2026年 ランサムウェアの事例-国内・海外の被害を解説

ランサムウェア被害の事例

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2026年 ランサムウェアの事例-国内・海外の最新 被害同行

2026年も企業や医療機関を脅かすランサムウェア被害が後を絶ちません。身代金の支払い件数自体は横ばい傾向にあるものの、攻撃の標的は大企業からサプライチェーン全体へと広がり、情報漏えいの規模や業務停止によるビジネスへのダメージは確実に拡大しています。本記事では、2026年に発生したランサムウェアによる主要な被害事例と、ダークウェブ等で公開された犯行声明、そして情報システム部門が直ちに見直すべき教訓について最新の動向をまとめました。

【30秒でわかる本記事の概要】

  • 2025年と比較してランサムウェアの身代金支払いは横ばい傾向だが、窃取されるデータ量や業務停止の長期化など、実被害の規模は拡大している。
  • 大分県の「トキハ」がサイバー攻撃を契機に債務超過に陥るなど、インシデントが企業経営を直接的に破壊する事例が発生した。
  • アサヒグループホールディングスは2026年7月、Qilinによる攻撃の影響で純利益37%減の決算を発表し、営業利益ベースで370億円弱の減益要因になったことが確定。ランサムウェア被害が決算・株主総会レベルの経営問題に発展することを示す象徴的な事例となった。
  • 「Everest」や「INCランサムウェア」「Stormous」等のサイバー犯罪グループが国内企業への犯行声明を次々と出しており、保守用VPNの脆弱性を突いた医療機関への連続攻撃や、武蔵野大学・八王子学園など教育機関への攻撃の連続発生も確認されている。
  • 【追加】 ランサムウェア被害企業を支援すべき交渉担当者が攻撃者側と共謀していた事件で、実行役に禁錮70カ月の判決が下るなど、インシデント対応業界自体の信頼性が問われる事案も発生した。

    2026年 ランサムウェア 被害企業の事例とインシデント一覧

    下表は本記事で取り上げる主要インシデントを公表月順にまとめたものです。

    公表月 組織・対象名 概要 影響規模 犯行主張グループ
    2026年7月 アサヒグループホールディングス 決算発表、サイバー攻撃の影響で純利益37%減 営業利益ベースで370億円弱の減益、個人情報約11.5万件の漏洩が確定 Qilin
    2026年7月 八王子学園 ランサムウェアによるサイバー攻撃を公表 代表メールアドレスが不通、調査中 不明
    2026年7月 樋口商会 不正アクセスで子会社の財務情報・取引先情報の漏えいの恐れ 調査中 Stormous
    2026年7月 ネットワークジャパン(ネットワーク引越センター) DBを削除したうえで暗号資産を要求する恐喝型攻撃 情報の滅失・漏えいの恐れ 不明(データ削除型)
    2026年6月 武蔵野大学 ランサムウェア感染、Qilinが犯行声明 個人情報漏洩は本稿執筆時点で未確認、教育活動への影響なし Qilin
    2026年2月 アドバンテスト 社内ネットワークへの不正アクセス・ランサムウェア展開 中核業務は稼働継続、調査中 不明
    2026年1月 日産自動車 ダークウェブリークサイトでの侵害主張 機微な情報・個人情報の漏洩は未確認 Everest
    2026年3月 穴吹興産 / 穴吹ハウジングサービス ランサムウェア攻撃・データ暗号化・漏洩確認 約49.6万人分の個人情報 Qilin
    2026年3月 トキハ / トキハインダストリー サイバー攻撃起因の減損・約27億円の債務超過 会員情報最大約42万件 不明
    2026年2月 ホソカワミクロン サイバー攻撃の可能性を公表・30GB窃取を主張 調査中 Everest
    2026年2月 信和株式会社 サイバー攻撃の可能性を公表 調査中 Everest
    2026年2月 日本医科大学武蔵小杉病院 保守用VPN経由でランサムウェア侵入・漏洩確認 約13万人分の個人情報 NetRunner
    2026年2月 白梅豊岡病院(静岡県) ランサムウェア攻撃・ハッカーが不正アクセスを主張 個人情報漏洩の恐れ NetRunner
    2026年2月 ストライカー(医療機器) 社内Microsoft環境に影響・受注・出荷に障害 業務継続への影響 イランのHandala
    2026年2月 日本スウェージロックFST ランサムウェア被害を公表 調査中 不明
    2026年2月 オーダースーツ エフワン サイバー攻撃で約17万件の個人情報漏洩 約17万件 BlackShrantac
    2026年2月 株式会社コバヤシ(合成樹脂販売) 不正アクセスで8,149件の個人情報漏洩確認 8,149件 World Leaks
    2026年1月 関西総合システム VPN脆弱性悪用・業務データ暗号化 業務データ暗号化 Brain Cipher
    2026年1月 牧村 ランサムウェア被害・復旧完了を公表 復旧完了済み NightSpire
    2026年1月 JAあきた北ライフサービス サイバー攻撃で個人情報漏洩の恐れ 個人情報漏洩の恐れ INC Ransomware

