ByteDance 製のIDE Trae IDEに機密情報や個人情報漏洩の危険性-テレメトリー設定無効な上、ユーザーのサーバー接続も続行

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ByteDance 製のIDE Trae IDEに機密情報や個人情報漏洩の危険性-テレメトリー設定無効な上、ユーザーのサーバー接続も続行

2025年7月30日、ByteDanceが開発したAI搭載プログラミングIDE「Trae IDE」に関して、パフォーマンスの問題および深刻なプライバシー問題がGitHub上のリサーチにより明るみに出ました。

開発者コミュニティの間では、利用者の同意を無視した形でのデータ送信が続いていること、加えて不適切なコミュニティ管理が大きな懸念材料となっています。

背景:ByteDanceのVSCodeフォーク「Trae IDE」とは

Trae IDEは、中国ByteDance社が開発するAI支援型統合開発環境(IDE)であり、Microsoft Visual Studio Code(VSCode)をベースに構築された製品です。同社は「AIによる開発支援と効率化」を掲げ、特にAIチャットエージェントを組み込んだ革新的なUXを強みとしています。しかしながら、その実態には見過ごせない懸念が潜んでいました。

リサーチの手法と環境

分析は、Windows 11 Pro環境において、Intel Core i7-14700KF搭載、64GB RAM構成の開発マシンで行われました。

対象としたIDEはVSCode、Cursor、そしてTrae IDE。各IDEには同一のRust+TypeScriptプロジェクト(107ファイル)を読み込ませ、プロセス数・メモリ使用量・ネットワーク通信状況を比較検証しています。

パフォーマンス比較:リソース消費量は最大6.3倍

初期のTrae IDE(バージョン2.0.1以前)は、VSCodeと比較してプロセス数が3倍以上、メモリ使用量は6.3倍に及ぶことが判明しました。

  • VSCode:9プロセス / 約0.9GBメモリ
  • Cursor:11プロセス / 約1.9GBメモリ
  • Trae IDE:33プロセス / 約5.7GBメモリ

これに対し、開発元はバージョン2.0.2で改善を実施。プロセス数は13に削減され、メモリ消費も1.9〜2.5GBに抑制されました。パフォーマンスの問題に対する対応は一定の成果を挙げたと言えるでしょう。

テレメトリー問題:設定無視のデータ送信

最大の問題はプライバシーに関する挙動です。

設定画面上ではテレメトリー(使用状況データ収集)をオフにできるように見えます

テレメトリー(使用状況データ収集)をオフ

参照:trae_telemetry_research

実際には設定を無視してByteDance関連のサーバー(mon-va.byteoversea.com など)へ持続的にデータを送信しています。

このネットワーク通信には、以下のような情報が含まれていました

  • ハードウェア情報(CPU型番、メモリ容量、製造元など)
  • OS情報(バージョン、ビルド番号)
  • アクティブウィンドウや操作ログ
  • ユーザーIDやセッションID(ハッシュ形式)
  • 使用時間、マウス/キーボード操作記録
  • ファイル拡張子、作業中のエディタ種別

特に驚かされたのは、テレメトリー無効設定時の挙動です。無効化後もデータ転送量は減少せず、逆にバッチ単位での送信頻度が増し、7分間の使用中に約500件、26MB相当のデータが送信されました。

ByteDance関連のサーバー(mon-va.byteoversea.com など)へ持続的にデータを送信しています。

参照:trae_telemetry_research

トラッキングの詳細と記録されるデータ

送信されるログは非常に詳細で、ユーザーの操作ごとのタイムスタンプ、エディタで開いているファイル名(パス含む)、AI支援の使用有無、ワークスペースIDなどが含まれます。これにより、開発者の行動パターンが詳細に再現可能な状態になっていました。

コミュニティの反応と管理体制への懸念

ある開発者がこの問題をTrae IDE公式のDiscordサーバー上で報告したところ、「track(トラック)」という単語を含む投稿が自動的にミュート対象となり、

7日間の発言禁止措置が適用されました。問題提起への正当な議論を封じ込める管理体制が露呈し、さらに批判を集める結果となっています。

ミュートが行われた3日後、コミュニティモデレーターの「Rdap」はミュートが自動的に行われ、解除されたことを確認しました。こちらで確認できます。

データ送信先とグローバルプライバシーの問題

ByteDanceは「データは中国国内のサーバーではなく、米国および欧州向けに設けたサーバーを利用している」と主張しており、実際に送信先のドメインはByteoversea.comなど海外向けインフラであることが確認されています。

しかし、運営母体が中国企業であることから、将来的なデータ主権や法的リスクへの懸念は払拭できていません。

別の中国製ツールですが、DeepSeekのiOS版はデータが暗号化されず、ByteDance(TikTok の運営)へユーザー情報が送信される可能性を指摘されていたりTemu(テム)はマルウェアではないか?と危険性を指摘されています。

 

結論:今後に向けた透明性と信頼の確保が急務

Trae IDEはAI統合の面で大きな可能性を秘めている一方で、ユーザーに明示されないデータ送信と、それに対する運営側の対応には多くの課題が残っています。

現時点での改善点

  • パフォーマンス面の最適化(v2.0.2で確認)

未解決の課題:

  • テレメトリー設定が反映されない問題
  • サーバーへの通信内容と利用目的の不透明さ
  • 正当な指摘を排除するようなコミュニティ運営

今後Trae IDEの利用を検討する場合は、IDEの機能性やAI支援だけでなく、セキュリティやプライバシー体制も慎重に見極める必要があります。

参照

https://github.com/segmentationf4u1t/trae_telemetry_research?tab=readme-ov-file