巨人選手の個人情報を流出させ殺害予告した元保険会社社員に有罪判決

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巨人選手の個人情報を流出させ殺害予告した元保険会社社員に有罪判決

プロ野球・読売巨人軍の選手に対して、個人情報をネット掲示板に晒し殺害予告を繰り返していた元保険会社社員の女性に対し、東京地裁は懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。この事件は「推し活」が暴走した末の犯罪行為として、大きな社会的注目を集めています。

事件の経緯 ― 日本生命元社員が個人情報を不正使用

2024年7月、警視庁捜査1課は、日本生命保険の元社員である天野里美容疑者(当時27歳)を威力業務妨害容疑で逮捕しました。
天野容疑者は、2020年9月から2023年3月まで日本生命に勤務しており、顧客情報にアクセスできる立場にありました。

逮捕容疑は、巨人軍の特定選手の氏名や住所などを含む顧客情報管理画面の写真をネット掲示板に掲載し、
「惨殺し死刑にします」「お前を死んでも許さない」といった書き込みを30回以上行い、
球団に警備強化や警察通報を余儀なくさせるなど、業務を妨害した疑いです。

日本生命は、事件発覚後に警察への相談を開始し、「このような事案が発生したことを誠に遺憾に思う」と公式に謝罪しました。

裁判で明かされた動機 ― 「推し」への偏った愛情と怒り

2025年5月に行われた公判で、被告は「推し活」がエスカレートした結果、犯罪に至った経緯を語りました。

もともと、巨人に所属していたB選手の熱烈なファンだった被告は、
移籍してきたA選手によってB選手が放出されたと一方的に恨みを募らせました。

過去にも、2020年にA選手への殺害予告を送り、脅迫罪で罰金刑を受けた経歴がありました。

その後、B選手が復帰したことで観戦を再開しましたが、出場機会が限られるB選手に対する失望と、A選手への怒りが再燃。
怒りの矛先を求める中で、「悪口・愚痴掲示板」にたどり着き、
保険会社在籍時に撮影して保存していたA選手の個人情報を使い、34回にわたり殺害予告と個人情報流出を繰り返したといいます。

被告は裁判で、

「家族の前でも怒りを爆発させ、自傷行為にも及ぶようになった」
「感情をコントロールできず、軽率な行動に出た」

と語り、深く反省している様子を見せました。

裁判官からの厳しい指摘と判決

裁判官は、被告に対し、

「野球から離れることが本質ではない。自分の思い通りにならないと悪口を吐き出す態度を改め、社会人として適切な生活を送ってほしい」

と静かに諭しました。


最終的に、被告には懲役1年6月・執行猶予3年の有罪判決が言い渡されました。

なお、被告は球団や選手に向けて謝罪文を提出しようとしましたが、受け取りは拒否されたとのことです。

参照

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/47news_reporters/nation/47news_reporters-20250422093644