岸田文雄前首相の写真を無断使用した広告がスマートニュースに掲載されていた

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岸田文雄前首相の写真を無断使用した広告がスマートニュースに掲載されていた

産経新聞の報道によると岸田文雄前首相の写真が無断で使用された太陽光パネル設置会社のネット広告が、ニュースアプリ「スマートニュース」に掲載されていたことが明らかになりました。 近年、著名人の写真や名前を勝手に使用し、消費者を誤認させる「なりすまし広告」が増加しており、広告を掲載するプラットフォーム側の対応にも注目が集まっています。しかし、広告運営側からは「防ぎきれない」との声もあり、専門家は法規制の必要性を指摘しています。

太陽光パネル設置会社「ECODA(エコダ)」が岸田文雄前首相の写真を無断で利用

問題の広告を掲載していたのは、東京都渋谷区にある太陽光パネル設置会社「ECODA(エコダ)」です。この会社は、東京・道玄坂の雑居ビルに入居しており、郵便受けにはECODAのほかにも2つの社名が並んでいました。同じビルの飲食店関係者によれば、どのような事業を行っているのかは把握されていないとのことです。

スマートニュース側の対応と運用型広告の課題

スマートニュースの広報担当者によると、問題の広告は2月上旬から掲載され、2月14日に自社の審査基準違反を確認。その後、2月28日に広告掲載を完全に停止しました。

同社は「広告が入稿された時点で違反を検知できなかった」としながらも、「利用者の誤認を招くだけでなく、なりすましの対象となった人物の社会的評価を損なう重大な問題と認識している」と説明しています。

また、広告主や広告代理店に対して厳しい姿勢を示し、適切な対応を求めたといいます。

リアルタイムの運用型広告の審査に課題

ネット広告には、広告主が特定のメディアの枠を購入する「予約型」と、広告が表示されるたびにリアルタイムで入札が行われる「運用型」の2種類があります。

電通の調査では、2023年時点でネット広告市場全体の87.4%が運用型広告となっており、この比率は年々高まっています。

スマートニュースも運用型広告を採用しており、独自のアルゴリズムと人の目によるチェックを組み合わせた審査体制を導入していたものの、今回のような広告を完全に防ぐことはできませんでした。

あるネット広告会社の担当者は「ネット広告市場は3兆円規模に成長し、膨大な数の広告がリアルタイムで入れ替わるため、すべてを細かく審査するのは現実的に難しい」と述べています。実際、経済産業省の調査によれば、運用型広告の掲載先を「完全に把握できる」と答えた企業は2割程度にとどまっており、

広告の管理が難しくなっている実態が浮き彫りになっています。

規制の必要性と今後の展開

こうした状況を受け、総務省はネット広告のリスク管理を強化するための有識者会議を設置し、広告主向けの新たな指針を月内にも策定する方針です。広告業界団体「日本アフィリエイト協議会」の笠井北斗代表理事は、「なりすまし広告の法的責任は基本的に広告主が負うものの、日本には運用型広告を規制する法律がなく、今後も消費者被害が増える可能性が高い」と指摘しています。

その上で、「広告プラットフォーム側にも違法広告の排除を義務付ける法規制を導入すべきだ」と提言しています。

ネット広告市場が急成長する一方で、なりすまし広告や偽情報の拡散といった問題も深刻化しています。企業やプラットフォームの自主的な取り組みに加え、法的な枠組みの整備が求められる状況となっています。

参照

岸田文雄氏のなりすまし ネット広告9割「運用型」 スマニュー「防げなかった」

無許可で利用される著名人の写真

生成AIの発展により、実在の人物へ指定の音声を喋らせるリアルな合成音声の作成が可能になり、自動翻訳も大きく発展しました。 これにより、だれでも簡単にリアルな広告制作とメッセージのやり取りを簡単に行えるようになりました。 SNS型投資詐欺などで、著名人の写真が無断で利用されており実際に被害が発生しています。しかしプラットフォーマーの対策は後手に回っています。

前澤友作さん

フェイスブックやLINEなどで、無許可で同氏の画像や素材を利用したSNS型投資詐欺が確認されており、30人がメタを集団提訴しています。

中田敦彦さん