    2025年のランサムウェアの身代金支払いは横ばいでも被害は拡大

    Chainalysisが2026年2月26日に公開した分析によると、2025年のランサムウェア「身代金支払い総額」は約8.2億ドル(約1,279億円)と2024年の8.92億ドルから約8%減少しました。しかし、リークサイト等で主張された被害件数は前年比50%増と報告されており、支払い率(支払った被害者の割合)は約28%まで低下した可能性があります。

    また身代金の中央値は、2024年の12,738ドル(約199万円)から2025年は59,556ドル(約929万円)へと約368%急増しています。

    詳細記事: 2025年のランサムウェアの身代金支払いは横ばいでも被害は拡大

    ランサムウェア交渉担当がランサムウェアグループ側へ情報提供か

    米司法当局は2026年3月、ランサムウェア被害企業を支援する立場にあった交渉担当者が、逆にALPHV(いわゆるBlackCat)側の共謀者へ交渉情報を流し、身代金の最大化に加担していたとする訴追文書を公開しました。

    対象となったのはフロリダ州在住のAngelo Martino被告で、2023年4月ごろから2025年4月ごろにかけて情報提供を行っていたとされています。信頼できるはずの外部交渉担当者が攻撃者側と共謀していたという本件は、インシデント対応における内部管理と外部委託先の選定がいかに重要かを示す事例です。

    詳細記事: ランサムウェア交渉担当がランサムウェア グループ側へ情報提供か

    禁錮70カ月の判決-BlackCat共謀事件、顧客を裏切った「二重スパイ」の全貌

    米フロリダ州南部地区連邦地方裁判所は2026年7月9日、上記のAngelo Martino被告に対し、BlackCat(ALPHV)との共謀による恐喝罪で禁錮70カ月の実刑判決を言い渡しました。同被告は自ら攻撃に関与しながら、DigitalMintの交渉担当者として被害企業5社の交渉を任され、保険金上限額や交渉方針といった機密情報をBlackCat側へ提供し、身代金を最大限に引き出す片棒を担いでいたとされています。

    共謀者のライアン・クリフォード・ゴールドバーグ被告(元Sygniaインシデント対応マネージャー)とケビン・タイラー・マーティン被告(元DigitalMint交渉担当者)は、2026年4月から5月にかけてそれぞれ禁錮4年の判決を受けています。3人が関与した攻撃対象は10社にのぼり、うち6社が身代金を支払い、総額は約7,530万ドル(約122億円)に達しました。DigitalMintの最高経営責任者は、元従業員らの行為は会社に無断の別経路の通信手段を通じて意図的に隠蔽されていたと説明しています。

