
2025年3月24日、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)は、傘下の十八親和銀行(長崎市)に勤務する32歳の現役行員が、顧客資産約9,200万円を着服していたと公表しました。この行員は、高齢顧客から通帳を預かり、暗証番号を聞き出して無断で現金を引き出すなどの手口を用い、不正行為は約4年間にわたり継続していたとされています。
発覚の経緯と手口
事案の発覚は、顧客からの「身に覚えのない取引がある」との申告によるものでした。銀行側が調査した結果、以下のような典型的な内部不正の手口が判明しています。
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顧客の信頼を利用し、通帳と暗証番号を取得
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顧客の預金を本人の同意なくATMや窓口から出金
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借金返済やギャンブルの資金に流用
同行は、本人を懲戒解雇処分とし、長崎県警に通報済みとしています。
連続する不祥事とガバナンスの課題
十八親和銀行では2025年2月にも元行員(58歳)による数千万円の着服が発覚しており、短期間での内部不正の連続発生は、組織としての内部統制や監督体制に重大な問題があることを示唆しています。
特に以下の点が注目されます
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顧客との対面接点における過剰な個人依存(一人の行員に任せきり)
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高齢者を狙った不正行為が長期にわたって見逃された
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監査や取引モニタリング体制の不備
信頼は「管理体制」から生まれる
金融機関の信頼は、「人」だけではなく、それを支えるガバナンスと内部統制の仕組みによって担保されるものです。
不正の多くは、「発覚しにくい環境」に甘んじた結果として生まれます。
今回の十八親和銀行の事案は、顧客との信頼関係が悪用されるリスクを改めて浮き彫りにした形となりました。金融機関に限らず、情報資産・金銭資産を扱うすべての組織において、内部不正に対する備えが必要です。
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