
2025年3月24日、広島県教育委員会は、授業中に私的なインターネット閲覧を行い、下着姿の女性の画像が教室の大型モニターに30分間映し出された問題について、県東部の公立中学校に勤務する60代男性教諭を懲戒処分(減給10分の1・3か月)としたことを公表しました。
目次
セクハラ行為だけではない「情報モラルとIT統制の欠如」
この件は、当然ながら生徒に対するハラスメント(セクハラ)として重大な問題ですが、それと同時に、教育現場におけるITの取り扱いリスクと管理体制の脆弱性も浮き彫りになりました。
主な問題点:
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業務端末の私的利用
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校務用PCを授業中に私的目的で使用(公私混同)
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外部コンテンツの無制限アクセス
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フィルタリングやサイト制限などのセキュリティ対策がなされていなかった可能性
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表示出力の管理意識欠如
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教室モニターとPCの接続状態を把握せず閲覧、情報の意図しない拡散
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再発防止のガイドライン不在
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これまでにも繰り返し私的閲覧をしていたという供述から、ルールや監査の欠如が伺える
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組織として取るべきセキュリティ対策
① アクセス制御の強化
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校務用端末にフィルタリングソフトやWebアクセス制限の導入
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管理者権限の制限と使用ログの定期的監査
② ITリテラシー研修の実施
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「授業中のICT活用」だけでなく、「情報倫理・個人利用NG」の教育が不可欠
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ハラスメント・情報漏洩リスクのケーススタディによる教育が効果的
③ 接続状態の確認プロセスの導入
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教室モニターなどの表示デバイスとの接続はログイン時・授業開始前に確認
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自動的に警告を出す仕組みの検討
教育現場のデジタル化とリスクの表裏一体
GIGAスクール構想により、学校現場のICT化は急速に進みました。しかしながら、それに伴うリスク対策――特にヒューマンエラーや倫理観の欠如に起因する問題への対策が後回しになっている現実があります。
教職員もまた、日常的に“ITを扱う職業人”であるという認識と、それに見合った運用ルールと責任の明確化が急務です。
参照