北九州市教育委員会、教員採用試験の受験者4,135人分の個人情報が情報公開文書から閲覧可能な状態に

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北九州市教育委員会、教員採用試験の受験者4,135人分の個人情報が情報公開文書から閲覧可能な状態に

北九州市教育委員会は2026年4月21日、情報公開請求に応じて交付したPDF形式の教員採用試験関連行政文書において、黒塗りにされていた受験申込者全員4,135人の氏名や合否が閲覧できる状態になっていたと発表しました。

文書の交付を受けたのは愛知県在住の大学院生の男性(39歳)で、現時点では男性以外への情報流出は確認されていないとしています。

何が起きたか

北九州市教育委員会は情報公開請求に応じ、教員採用試験に関する行政文書をPDFファイルの形式で交付しました。文書内には受験申込者の氏名・合否などが含まれており、非公開とすべき部分を黒塗りで処理していました。

しかし黒塗り処理に不備があり、黒塗りされているように見える部分の元のテキストデータがPDFファイル内に残存しており、特定の操作によって情報を取得できる状態になっていました。その結果、受験申込者全員4,135人分の氏名・合否情報が閲覧可能な状態で交付されていたことが判明しました。

黒塗りと墨消しの根本的な誤解

今回の事案の技術的な原因は、PDFにおける「黒塗り」と「墨消し(Redact)」の根本的な違いを理解していなかった点にあります。これは全国の自治体・大学・官公庁で繰り返し発生している問題です。

黒塗り(危険):WordやExcelで作成した文書の上に黒い図形やマーカーを重ねてPDF化する方法です。画面上では文字が見えなくなりますが、PDFファイル内には元のテキストデータが残っており、コピー&ペーストやテキスト検索などの簡単な操作で黒塗り部分の文字を取得できます。

墨消し(安全):Adobe Acrobat ProなどのPDF編集ソフトが持つ「墨消し(Redact)」機能を使う方法です。テキストデータそのものをファイルから完全に削除するため、どのような操作をしても隠蔽した情報を取得できません。

無料またはフリーのPDFビューアに付属する「マーカー」「ハイライト」「注釈」機能で黒く塗っただけでは、いずれも「黒塗り」であり「墨消し」にはなりません。

正しい非公開処理の方法

情報公開文書を電子データで交付する際に個人情報等を確実に非公開とするには、以下のいずれかの方法が必要です。

Adobe Acrobat Proなど有料PDF編集ソフトの「墨消し」機能を使うことが最も確実です。

あるいは、PDF化する前のWord・Excel等のファイル段階で個人情報のテキスト自体を削除(「田中一郎」→「A氏」など)し、その後PDF化する方法も有効です。また、黒塗り処理後に印刷し、その紙をスキャナーで読み取ってPDF化することで、テキストデータが残らない状態にできます。ただし手間がかかるため、墨消し機能の導入を優先することが推奨されます。

情報システム部門・文書管理担当者へのポイント

情報公開請求への対応を担う部署では、PDFの黒塗り処理と墨消し処理の違いを庁内全体に周知することが急務です。フリーソフトやOfficeの標準機能での「黒塗り」では個人情報を完全に消去できないため、適切なツールの導入と手順書の整備が不可欠です。電子ファイルでの文書交付件数が増加している中、「紙文書と同じ感覚で黒く塗れば良い」という認識がこうした事案を繰り返し生み出しています。文書交付前の第三者チェック体制の整備も有効な再発防止策です。

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