    アサヒグループホールディングス、Qilinによる攻撃で決算発表が5カ月遅延-サイバー攻撃の影響は370億円弱

    ランサムウェア|Qilin|個人情報約11.5万件、営業利益への影響370億円弱

    アサヒグループホールディングスは2026年7月8日、当初予定から約5カ月遅れとなる2025年12月期の連結決算を発表しました。純利益は前期比37%減の1,215億円、2025年9月に発生したランサムウェアによるサイバー攻撃が営業利益ベースで370億円弱の減益要因になったことが明らかになっています。内訳は、商品供給の一時停止による事業利益ベースでの影響が約200億円、システム障害関連費用(棚卸資産の廃棄・評価損、システム復旧の人件費、広告キャンセル費用等)が約170億円です。

    発端は2025年9月29日、ランサムウェアグループQilinによるものとみられる攻撃で、データセンターと接続する複数サーバー・PC端末が暗号化され、受注・出荷・コールセンター業務が全面停止しました。出荷停止の影響は競合他社にも波及し、キリンビールはお歳暮ギフト全商品を休売、サントリー・サッポロも一部商品の販売を休止したほか、プロ野球優勝時のビールかけ実施にも支障が出るなど、業界・社会全体に及ぶ異例の事態となりました。その後2025年11月27日には約191.4万件の個人情報漏洩の可能性が公表され、2026年2月18日の最終調査結果では約11万5,000件の漏洩が確認されています。

    全品出荷の再開は2026年4月7日、決算発表は当初予定の2月ごろから約5カ月遅れの2026年7月8日となり、あわせて9月9日に臨時株主総会を開催する予定です。2026年12月期の業績予想は増収増益を見込んでおり、決算発表を受けて同社株価は一時前日比6%高まで上昇しました。NIST CSF準拠のセキュリティ診断やEDR監視を実施していたにもかかわらず侵入を許した今回の事案は、生成AIによって攻撃側の技術的なハードルが下がり続けている潮流を踏まえ、侵入防止一辺倒ではなくレジリエンス強化への転換が必要であることを示す事例でもあります。ランサムウェア被害が単なるシステム障害にとどまらず、決算発表の延期や臨時株主総会の開催という、上場企業のガバナンス・情報開示の根幹に関わる問題へと発展した点で、2026年を象徴する事例だといえます。

    詳細記事: アサヒ グループホールディングス、2025年12月期決算を発表-純利益37%減、サイバー攻撃の影響は370億円弱

    国内外 企業・組織のランサムウェア被害事例

    以下の通り引き続きランサムウェアグループが犯行声明を主張している企業も複数存在します。なお、実際の漏洩がグループによるものかは断定するものではありません。

    学校法人武蔵野大学、Qilinがランサムウェアによるサイバー攻撃を主張

    ランサムウェア|Qilin|個人情報の漏洩は本稿執筆時点で未確認

    武蔵野大学は2026年6月15日、法人が管理するサーバーへのサイバー攻撃(不正アクセス)を受け、ランサムウェアへの感染が確認されたと公表しました。すでにバックアップからの復旧作業を進めており、教育活動に必要なシステムは利用可能な状態に戻されています。同年6月29日には、ランサムウェアグループQilinがダークウェブ上のリークサイトに同大学を教育機関カテゴリの被害組織として掲載し、犯行を主張していることが確認されました。当サイトで公開画像を確認したところ、複数部門にまたがる予算・経費管理に関する内部資料や契約書が含まれていましたが、本稿執筆時点で学生・教職員等の個人情報は確認できていません。報道によれば授業などの学校運営に支障はないとのことです。

    詳細記事: ランサムウェア グループ Qilinが武蔵野大学への不正アクセスによるサイバー攻撃を主張

    八王子学園、ランサムウェアによるサイバー攻撃を公表-代表メールアドレスが不通に

    ランサムウェア|グループ:不明

    学校法人八王子学園(東京都八王子市、八王子中学校・高等学校を運営)は2026年7月13日、同校の一部サーバーが第三者による不正アクセスおよびランサムウェアの被害を受けたことを公表しました。対策本部を設置し、八王子警察署・外部専門家・顧問弁護士の助言を受けながら原因究明と復旧対応を進めています。直近では6月29日にもQilinが武蔵野大学への攻撃を主張しており、教育機関は学生・保護者・教職員の個人情報を大量に保有する一方でセキュリティ投資や専門人材の確保に制約があるケースも多く、ランサムウェアグループにとって狙いやすい標的であり続けています。

