NTTスマートコネクト株式会社は2026年8月19日、レンタルサーバサービス「スマイルサーバ」の一部設備で発生した不正アクセスについて、調査状況と復旧の見通しを公表しました。
対象は「jm9.etius.jp」と「jm10.etius.jp」の2台です。NTTスマートコネクトは7月24日に第三者による不正アクセスを確認し、同日13時に対象設備上の全サービスを停止しました。8月19日時点でも停止は続いており、利用者は停止前のデータを取得できない状態です。
外部専門機関によるフォレンジック調査は8月末の完了を見込んでいます。調査の結果、顧客データに不正アクセスの影響がないことを確認できた場合は、7月24日の停止時点の環境を「復旧環境」として用意し、9月中旬ごろから提供を開始することを目標としています。
現時点で顧客情報が外部へ漏えいした事実は確認されていません。一方、調査は完了しておらず、顧客データへの影響有無や影響範囲は確定していません。
スマイルサーバ不正アクセス続報のサマリー
- NTTスマートコネクトは2026年8月19日、「スマイルサーバ」への不正アクセスについて調査状況と復旧見通しを公表しました。
- 対象は「jm9.etius.jp」と「jm10.etius.jp」の2台で、それ以外のサーバには本事案による影響はないとしています。
- 同社は7月24日に第三者による不正アクセスを確認し、同日13時に対象設備上の全サービスを停止しました。
- 7月24日のサポートサイト上の初報は18時で、当初は「メンテナンス」として案内されていました。
- 外部の専門調査機関が原因、影響範囲、顧客データへの影響有無を調査しており、8月末の完了を見込んでいます。
- 8月19日時点でも対象設備上のサービス停止は継続しています。
- 停止前の顧客データは、不正アクセスの影響を受けている可能性を否定できず、二次被害のおそれがあるため現時点では顧客へ渡していません。
- 7月27日から代替サーバを提供しており、利用者側でWebサイトやメール環境などを再構築する対応が進められています。
- 調査で顧客データに不正アクセスの影響がないことを確認できた場合、7月24日の停止時点の「復旧環境」を提供する方針です。
- 復旧環境の提供開始は2026年9月中旬ごろを目標としていますが、調査結果によって前後する可能性があります。
- 顧客情報が外部へ漏えいした事実は現時点で確認されていません。情報漏えいがなかったと確定した段階ではありません。
- 侵入経路、不正アクセスの開始時期、攻撃者、具体的な影響を受けたデータは公表されていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年8月19日 |
| 対象組織 | NTTスマートコネクト株式会社 |
| 対象サービス | スマイルサーバ |
| 対象設備 | jm9.etius.jp、jm10.etius.jp |
| 不正アクセス確認日 | 2026年7月24日 |
| サービス停止 | 2026年7月24日13時から継続 |
| 初報 | 2026年7月24日18時、当初はメンテナンスとして案内 |
| インシデント | 第三者による不正アクセス |
| 侵入経路 | 確認できませんでした |
| 攻撃開始時期 | 確認できませんでした |
| 顧客データへの影響 | 調査中 |
| 情報漏えい | 現時点で外部漏えいの事実は確認されていません |
| 対象件数・契約数 | 公表されていません |
| フォレンジック調査 | 外部専門機関が実施、2026年8月末完了見込み |
| 代替環境 | 2026年7月27日から提供 |
| 復旧環境 | 顧客データに影響がないことを確認できた場合に提供 |
| 復旧環境提供目標 | 2026年9月中旬ごろ |
| 関係当局への報告 | 関係省庁へ所定の報告を実施 |
| 個人情報保護委員会への報告 | 公表資料では個別に確認できませんでした |
7月に報じたスマイルサーバ不正アクセスの続報
今回の発表は、新たな別の不正アクセスが発生したものではありません。
セキュリティ対策Labでは7月28日、「スマイルサーバ(NTTスマートコネクト)、jm9・jm10サーバへの不正アクセスの痕跡を確認-全サービス停止継続」として第一報を整理しています。
当時、スマイルサーバのサポートサイトでは、7月24日の初報を「メンテナンス」として案内し、7月26日の更新で対象環境に「外部からの不正なアクセスを示す痕跡」を確認したと公表していました。
8月19日のNTTスマートコネクト本体の発表では、「第三者による不正アクセスを確認した」と明記しています。
また、前回はサービス復旧時期が未定でしたが、今回はフォレンジック調査を8月末までに完了する見込みとし、条件付きながら9月中旬ごろから復旧環境の提供を開始する目標が示されました。
サービス停止は7月24日13時、初報は同日18時
今回の発表で、サービス停止時刻も明確になりました。
NTTスマートコネクトは7月24日、第三者による不正アクセスを確認した後、被害拡大を防ぐため同日13時に「jm9.etius.jp」と「jm10.etius.jp」上の全サービスを停止したとしています。
一方、スマイルサーバのサポートサイトに掲載された初報は同日18時でした。この時点では「当社サーバにおいてメンテナンスを実施しています」とだけ案内され、不正アクセスには触れていませんでした。
翌25日には作業の長期化を案内し、26日17時の更新で初めて「外部からの不正なアクセスを示す痕跡」を確認したと公表しています。
したがって、「18時にサービスを停止した」のではなく、「13時にサービスを停止し、18時に最初の案内を掲載した」と整理するのが現在の公式発表に沿った時系列です。
8月末までに原因と影響範囲を調査
NTTスマートコネクトは、外部の専門調査機関によるフォレンジック調査を続けています。
調査対象は、不正アクセスの原因、影響を受けた範囲、顧客データへの影響有無です。現時点では2026年8月末の完了を見込んでいます。
