
ブルームバーグの報道によると2025年3月、中国が開発した「深海ケーブル切断装置」の存在が初めて明らかになりました。報道によると、同装置は水深最大4,000メートルで作動し、通信ケーブルの切断も可能とされています。これは、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)紙が、中国の査読付き学術論文をもとに報じたものです。
世界初の公表、中国の深海対応技術
今回明らかになったのは、中国船舶科学研究センター(CSSRC)を含む研究チームが開発した装置で、実験室でのテストで最大60mmの鋼鉄装甲ケーブル(世界中の海底通信で一般的に使用されている強化ケーブル)を切断可能とされています。
過去中国の大学が海底ケーブルを切断する装置の特許を出願していた事を指摘されていましたが、
こうした装置の保有を公式に公表した国はなく、中国が公式に認めた世界で初めての事例となります。
この装置は、小型でありながら高機能。有人・無人の高性能潜水艇に搭載され、海底の引き揚げ作業や採掘活動を想定して設計されたとされています。
中国船による相次ぐ海底ケーブルの切断
台湾海峡で海底ケーブルを切断
2025年1月3日午後12時40分に海底ケーブルの管理者、中華電信からケーブル損傷の報告を受け、巡視船を派遣したと発表しました。
台湾当局は船舶自動識別システムの信号と衛星データの追跡データから、中国と関係を疑われているカメルーン船籍の貨物船「順鑫39号」がケーブルが切断した場所で錨を曳航していたことが示されているとされています。
なお、4本の海底ケーブルが損傷しましたがバックアップシステムが働いたため、国内の通信に影響は発生していません。
バルト海の海底ケーブルが中国船により切断
2024年11月バルト海の海底ケーブルが中国船により切断され、ドイツ国防相「おそらく破壊行為」としています。
中国船籍の易鵬3号(日本語読み:えきほう)はロシアのウスチ・ルガ港を出港した後、スウェーデンとデンマークの間の海域で停船しました。
船舶は海上で燃料補給のために停泊することもあります、同船が停止した位置はそうした活動が行われる場所ではありません。
また、2023年にも同様の事件が発生しており中国の意図的な海底ケーブル切断の可能性が高いです。
インフラ安全保障への懸念
ただし、問題はその「用途の曖昧さ」にあります。報道では民間利用が前提とされているものの、国際社会では軍事的・戦略的な活用を警戒する声も高まっています。
海底通信ケーブルは、インターネットを含む国際的な通信インフラの中核を担っており、万一切断された場合、国家レベルでの通信障害や経済活動への深刻な影響が想定されます。
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