
2025年2月25日、台湾と澎湖を結ぶ海底インターネットケーブルが断裂し、台湾の海上保安当局である海巡署(台湾沿岸警備隊)が即座に捜査を開始しました。この事件には中国資本が関与する可能性があるトーゴ籍の貨物船「紅台」が関与している疑いが浮上しており、台湾当局は国家安全保障レベルでの調査を進めています。
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通信が遮断
船名を偽装し、再三の応答にも応じない
台湾の海巡署によるとトーゴ籍の貨物船「紅台」は、22日の夕方から台湾南西部の海域のケーブル付近に停泊しており、台湾の海警局からの複数回の通信に応答しなかったされています。
さらに船体の外観には「紅台168」と表記されていたが、AIS(自動船舶識別装置)では「紅台58」と表示されており船名も意図的に偽装されていました。
25日早朝、同船が錨を下ろした直後、台湾の通信会社である中華電信はケーブルが切断されていることを発見し、海巡署が拿捕して調査の為台南まで護送しました。
なお、この船は便宜置籍船といわれる所有国以外の国の旗を掲げる船で、中国人8人が乗務員だったとされています。
中国による「グレーゾーン戦術」の可能性
台湾周辺の海底ケーブルは、台湾の通信インフラと国家安全保障にとって極めて重要な要素です。これまでも、中国は台湾海域での「グレーゾーン戦術」を用いた威圧行為を行っており、今回の事件もその一環ではないかと考えられています。
過去も同様の事件が発生していますが、中国政府は「事故」との見解を示しています。
なお、Newsweekの調査によると、中国の技術者が海底ケーブルを迅速かつ低コストで切断する装置の特許を出願していたことが判明しています。
中国船による相次ぐ海底ケーブルの切断
台湾海峡で海底ケーブルを切断
2025年1月3日午後12時40分に海底ケーブルの管理者、中華電信からケーブル損傷の報告を受け、巡視船を派遣したと発表しました。
台湾当局は船舶自動識別システムの信号と衛星データの追跡データから、中国と関係を疑われているカメルーン船籍の貨物船「順鑫39号」がケーブルが切断した場所で錨を曳航していたことが示されているとされています。
なお、4本の海底ケーブルが損傷しましたがバックアップシステムが働いたため、国内の通信に影響は発生していません。
バルト海の海底ケーブルが中国船により切断
2024年11月バルト海の海底ケーブルが中国船により切断され、ドイツ国防相「おそらく破壊行為」としています。
中国船籍の易鵬3号(日本語読み:えきほう)はロシアのウスチ・ルガ港を出港した後、スウェーデンとデンマークの間の海域で停船しました。
船舶は海上で燃料補給のために停泊することもあります、同船が停止した位置はそうした活動が行われる場所ではありません。
また、2023年にも同様の事件が発生しており中国の意図的な海底ケーブル切断の可能性が高いです。