一方、8月19日の発表でも、侵入経路や悪用された脆弱性の有無、不正アクセスが始まった時期、攻撃者、具体的にアクセスされたデータは明らかにされていません。
ランサムウェアによる攻撃だったとの発表もなく、攻撃主体に関する情報も公表されていません。
同社は本事案について、関係省庁に所定の報告を行ったとしています。ただし、どの省庁へ報告したのかは公表資料では明示されていません。
顧客データを返却していないのは「二次被害のおそれ」
今回の続報で重要なのが、停止前のデータを利用者へ渡していない理由です。
NTTスマートコネクトは、jm9・jm10上に残る顧客データについて、不正アクセスの影響を受けている可能性を現時点では否定できないとしています。
その状態でデータを利用者へ渡すと、利用者側の環境で二次的な被害が発生するおそれがあるため、調査完了前の提供を見合わせています。
ただし、同社は顧客データがどのような影響を受けた可能性を想定しているのかまでは公表していません。そのため、データ改ざんやマルウェア混入など、具体的な事象が確認されたと解釈することはできません。
利用者側では、停止前の環境からデータを取得できないため、Webサイトやメール環境などを代替サーバ上で再構築する必要が生じています。
代替サーバは7月27日から提供、停止前データは引き継がれず
NTTスマートコネクトは7月27日から、対象利用者向けに代替サーバの提供を開始しています。
8月18日のスマイルサーバサポート情報では、代替環境として「dc118」と「dc121.etius.jp」が提供されていることも明らかになっています。
代替環境は、停止しているjm9・jm10のデータをそのまま引き継ぐものではありません。
7月27日の案内では、代替環境へ移る利用者はコンテンツやデータベースなどを自身で再構築する必要があるとされ、手元にバックアップがある場合は、それを基にした再構築を検討するよう案内されています。
Webサイトやメールを同じホスティング環境へ集約していた利用者にとっては、サーバ停止が長期化するほど、復旧作業と事業継続への負担が大きくなります。
復旧環境の提供は「顧客データに影響がないこと」が条件
NTTスマートコネクトは、フォレンジック調査の結果、顧客データに不正アクセスによる影響がないことを確認できた場合、7月24日のサービス停止時点の環境を「復旧環境」として用意するとしています。
利用者は、この復旧環境からデータを取得して代替サーバで利用するか、復旧環境そのものを継続利用するかを選べるよう準備が進められています。
提供開始の目標は2026年9月中旬ごろです。
ただし、これは確定した復旧日ではありません。調査結果によって前後する可能性があり、より確度の高い見通しはフォレンジック調査終了後に改めて案内するとしています。
また、復旧環境の提供は「顧客データに不正アクセスの影響がないことが確認できた場合」という条件付きです。8月19日時点では、その条件を満たすことが確認されたわけではありません。
情報漏えいは現時点で確認されていない
NTTスマートコネクトは8月19日時点で、顧客情報が外部へ漏えいした事実は確認されていないとしています。
これは「情報漏えいがなかったことを確認した」という意味ではありません。
フォレンジック調査は継続中であり、顧客データへの影響有無と影響範囲はまだ確定していません。同社は今後、情報漏えいの事実が確認された場合には、対象顧客へ個別に連絡するとしています。
対象となる契約数や顧客数、対象設備に保存されていた情報の種類についても、現時点では公表されていません。
同じFTP・メールパスワードを使い回している場合は変更を要請
情報漏えいは確認されていないものの、NTTスマートコネクトは利用者に認証情報の確認を求めています。
jm9・jm10で利用していたFTPアカウントやメールアカウントと同じパスワードを、他のサービスでも使用している場合には、パスワード変更を検討するよう案内しています。
また、本事案に便乗した不審なメールや電話にも注意を呼びかけています。
NTTスマートコネクトが利用者へパスワードやクレジットカード情報を尋ねることはないとしており、同社を装った連絡から認証情報や決済情報を入力しないよう注意が必要です。
情報システム部門への示唆
今回の続報では、侵入経路や情報漏えいの有無より先に、サービス停止の長期化が利用企業の事業継続に影響している点が明確になっています。
対象サーバを利用している企業は、まず自社が停止前の環境にどのデータを保存していたかを整理する必要があります。Webコンテンツ、メール、問い合わせ情報、データベース、設定ファイルなど、復旧が必要なデータと、調査結果によって影響確認が必要になるデータを分けて把握しておくことが重要です。
手元のバックアップから代替環境を再構築している場合は、バックアップ取得日時と7月24日の停止時点との差分も確認する必要があります。復旧環境が提供された場合、どのデータを戻すのか、代替環境側で発生した更新分とどう統合するのかを事前に決めておくと復旧作業を進めやすくなります。
また、今回のようにホスティング事業者側の判断で長期間サービスが停止するケースでは、バックアップの有無だけでは事業継続策として不十分です。バックアップがあっても、代替サーバ、DNS変更権限、メールの切り替え手順、Webサイトの最低限の告知環境がなければ、復旧までに時間を要します。
復旧環境についても、安全性の確認が前提です。「事業者からデータが返ってきたからそのまま戻す」のではなく、フォレンジック調査の結果と復旧対象データの状態を確認したうえで利用する必要があります。
今回の調査結果は8月末にまとまる見込みです。利用企業にとって次の確認点は、侵入経路、実際に影響を受けたデータの範囲、情報漏えいの有無、復旧環境を安全に利用できる条件、再発防止策です。
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