    詳細記事: 八王子学園、ランサムウェアによるサイバー攻撃を公表-代表メールアドレスが不通に、警察・外部専門家と連携し調査

    化学品商社 樋口商会で不正アクセス、子会社の財務情報や取引先情報の漏えいの恐れ-ランサムウェアグループStormousがサイバー攻撃を主張

    ランサムウェア|Stormous|調査中

    化学品・医薬品原料を扱う商社の株式会社樋口商会(東京都港区)は2026年6月30日付でお取引先各位に対し、第三者による不正アクセスにより子会社の財務情報や取引先情報が漏えいした恐れがあると公表しました。ランサムウェアグループStormousがサイバー攻撃を主張しています。

    詳細記事: 化学品商社 樋口商会で不正アクセス、子会社の財務情報や取引先情報の漏えいの恐れ-ランサムウェア グループStormousがサイバー攻撃を主張

    ネットワーク引越センター、ランサムウェア被害で情報の滅失・漏えいの恐れ-データベース削除後に暗号資産を要求

    恐喝(データ削除型)|グループ:不明

    引越し事業を手がける株式会社ネットワークジャパン(ネットワーク引越センター)は2026年7月2日午前2時38分ごろ、第三者が顧客管理システムのデータベースへ不正アクセスし、データベースが削除される被害が発生したと公表しました。攻撃者はデータベースを削除したうえで、復旧と引き換えに暗号資産を要求する文書を設置していたことが確認されています。データを暗号化するのではなく削除したうえで金銭を要求する手口は、データを人質に取る従来型のランサムウェアと同様の恐喝目的を持ちながら、暗号化ではなく破壊という形を取る点で特徴的です。攻撃者は取得した情報を公開すると主張していますが、本稿執筆時点で実際に個人情報が外部へ漏えいした事実は確認されていません。

    詳細記事: ネットワーク引越センター、ランサムウェア被害で情報の滅失・漏えいの恐れ-データベース削除後に暗号資産を要求

    穴吹興産、ランサムウェアによるサイバー攻撃で個人情報漏洩の恐れ ─ 関連会社の穴吹ハウジングサービスでは約49.6万人分が漏洩の恐れ

    ランサムウェア|Qilin|約49.6万人分

    穴吹興産は2026年3月11日、2月3日にグループで被害を確認したランサムウェア攻撃について、第3報としてダークウェブ上で個人情報を含む一部情報の漏洩を確認したと公表しました。

    詳細記事: 穴吹興産、ランサムウェアによるサイバー攻撃で個人情報漏洩の恐れ-関連会社の穴吹ハウジングサービスでは約49.6万人分が漏洩の恐れ

    大分のトキハ、トキハインダストリーへのサイバー攻撃などで債務超過に

    経営影響|グループ:不明|最大42万件の会員情報

    大分県で百貨店などを運営するトキハが公表した2024年度決算で、同社は約27億1,200万円の債務超過に陥ったことが明らかになりました。

    詳細記事: 大分のトキハ、トキハインダストリー へのサイバー攻撃などで債務超過に

    粉体機器メーカーのホソカワミクロンにサイバー攻撃の恐れ ─ ランサムウェアグループEverest(エベレスト)が犯行声明

    ランサムウェア|Everest|30GB窃取を主張

    粉体機器メーカーのホソカワミクロン株式会社(東証プライム:6277)は2026年2月2日午前10時ごろ、サイバー攻撃を受けた可能性のある事象を確認したと公表しました。

