株式会社シーイーシーは2026年8月7日、前日に公表した同社データセンターサービスの障害について、ランサムウェアによる攻撃であることを確認したと発表しました。
第1報では、2026年8月5日11時頃に東京第二データセンターで不正アクセスに起因する障害が発生し、サービスは復旧済みである一方、サイバー攻撃の影響を受けた可能性があるとしていました。続報では、原因がランサムウェア攻撃であること、警察へ被害を報告したこと、個人情報保護委員会へ情報漏えいの可能性がある事案として第一報を入れたことが明らかになりました。
シーイーシーによれば、本日までの調査で情報漏えいは確認されていません。また、攻撃対象となった領域は、顧客から預かっているシステムやデータとは別領域であることが判明したとしています。もっとも、攻撃を受けた領域については調査委員会および第三者専門機関とともに調査を継続しており、現時点では影響範囲や侵入経路の詳細は未確定です。
シーイーシーのデータセンターサービス障害・ランサムウェア攻撃のサマリー
- シーイーシーは2026年8月7日、データセンターサービス障害の原因がランサムウェア攻撃であることを確認したと公表しました。
- 第1報では、8月5日11時頃に東京第二データセンターで不正アクセスに起因する障害が発生し、サービスは復旧済みと説明されていました。
- 続報では、警察への被害報告と、個人情報保護委員会への情報漏えいの可能性がある事案としての第一報が明らかになりました。
- 本稿執筆時点で情報漏えいは確認されておらず、攻撃対象領域は顧客から預かっているシステムやデータとは別領域とされています。
- データセンターやクラウド基盤の障害は、委託元企業の業務継続や顧客説明にも波及するため、委託先インシデント時の確認手順を平時から用意する必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 第1報:2026年8月6日、続報:2026年8月7日 |
| 被害企業 | 株式会社シーイーシー |
| 発生場所 | 東京第二データセンター |
| 発生日時 | 2026年8月5日11時頃 |
| 事案の内容 | データセンターサービスで不正アクセスに起因する障害が発生。続報でランサムウェア攻撃と確認 |
| 漏洩情報の内容 | 本稿執筆時点で情報漏えいは確認されていません。具体的な漏えい対象、件数、情報項目は未公表です |
| 顧客システム・顧客データへの影響 | 攻撃対象となった領域は、顧客から預かっているシステムやデータとは別領域と説明されています |
| 個人情報保護委員会への報告 | 情報漏えいの可能性がある事案として第一報を実施済み |
| 警察への報告 | 被害を報告済み |
| 対応状況 | サービスは第1報時点で復旧済み。調査委員会および第三者専門機関と調査継続 |
| 未確認事項 | 侵入経路、ランサムウェアの種類、暗号化範囲、復旧手順、影響を受けた具体的な領域、攻撃者による窃取主張の有無 |
何が起きたか
シーイーシーは2026年8月6日の第1報で、同年8月5日11時頃、同社の東京第二データセンターにおいて、不正アクセスに起因する障害が発生したと公表しました。この段階では、サービスは復旧しているものの、障害がサイバー攻撃の影響を受けた可能性があるとして、原因特定に向けた対応を進めるという説明でした。
翌8月7日の続報では、調査の結果、不正アクセスに起因する障害がランサムウェアによる攻撃であることを確認したとしています。ランサムウェア攻撃は、単に業務データやサーバーを暗号化するだけでなく、近年はデータを窃取したうえで公開をちらつかせる二重恐喝型の手口も一般化しています。そのため、同社が情報漏えいの可能性がある事案として個人情報保護委員会へ第一報を入れたことは、現時点で漏えいが確認されたという意味ではなく、法令上・実務上のリスクを踏まえた初動対応と見るべきです。
シーイーシーは、現時点で情報漏えいは確認されていないと説明しています。さらに、攻撃対象となった領域は、顧客から預かっているシステムやデータとは別領域であることが判明したとしています。この点は、データセンターサービス利用企業にとって重要な説明です。一方で、攻撃を受けた領域の調査は継続中であり、影響範囲の確定や侵入経路の特定は今後の続報を待つ必要があります。
第1報から続報で明らかになった更新点
第1報時点では、東京第二データセンターで発生した障害が不正アクセスに起因するものとされ、サイバー攻撃の影響を受けた可能性があるという表現にとどまっていました。続報では、この事案がランサムウェア攻撃であることが確認され、警察への被害報告と個人情報保護委員会への第一報が行われたことが明らかになりました。
