話番号・乗降履歴といった情報が含まれる可能性があれば、それらを悪用したスミッシング(SMS詐欺)、なりすまし、フィッシング詐欺の標的となるリスクがあります。AiLockが規制当局への通報を恐喝の手段として使う手口を持っていることも、今後の展開において注意が必要な点です。

インシデント対応という観点では、日本交通が外部専門機関と連携して調査を継続していること自体は適切な対応です。今後の調査で明らかになる流出情報の内容・範囲・対象者数、および個人情報保護委員会への報告・通知の状況については、公式発表を引き続き注視していくことが重要です。

出典