    詳細記事: 粉体機器メーカーのホソカワミクロンにサイバー攻撃の恐れ-ランサムウェア グループ Everest(エベレスト)が犯行声明

    信和株式会社がサイバー攻撃の可能性を公表 ─ ランサムウェアグループEverest(エベレスト)が犯行声明

    ランサムウェア|Everest

    仮設資材販売の信和株式会社(東証スタンダード/名証プレミア:3447)は2026年2月4日、2月2日にサイバー攻撃を受けた可能性のある事象を確認したと公表しました。

    詳細記事: 信和株式会社がサイバー攻撃の可能性を公表、ランサムウェア グループEverest(エベレスト)が犯行声明

    同一ハッカーによる2つの病院へのランサムウェア攻撃

    日本医科大学武蔵小杉病院、ランサムウェアで約13万人分の個人情報漏洩を確認 ─ 侵入経路は保守用VPN

    医療機関|グループ:不明|約13万人分の個人情報漏洩

    日本医科大学武蔵小杉病院はランサムウェア攻撃を受け、約13万人分の個人情報漏洩を確認しました。調査の結果、侵入経路は保守用のVPNであることが判明しています。

    詳細記事: 日本医科大学武蔵小杉病院、ランサムウェアで約13万人分の個人情報漏洩を確認-侵入経路は保守用VPN

    静岡県の白梅豊岡病院、ランサムウェアによるサイバー攻撃で個人情報漏洩の恐れ ─ ハッカーが不正アクセスを主張

    静岡県の白梅豊岡病院はランサムウェアによるサイバー攻撃を受け、個人情報漏洩の恐れがあることを公表しました。日本医科大学武蔵小杉病院への攻撃と同一のハッカーによるものと見られています。

    詳細記事: 静岡県の白梅豊岡病院 ランサムウェアによるサイバー攻撃で個人情報漏洩の恐れ-ハッカーが不正アクセスを主張

    医療機器大手 ストライカーへのサイバー攻撃は社内Microsoft環境へ影響、引き続き受注・出荷には障害

    医療機器|グループ:不明|業務継続への打撃

    医療機器大手のストライカーはサイバー攻撃を受け、社内のMicrosoft環境に影響が生じました。

    詳細記事: 医療機器 大手 ストライカーへのサイバー攻撃は社内 Microsoft 環境へ影響、引き続き受注・出荷には障害

    日本スウェージロックFSTがランサムウェアの被害

    ランサムウェア|グループ:不明

    日本スウェージロックFSTがランサムウェア被害を公表しました。

    詳細記事: 日本スウェージロックFSTがランサムウェアの被害

    オーダースーツ エフワン、サイバー攻撃で約17万件の個人情報漏洩 ─ ランサムウェアグループBlackShrantacの犯行声明

    ランサムウェア|BlackShrantac|約17万件の個人情報漏洩

    オーダースーツ エフワンはサイバー攻撃を受け、約17万件の個人情報が漏洩したことを公表しました。

    詳細記事:オーダースーツ エフワン、サイバー攻撃で約17万件の個人情報漏洩-ランサムウェア グループ BlackShrantacの犯行声明

    合成樹脂販売の株式会社コバヤシ、不正アクセスで8,149件の個人情報漏洩を確認 ─ サイバー攻撃グループWorld Leaksが犯行声明

    ランサムウェア|World Leaks|8,149件

    合成樹脂販売の株式会社コバヤシが不正アクセスにより8,149件の個人情報漏洩を確認したと公表しました。サイバー攻撃グループWorld Leaksが犯行声明を出しています。