大きな更新点は、障害の原因が単なるシステムトラブルではなく、ランサムウェア攻撃であると確認された点です。データセンターサービスで障害が発生した場合、利用企業側ではネットワーク、仮想基盤、ストレージ、バックアップ、監視、運用代行のどの範囲に影響があるのかを切り分ける必要があります。今回の公表では、顧客システムや顧客データとは別領域が攻撃対象とされていますが、利用企業としては、自社のサービス停止、バックアップの状態、委託先からの連絡経路、顧客説明の要否を確認する必要があります。
個人情報保護委員会への報告は、情報漏えいの事実が確定したことを意味するものではありません。個人情報の漏えい等またはそのおそれがある場合には、一定の要件に該当する事案で個人情報保護委員会への報告が求められます。今回のようにランサムウェア攻撃が確認され、情報漏えいの可能性を完全には否定できない段階では、速報的に報告しながら調査を進める実務対応が取られます。
今後確認すべき続報のポイント
今後の続報で確認したいのは、第一に侵入経路です。ランサムウェア攻撃では、VPN装置、リモートデスクトップ、脆弱な外部公開サーバー、認証情報の窃取、委託先経由のアクセスなどが侵入経路になり得ます。今回の公表時点では、どの経路から侵入されたのかは明らかになっていません。
第二に、暗号化や破壊の範囲です。サービスは復旧済みとされていますが、どの領域で障害が発生し、どのような復旧作業を行ったのかは、利用企業のリスク評価に関係します。顧客システムや顧客データとは別領域という説明に加え、運用管理系、監視系、バックアップ系、ログ保管系のどこまで影響したのかが明らかになると、委託元企業側の判断もしやすくなります。
第三に、情報漏えい調査の結論です。現時点で漏えいは確認されていませんが、外部送信の有無、ファイルアクセス履歴、攻撃者の行動範囲、攻撃者が取得した可能性のある認証情報などについて、今後どの程度説明されるかが重要です。
第四に、再発防止策です。ランサムウェア攻撃を受けた領域が顧客データとは別であったとしても、データセンター事業者には高い水準の可用性と説明責任が求められます。ネットワーク分離、バックアップの隔離、EDRの監視範囲、特権ID管理、保守経路の多要素認証、外部公開資産の脆弱性管理、インシデント時の顧客通知体制が、再発防止策の焦点になると考えられます。
情報システム部門への示唆
自社がシーイーシーのデータセンターサービスを利用している場合、まず契約しているサービス範囲を確認し、今回の障害対象領域との関係を問い合わせる必要があります。顧客から預かっているシステムやデータとは別領域とされていますが、自社の運用管理、監視、バックアップ、保守対応に影響がなかったかは、契約単位で確認するべきです。
委託先から障害報告を受ける側の企業は、情報漏えいの有無だけでなく、業務継続への影響を分けて評価する必要があります。システムが止まったか、監視が止まったか、バックアップに影響したか、ログを取得できているか、管理者権限が悪用された可能性があるかを確認すると、社内説明や顧客説明の精度が上がります。
ランサムウェア対策としては、バックアップを取っているかどうかだけでは不十分です。攻撃者がバックアップ領域まで到達できない構成になっているか、復旧訓練を実施しているか、運用管理用アカウントに多要素認証を適用しているか、委託先の緊急連絡先と報告基準が契約上明確かを見直す必要があります。
今回のようなデータセンター事業者側のインシデントでは、利用企業が直接攻撃を受けていなくても、顧客から問い合わせを受ける可能性があります。情報システム部門、法務、広報、事業部門は、委託先の続報を待つだけでなく、自社サービスへの影響有無、顧客説明の要否、二次被害注意喚起の要否を並行して判断できる体制を整えておくべきです。
2026年 ランサムウェアの事例-国内・海外の被害を解説でも整理している通り、ランサムウェア被害は暗号化による業務停止だけではなく、情報漏えい、委託先リスク、決算・開示、顧客説明まで波及します。特にデータセンターやクラウド基盤を利用する企業では、委託先のセキュリティ水準を一度確認して終わりにせず、障害・攻撃発生時の情報共有プロセスまで含めて点検することが重要です。
出典
- 当社データセンターサービスの障害発生のお知らせ(続報) – 株式会社シーイーシー
- 当社データセンターサービスの障害発生のお知らせ(第1報) – 株式会社シーイーシー
- 漏えい等の対応とお役立ち資料 – 個人情報保護委員会
- お客様のDX実現を支援するシーイーシーデータセンター – 株式会社シーイーシー
- KADOKAWAがランサムウェア攻撃とサイバー攻撃で約25万人の個人情報漏洩を発表 – セキュリティ対策Lab
- 第一工業、ランサムウェアの侵入経路はVPN装置の可能性、現時点で情報漏えいは確認されず – セキュリティ対策Lab
- 2026年 ランサムウェアの事例-国内・海外の被害を解説 – セキュリティ対策Lab








