クオリティア、AI×特許技術でメールセキュリティを再設計 「ブラックURL検知」「ドメインAI判定」「QUALITIA MAIL SS」を発表、村上社長に戦略を聞く

コラム・インタビュー

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クオリティア、AI×特許技術でメールセキュリティを再設計 「ブラックURL検知」「ドメインAI判定」「QUALITIA MAIL SS」を発表、村上社長に戦略を聞く

株式会社クオリティアは2026年9月4日、「最新型AI×特許技術で挑む、次世代メールセキュリティ戦略発表会」を開催し、受信メール対策、送信メール対策、メール基盤の3領域で新機能・新サービスを発表しました。

※写真左から 株式会社クオリティア 営業本部本部長 辻村氏、 代表取締役社長 村上氏、Hornetsecurity株式会社 カントリーマネージャー 伊藤氏

受信側では、標的型メール攻撃対策「Active! zone SS」「Active! zone」に、Hornetsecurityの「IsItPhishing Threat Detection」と連携した「ブラックURL検知機能」を11月上旬から実装します。

送信側では、メール本文に書かれた企業名と宛先ドメインの整合性をAIで判定する「ドメインAI判定機能」を「Active! gate SS」に追加します。既存ユーザー向けプレビュー版を11月上旬に提供し、2027年1月下旬から一般発売する予定です。

さらに、新たなクラウド型メールサービス「QUALITIA MAIL SS」を2027年1月下旬に投入します。従来のメール機能に、返信文生成や感情診断などのAI機能、アンチスパム、BIMI、誤送信防止、標的型メール攻撃対策などを組み合わせ、メールを単独の通信手段ではなく「企業のコミュニケーションの信頼を支える基盤」として再設計する方針です。

発表会後、セキュリティ対策Labはクオリティア代表取締役社長の村上正幸氏にインタビューを実施。村上氏は、生成AIによってメール攻撃が大量化・高度化する一方、誤送信など送信側のリスクも残る中で、「受信」「送信」「メール基盤」を個別に提供するのではなく、統合していく必要があると説明しました。

クオリティアの新製品・新機能のサマリー

  • クオリティアは2026年9月4日、次世代メールセキュリティ戦略を発表しました。
  • 受信メール対策では「Active! zone SS」「Active! zone」に「ブラックURL検知機能」を追加します。
  • ブラックURL検知機能はHornetsecurityの「IsItPhishing Threat Detection」と連携します。
  • クオリティアによると、国内法人向けメールセキュリティサービスとして同技術との連携は国内初です。
  • ブラックURL検知機能は2026年11月上旬に提供予定で、初年度販売目標は100社です。
  • 送信メール対策では「Active! gate SS」に「ドメインAI判定機能」を追加します。
  • ドメインAI判定は、メール本文の企業名と宛先ドメインの整合性をAIと独自データベースで確認します。
  • ドメインAI判定は2026年11月上旬に既存ユーザー向けプレビュー、2027年1月下旬に一般発売予定です。
  • 予定価格は1ユーザーあたり500円から(税抜)、初年度販売目標は300社です。
  • 同機能には、2009年出願・2013年登録のメール配送関連特許(特許第5410811号)が活用されています。
  • 新クラウドメールサービス「QUALITIA MAIL SS」は2027年1月下旬に発売予定です。
  • QUALITIA MAIL SSは返信作成、感情診断などのAI機能とメールセキュリティ機能を統合します。
  • 村上社長は、今後は製品を個別に提供する「バラ売り」ではなく、統合型のメール・コミュニケーション基盤へ進化させる方針を示しました。
  • 将来的にはメールだけでなく、チャットやタスク管理、他社プラットフォームとの連携も視野に入れています。
項目 ブラックURL検知機能 ドメインAI判定機能 QUALITIA MAIL SS
主な領域 受信メールセキュリティ 送信メールセキュリティ メール基盤
対象 Active! zone SS / Active! zone Active! gate SS 新クラウドサービス
主な機能 URLのフィッシング判定 本文企業名と宛先ドメインの照合 メール、AI、生産性、セキュリティの統合
AI活用 URL・ページ・画像などの解析 企業名抽出、文脈解析、マッチング 返信作成、感情診断など
外部連携 Hornetsecurity IsItPhishing Threat Detection 独自DB+AI セキュリティ製品・AI機能を統合
提供予定 2026年11月上旬 2026年11月プレビュー、2027年1月一般発売 2027年1月下旬
価格 対象プラン/オプションに含む 500円~/1ユーザー(税抜) 500円~/1ユーザー(税抜)
初年度販売目標 100社 300社 100社

