ドイツ連邦通常裁判所(BGH)が広告ブロッカー訴訟を差し戻し。DOM/CSSOMやバイトコードの保護対象性を巡る審理が再開し、企業の拡張機能ガバナンスやプライバシー対策に不確実性が生じています。
概要
2025年7月31日、ドイツ連邦通常裁判所(BGH:日本の最高裁に相当)が、出版社Axel Springerが広告ブロッカー「Adblock Plus」の開発元Eyeoを訴えた著作権訴訟(事件番号:I ZR 131/23「Werbeblocker IV」)で、下級審(ハンブルク高等地方裁判所)の判断を一部取り消し、審理を同裁判所に差し戻しました。
判旨は「ブラウザ内で生成・利用されるDOM/CSSOMやバイトコード等がコンピュータ・プログラムとして保護対象となり得るか」
「広告ブロッカーがその『改変(Umarbeitung)』や『複製』に当たるか」をさらに事実認定せよ、というものです。
違法と確定したわけではありませんが、著作権侵害に該当し得るとの含みを持たせて審理続行となりました。
この動きに対し、8月14日にはMozillaのSenior IP & Product CounselであるDaniel Nazer氏が公式ブログで「広告ブロッカーが著作権上のリスクに転化し、ひいてはユーザーの選択権・プライバシー・セキュリティを脅かす」と警鐘を鳴らしています。
技術・法的な争点を整理する
今回の争点は大きく二つです。
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何が「保護対象のプログラム」なのか:ウェブサイトのHTML/CSS/スクリプトに由来するDOMやCSSOM、さらにブラウザの仮想マシンが解釈・生成するバイトコード/オブジェクトコードが、69a条の「コンピュータ・プログラム」の「表現」に含まれ得るか。
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何が「改変/複製」に当たるのか:広告ブロッカーが、これらの構造やコードの生成・利用過程に介入することは、69c条が禁じる「Umarbeitung(改変)」や「Vervielfältigung(複製)」に該当するのか。
下級審(2022年〜2023年のハンブルク)では、Adblock Plusはユーザーの表示選択を支援するに過ぎず侵害は成立しないとの流れでしたが、BGHは「保護対象」や「介入の法的評価」の前提をより厳密に詰め直す必要があるとしました。
参照
https://www.bundesgerichtshof.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/DE/2025/2025148.html
Is Germany on the Brink of Banning Ad Blockers? User Freedom, Privacy, and Security Is At Risk.








