日本医科大学武蔵小杉病院は2026年2月27日、院内の医療情報システムの一部がランサムウェア攻撃を受け、患者などの個人情報が漏洩した事案について第5報を公表しました。今回の発表では、被害状況の更新に加え、基幹システムを含む院内システム全般のセキュリティ強化作業を実施し、2月23日午前7時に完了したこと、異常検知・監視の結果として正常稼働と安全を確認していることが示されています。また、ナースコールシステムは平常通りに回復したとしています。
目次
概要
本件は、病棟のナースコール設備の不具合を契機に発覚し、調査で外部からのサイバー攻撃(ランサムウェア)と判明したものです。病院は被害拡大防止のため対象システムとネットワークを遮断し、文部科学省、厚生労働省、所轄警察への報告、個人情報保護委員会への報告などを進めました。厚生労働省の初動対応チーム、外部専門家(BC SignPost社)、電子カルテベンダーおよび各システムベンダーと連携し、院内の影響範囲を調査したとしています。
影響範囲
漏洩した個人情報(2/27更新)
病院の公表では、漏洩した個人情報は次の通りです。
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外来および入院中の患者:約13万人
当院の患者ID、氏名、性別、住所、電話番号、生年月日
なお、患者カルテ情報、クレジットカード情報、マイナンバーカード情報の漏洩は現時点で確認されていないとしています。 -
当院職員および2021年以降の臨床実習医学生:約1,700名
職員ID、氏名、性別、生年月日
対象となる患者には、院長名義の封書で個別に報告とお詫びを郵送しているとしています。
攻撃を受けたシステム
攻撃対象として、次が明記されています。
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ナースコールシステムサーバー:3台
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ナースコール病棟端末:1台
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患者バイタル監視システム保守用VPN装置:1台
一方で、患者バイタル監視システムサーバー(14台)への不正侵入は確認されていないとしています。
関連:2025年 病院・クリニックへのサイバー攻撃やインシデントによる情報漏洩 事例と対策
ハッカーの犯行声明


ダークウェブ上の動きとして、NetRunnerPRと名乗るハッカーがハッキングフォーラムにて犯行声明を発表し、患者や関係者の個人情報 約131,135件の窃取を主張しており、サンプルデータも公開されています。
セキュリティ対策Labで確認すると、サンプルデータには個人情報は数件しか表示されておらず、13万件のデータは今のところ公開されていません。
なお、2026年3月6日に、同じハッカーが静岡県の白梅豊岡病院へのランサムウェアによるサイバー攻撃で犯行声明を発表しています。
原因
侵入経路
侵入経路は、医療機器保守用VPN装置の脆弱性を悪用した不正アクセスとされています。
経緯(院内への侵入から漏洩まで)
病院の説明では、令和8年1月26日に当該VPN装置を経由して侵入され、1月29日に病棟端末を介してナースコールサーバー内のデータベースが窃取されたとしています。さらに、当該データおよびCSVファイルが後日攻撃者側のリークサイトで公開されたことを確認した、と踏み込んだ記載があります。
被害が拡大した理由
被害範囲の拡大について、ナースコールサーバーの仕様上、入院歴の有無にかかわらず患者基本情報が更新される際に自動送信・蓄積される仕組みとなっていたため、と説明しています。結果として、病棟システム起点の侵害でも、院内に蓄積された患者基本情報が広範に影響を受けました。
現在の診療状況
外来・入院診療および救急受け入れは通常通り行っているとしています。
対応状況
セキュリティ強化作業の完了
病院は2月22日から院内システム全般のセキュリティ強化作業を実施し、2月23日午前7時に完了したとしています。完了後、異常等の検出・監視を行い、医療情報システムの正常稼働と安全を確認しているとしています。
時系列(別表の要旨)
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2月9日:ナースコール不具合から攻撃判明、遮断と関係機関報告
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2月10日:外部接続を停止し、原因調査とサーバ保全、初動マニュアル配布
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2月11日:個人情報流出の可能性を確認、他システムのログ調査
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2月12日:個人情報保護委員会へ報告、VPN装置からの不正アクセス確認、ランサムウェア特定
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2月13日:記者会見、対象患者へ書面送付開始、基幹システムへの不正アクセスなしを確認
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2月18日:精査の結果、漏洩が新たに12万件増加
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2月22〜23日:基幹システムを含むセキュリティ強化作業を完了