「怪しい日本語を見抜く」だけでは対応が難しい時代に

発表会でクオリティアは、生成AIの普及によってメール攻撃の特徴が変化していると説明しました。

従来のフィッシングメールでは、不自然な日本語、誤字、送り主との文脈の不一致などが利用者の判断材料になることがありました。

一方、生成AIを使えば、自然な日本語で、企業や担当者ごとの文脈に合わせたメールを大量に生成できます。

クオリティアの営業本部 本部長 辻村安徳氏は、個人を狙うフィッシング、偽SMS、QRコード詐欺と、企業を狙う標的型攻撃メール、BEC、ランサムウェア、なりすましメールは「別の問題ではない」と説明しました。

同社は、メールやメッセージングそのものへの信頼が低下する中で、「メールを守る」から「企業のコミュニケーションの信頼を守る」へ製品戦略を広げる方針です。

Active! zoneに「ブラックURL検知」、リアルタイムでフィッシングを判定

受信メール対策の新機能が「ブラックURL検知機能」です。

対象はクラウド型の「Active! zone SS」とオンプレミス型の「Active! zone」で、2026年11月上旬に実装する予定です。

メール本文や添付ファイルに含まれるURLを解析し、フィッシングサイトや悪意のあるサイトへの誘導を検知します。

判定にはHornetsecurityの「IsItPhishing Threat Detection」を利用します。

Hornetsecurityの説明によると、同技術はREST API形式で既存サービスへ組み込むことができ、URLが正規サイトかフィッシングサイトかをリアルタイムに判定します。

判定処理では、既知の脅威インテリジェンスとの照合だけでなく、URLのリダイレクト先を確認し、最終ページまで追跡したうえで、URL、ページ、画像などを解析します。

既知URLのブラックリストだけでなく、AIで未知サイトも分析

Hornetsecurityは検知を複数のレイヤーで行うと説明しています。

「Smart Patterns」と呼ぶヒューリスティックルール、機械学習、深層学習を組み合わせます。

機械学習ではURLやページの特徴を約50項目分析し、難読化やリダイレクトなどの特徴を確認します。

深層学習では、ブランドロゴ、QRコード、画像内の不審なテキストなども画像認識で解析します。

また、攻撃者がセキュリティベンダーからのアクセスだけ正常ページへ誘導する「回避型フィッシング」への対策として、URLパラメータの匿名化、30種類以上の端末・ブラウザを使ったモバイルレンダリング、複数地域からのブラウジングなどを実施するとしています。

クオリティアは、従来のブラックリストでは検知が難しい新規作成サイトや未知のフィッシングサイトへの対応力を高める狙いです。

Hornetsecurityとの国内初連携

クオリティアは、国内で提供される法人向けメールセキュリティサービスとして、Hornetsecurityの「IsItPhishing Threat Detection」と連携したフィッシングサイト検知機能は国内初としています。

この「国内初」は2026年9月時点のクオリティア調査に基づくものです。

Hornetsecurityは現在、Proofpointのビジネスユニットとして事業を展開しています。

発表会ではHornetsecurity カントリーマネージャーの伊藤利昭氏も登壇し、同社のフィッシング検知技術とクオリティアのメールセキュリティ製品を組み合わせることで、国内企業・組織の対策強化を支援すると説明しました。