    詳細記事:合成樹脂販売の株式会社コバヤシ、不正アクセスで8,149件の個人情報漏洩を確認-サイバー攻撃グループWorld Leaksが犯行声明

    日産自動車-ランサムウェアグループEverestが不正アクセスを主張も機微情報の漏洩は見当たらず

    ランサムウェア|Everest|機微情報の漏洩は未確認

    2026年1月10日、ロシア語圏のランサムウェアグループ「Everest」が自グループのダークウェブ専用リークサイトに、日産自動車(本社:神奈川県横浜市)への侵害を主張する投稿を行いました。投稿には複数のスクリーンショットと内部ファイルのディレクトリ構造が添付され、サンプルデータもダウンロード可能な形で公開されています。Everestは「日産の過去のインシデントの根本原因は常に同じだ-インターネット接続システム上に公開された認証情報だ」と主張しており、日産は近年繰り返しサイバー攻撃の標的となっています(2025年12月のRed Hat経由の約2.1万人分漏洩、2025年8月のQilinによるデザイン子会社クリエイティブボックスへの攻撃主張等)。本稿執筆時点では、機微な情報や個人情報の漏洩に相当する内容は確認されていません。

    ▶︎ 詳細記事:ランサムウェア グループが日産へ不正アクセスを主張も機微な情報や個人情報漏洩は見当たらず

    半導体試験装置販売のアドバンテスト、ランサムウェアによるインシデントを公表-中核業務は問題なく稼働

    ランサムウェア|グループ:不明|中核業務は稼働継続

    株式会社アドバンテスト(東証プライム、半導体試験装置大手)は2026年2月19日、社内ネットワーク内の一部システムに影響を及ぼした可能性がある、ランサムウェアを伴うサイバーセキュリティインシデントが発生したと公表しました。異常な動きの検知は2月15日で、検知後ただちに影響を受けたシステムを隔離し、外部の主要なサイバーセキュリティ専門機関(Palo Alto Networks Unit 42を含む)と連携して調査を開始しています。

    2026年3月4日の続報では、生産・出荷・カスタマーサポート活動を含む中核業務は「現状問題なく稼働」しており、2026年3月期業績への重大な影響はない見込みだとしています。半導体製造装置の検査に不可欠な試験装置メーカーがサイバー攻撃を受けた事例として、サプライチェーン上の重要性の高さがうかがえます。

    ▶︎ 詳細記事:半導体試験装置販売のアドバンテスト、ランサムウェアによるインシデント発表

    関西総合システムへのサイバー攻撃 ─ ランサムウェアグループBrain Cipherが不正アクセスを主張

    関西総合システム株式会社は2025年12月26日、社内の一部サーバー・端末でランサムウェア感染を確認したと公表しました。VPN機器のアカウント管理の不備が侵入口となった可能性が高いとみられています。

    詳細記事:関西総合システムへのサイバー攻撃-ランサムウェア グループBrain Cipherが不正アクセスを主張

    牧村、ランサムウェアの復旧完了を公表 ─ ランサムウェアグループNightSpireが犯行声明

    牧村がランサムウェア被害からの復旧完了を公表しました。ランサムウェアグループNightSpireが犯行声明を出しています。

    詳細記事:牧村、ランサムウェアの復旧完了を公表-ランサムウェアグループNightSpireが犯行声明

    JAあきた北ライフサービス、サイバー攻撃で個人情報漏洩の恐れ ─ ランサムウェアグループINC Ransomwareが犯行声明

    JAあきた北ライフサービスがサイバー攻撃を受け、個人情報漏洩の恐れがあることを公表しました。ランサムウェアグループINC Ransomwareが犯行声明を出しています。

    詳細記事:JAあきた北ライフサービス、サイバー攻撃で個人情報漏洩の恐れ-ランサムウェアグループINC Ransomwareが犯行声明

    新興ランサムウェアグループの動向(Helix・AiLock・The Gentlemen)

    ※特定の著名な被害企業名は本稿執筆時点で公表されていませんが、既報のShinyHunters・BlackFileという著名な恐喝グループとの関連や、規制当局への通報を武器にする新手法など、業界動向として記載する価値があると判断しました。