Active! gate SSには「ドメインAI判定機能」

送信メール側では、「Active! gate SS」に「ドメインAI判定機能」を追加します。

今回の新機能は、宛先そのものだけでなく「本文の内容」と「送信先ドメイン」が一致しているかを確認する点が特徴です。

例えば、宛先が abc.co.jp なのに、本文の宛名が「株式会社CCC」となっている場合、AIが関連性の低さを検知し、送信前に利用者へ警告します。

単にドメイン名を比較するのではなく、メール本文から企業名を抽出し、宛先ドメインに紐付く企業名との整合性を確認します。

独自データベース、AI、複数段階のマッチングを組み合わせる

ドメインAI判定では、ドメインと企業名を紐付けた独自データベース、AIによる文脈解析、複数段階のマッチングロジックを組み合わせます。

「株式会社クオリティア」「クオリティア」「(株)クオリティア」「QUALITIA」「QUALITIA CO., LTD.」といった企業名の表記ゆれにも対応します。

データベースに登録されていない企業については、AIによる推定判定を行います。

さらに、利用者が最終的に行った判断をAIの学習へ活用し、判定精度を継続的に高める計画です。

将来的にはドメインだけでなく、メールアドレスのローカルパート、つまり宛先名まで含めてマッチングする機能も予定しています。

11月にプレビュー、2027年1月に一般発売

ドメインAI判定機能は、2026年11月上旬に既存ユーザー向けのプレビュー版を提供します。

一般発売は2027年1月下旬を予定しています。

予定価格は1ユーザーあたり500円から(税抜)で、「Active! gate SS オリジナル運用プラン(VPSタイプ)」の有償オプションとして提供します。

初年度販売目標は300社です。

新メールサービス「QUALITIA MAIL SS」を初披露

今回の発表会では、新たなメール基盤「QUALITIA MAIL SS」も初披露されました。

2027年1月下旬にクラウドサービス(SaaS)として発売予定で、予定価格は1ユーザーあたり500円から(税抜)、初年度販売目標は100社です。

クオリティアはQUALITIA MAIL SSについて、3つの特徴を示しています。

一つ目は「迷わないUI」です。利用者が見慣れた操作感を重視し、導入後すぐに利用できる設計を目指します。

二つ目は「当たり前にAIを使う」です。返信文の作成や感情診断など、AIをメール操作の中に自然に組み込みます。

三つ目は「豊富なセキュリティ対策」で、アンチスパムやBIMIだけでなく、誤送信対策、標的型メール攻撃対策も統合する方針です。

発表資料では、今後の方向性として「メールシステム」「業務生産性」「セキュリティ」「AI」を統合し、宛先AI判定、ブラックURL検知、感情診断、返信文生成、要約などを一体化する構想を示しました。

クオリティア 村上正幸社長インタビュー

新製品リリースにあたり、村上社長と同営業本部長 辻村氏にインタビューし想いや戦略を伺いました。

受信・送信・メール基盤を一体で展開する狙い

ーー今回、受信・送信・メール基盤の3領域を同時に発表されます。個別製品の機能強化ではなく、この3領域を一体として展開することには、クオリティアの事業・製品戦略上どのような狙いがありますか。

村上氏:私たちを取り巻く環境は、本当に受信対策、送信対策といった個別の問題ではなくなっていると考えています。

生成AIの普及によって、受信側ではフィッシングやビジネスメール詐欺といった攻撃が非常に高度化しています。

一方、送信側でも、誤送信や情報漏えいのリスクを非常に重要視していく中で、その両方を支える基盤としてAI活用が求められる時代になっていると考えています。

私たちは、メールを守るだけではなく、お客様の「コミュニケーションの信頼」を守る基盤が必要だと考えています。

そのため、それぞれの単独機能を個別に提供するのではなく、製品を連携させ、統合した形に進化させていきたいと考えています。

この2〜3年で変わったメールセキュリティへの要求

ーーこの2〜3年で、顧客企業から寄せられるメールセキュリティに関する相談や要求はどのように変化しましたか。また、その変化を今回の製品戦略にどう反映したのでしょうか。

村上氏:以前は「スパムを止めたい」「ウイルスメールを止めたい」といったようなご要望が中心でした。

最近は、本当に自然な日本語で攻撃メールが届くことが増えています。

添付ファイルもなく、メールの文章自体も非常に自然だとすると、従来のアンチスパム対策では止められないメールも増えています。

さらにAIの登場によって、非常に大量に、より自然に、そしてパーソナルに、特定の企業や特定の対象を狙った攻撃が非常に増えています。

そういったものをどう守っていくのかというところで、今回のブラックURL検知機能やAIを取り入れた対策を進めています。

Hornetsecurityとの協業を決めた理由

ーーHornetsecurityさんとの協業を発表されていますが、Hornetsecurity社はProofpoint社に買収されています。開示可能な範囲で、今後のすみ分けや関係性についてはどのように考えていますか。

辻村氏:もともと我々はアンチスパムのエンジンで、Proofpointさんが関係するCloudmarkのエンジンを5年以上前から使っています。

ですので、Proofpoint自体とのお付き合いはこれまでもありました。

HornetsecurityさんとProofpointさんが一緒になられたということも分かった上で、今回の検証を進めています。

このあたりについては、それぞれの事業活動に特に変更はないという方針も、CEOの方にご来社いただいた際にお話しいただいていますので、そこに関しての心配は特にありません。

Hornetsecurityとの協業理由はメールに特化したベンダーであるという点です。

それから、APIで組み込みが可能な「パーツ」として提供してくれるというところがあります。実は複数のエンジンを比較検討しました。

私どもの検証環境に実際に届くメールをベースに検証したところ、検知率が一番良かったという点もあります。

また、検知漏れのメールもありましたが、それに対するロジックや対応が非常に早かった。ロジックの説明が明快だったというところもあります。

5年後・10年後、メールと周辺コミュニケーションをどう見るか

ーーMicrosoft 365やGoogle Workspaceの機能が高度化し、チャットなどメール以外のコミュニケーション手段も広がる中で、クオリティアが今後もメール領域を重要な事業領域として捉えている理由は何でしょうか。また、5年後・10年後の企業メールをどのように見ていますか。

村上氏:直近はもちろん、メールをきちんと支える形でやっていきます。

ただ、将来的に5年後、10年後というところになりますと、おそらく生成AIがさらに進化することで、メールの使い方自体も変わってくると思います。

そういった中では、私どもとしてもメール以外のチャットであるとか、タスク管理であるとか、もっと言えば、私どものサービス以外のプラットフォームとつなぐようなことも必要になると考えています。

メールはもちろん私どもの一番のコアですので、そこは大事にしながら、周辺の領域も取り入れて対応していきたいと考えています。

新体制で変えること、変えないこと

ーー社長就任から約8か月で今回の発表を迎えます。新しい経営体制の中で、製品開発や事業戦略について特に変えていきたいと考えていることはありますか。一方で、クオリティアとして今後も変えずに守りたいものは何でしょうか。

村上氏:これまで30年、お客様ごとの個別の要望に応える形でサービスや製品を開発してきました。

ただ、これからは本当に統合的に、お客様の基盤、コミュニケーションインフラを守り、信頼を守っていただくという形で、個別の「バラ売り」ではなく、トータルでの販売、あるいは開発が必要だと考えています。

私ども自社だけではなく、グローバルのパートナーや他社サービスとの連携も含めて考えています。

APIでつながる形での統合的な見せ方でもいいと思います。

個別の要望に応えるだけではなく、本当にトータルでお客様に見せていかなければいけないということは、社内の開発にも伝えていますし、そこは変わっていくという意思の表明でもあります。

一方で、変えないものとしては、長くお客様に製品をご利用いただく中で、お客様の信頼を守ること、お客様のコミュニケーション基盤を支えるという概念や考え方は変えずにいきたいと思っています。

きちんと信頼いただける会社をつくっていきたいと考えています。

謝辞

本記事の取材にあたり、株式会社クオリティア 代表取締役社長 村上正幸氏に、受信・送信・メール基盤を一体で展開する狙い、メールセキュリティに対する顧客要求の変化、Hornetsecurityとの協業、5年後・10年後のメールと周辺コミュニケーション、新たな経営体制で変えていくこと・守ることについてお話を伺いました。

また、発表会では株式会社クオリティアおよびHornetsecurity株式会社から、新製品・新機能とフィッシング対策技術について説明いただきました。

ご多忙の中、取材・資料提供にご協力いただいた皆さまに御礼申し上げます。