    セキュリティ企業ReliaQuestは、ビッシング・デバイスコードフィッシング・MFA悪用を組み合わせ、Microsoft SharePoint環境からデータを窃取する新興のデータ恐喝グループ「Helix」の活動を確認したと公表しました。ReliaQuestは、フィッシングドメインの登録レジストラや、データ持ち出し用IPアドレスが2026年4月に活動を停止した恐喝グループ「BlackFile」の確認済みIPとわずか4つしか離れていない点などから、HelixがBlackFileおよびShinyHuntersのエコシステムから派生した可能性が高いと評価しています。

    ▶︎ 詳細記事:新興のデータ恐喝グループHelix、ビッシングとデバイスコードフィッシングでSharePointからデータを窃取-ShinyHuntersやBlackFileとの関連も

    もう一つ注目すべき新興グループが「AiLock」です。2025年3月に発見されたこの新興RaaS(ランサムウェア・アズ・ア・サービス)グループは、企業のデータを暗号化するだけでなく、身代金を支払わなければ規制当局への通報を行うという新しい脅迫手法を採用しており、暗号化技術としてポスト量子暗号を採用している点でも技術的に注目されています。

    ▶︎ 詳細記事:ランサムウェアグループ AiLockとは-規制当局への通報を武器にする新興RaaS、ポスト量子暗号を採用した技術的特徴を解説

    急成長中のRaaSグループ「The Gentlemen(ザ・ジェントルメン)」も、日本企業6社へのサイバー攻撃を主張しており、国内でも今後の動向を注視する必要があります。

    まとめ:2026年のランサムウェア被害の傾向

    2026年のランサムウェア被害は、身代金支払いの横ばい傾向とは裏腹に、実質的な被害規模(データ量・業務停止期間・経営への影響)が拡大している点が特徴です。大分のトキハのように攻撃が直接的に企業の財務状態(債務超過)に結びつく事例や、日本医科大学武蔵小杉病院・白梅豊岡病院のように同一ハッカーが医療機関を連続して狙う事例、そしてアドバンテストのように半導体関連のサプライチェーン上重要な企業が標的となる事例まで、業種・規模を問わず被害が広がっています。

    なかでもアサヒグループホールディングスの事例は象徴的です。2025年9月の攻撃発生から決算発表まで約9カ月半を要し、最終的に純利益37%減・営業利益ベースで370億円弱の減益という具体的な財務インパクトが確定したことで、ランサムウェア被害が単なるIT部門の問題ではなく、決算発表の延期や臨時株主総会の開催といった、経営・IR・株主対応にまで直結する経営問題であることが改めて示されました。

    また、武蔵野大学・八王子学園と、教育機関への攻撃が短期間のうちに連続して発生している点も見過ごせません。教育機関は学生・保護者・教職員の個人情報を大量に保有する一方、企業と比べてセキュリティ投資や専門人材の確保に制約があるケースも多く、引き続き狙われやすい標的であり続けています。ネットワーク引越センターの事例のように、データを暗号化する代わりに削除したうえで金銭を要求するという、従来型ランサムウェアの派生形とも言える手口が確認されている点も、今後の動向として注視が必要です。

    さらに、Martino被告の事案が示すように、インシデント対応・交渉を支援する立場にある専門業者自体が攻撃者側と通じるリスクも顕在化しており、被害企業は技術的な防御だけでなく、委託先・支援業者の管理体制にも注意を払う必要があります。

    ランサムウェア対策のポイント

    • 保守用・リモートアクセス用VPN機器のアカウント管理・多要素認証の徹底
    • 既知の脆弱性への迅速なパッチ適用と、サポート終了機器の計画的な更新
    • インシデント対応・交渉を委託する外部専門業者の選定基準の厳格化と、情報共有範囲の管理
    • サプライチェーン上の取引先・委託先のセキュリティ体制の把握
    • オフラインバックアップの整備と、身代金を支払わずに復旧できる体制の構築
    • 攻撃発生時の決算・IR対応を含めた、経営レベルでのインシデント対応シナリオの事前策定
    • データの暗号化だけでなく削除・破壊による恐喝も想定した、バックアップからの復旧体制の検証