
北海道洞爺湖町の社会福祉法人の元パート従業員・猪俣美枝子容疑者(57)が横領で逮捕されました。
捜査の過程で、総額3200万円が着服されていた可能性が浮上しており、警察が詳しく調べています。
目次
長期間にわたる横領の疑い
逮捕されたのは、洞爺湖町に住む猪俣美枝子容疑者(57)。警察によると、2018年7月から2022年11月までの間に、法人の預金口座から計470万7000円を不正に引き出し、自身の口座へ入金した疑いが持たれています。
当時、猪俣容疑者は法人の総務係長兼会計取扱者として経理業務を担当し、通帳や印鑑の管理を任されていました。この立場を利用し、金融機関で現金を引き出していたとみられます。
不正が発覚した経緯
この横領が発覚したのは、2023年の人事異動がきっかけでした。
新たに経理業務を引き継いだ後任者が、不審な取引に気づき調査を進めたところ、約70万円の使途不明金が発覚。
3200万円の引き出しも発覚
その後、法人が警察に相談し、捜査が開始されました。警察の調べでは、総額3200万円が不正に引き出されていたことが判明し、余罪についても追及が進められています。
法人の対応と今後の調査
法人側は、2023年8月に猪俣容疑者を懲戒解雇。また、横領された資金には、町からの補助金も含まれていたことが確認されており、警察が詳細な資金の流れを調査しています。
猪俣容疑者は、警察の取り調べに対し「横領したことは間違いない」と容疑を認めています。
警察は今後、具体的な資金の使途や、どのように不正が行われたのかについて捜査を進める方針です。
参照
計3200万円が着服された可能性も…後任が気づく 元会計取扱者57歳女逮捕 北海道洞爺湖町
内部不正を防ぐために経理・情報システム部門が取るべき対策
今回の事件では、経理担当者が長期間にわたり不正を行い、多額の資金が着服されていました。同様のリスクを防ぐために、経理担当者や情報システム部門が主体となり、具体的な管理体制の見直しと対策を講じることが重要です。
資金管理の透明化と業務分掌の徹底
基本的に一人の担当者がすべての業務を担うのではなく、複数人による相互チェック体制を整えることが重要です。
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入出金管理を分担する
- 振込の処理と承認を別の担当者が行うことで、不正を防止する。
- 通帳や印鑑の管理を複数の部署で分担し、一人で操作できない仕組みにする。
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重要な取引には二重承認を義務付ける
- 高額取引や不定期な支出は、必ず二名以上の承認を必要とするルールを導入する。
- システム上で承認ワークフローを設定し、履歴を残す。
- 高額の備品発注監視
- 閾値を設けてPC端末や業務上利用する素材の高額発注の管理
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インターネットバンキングの利用を厳格化する
- 振込時の二段階認証を義務化し、不正送金を防ぐ。
- ログイン履歴を定期的に確認し、不審なアクセスがないかチェックする。
定期的な監査と異動時の資金精査
今回の横領事件では、人事異動時の引き継ぎで不正が発覚しました。異動前後の監査を徹底することで、より早期の発見が可能になります。
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定期監査の実施
- 経理部門が管理する口座の取引履歴を、四半期ごとに上層部や監査役が確認する。
- 社内監査だけでなく、外部監査の活用も検討し、客観的な視点でチェックを行う。
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異動時の資金チェック
- 経理担当者の異動時には、過去1〜2年分の取引履歴を確認し、使途不明な取引がないかを精査する。
- 必要に応じて、第三者監査を導入し、より透明性の高いチェックを実施する。
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現金取扱業務の見直し
- 現金管理を極力減らし、経理業務のキャッシュレス化を進める。
- 日々の現金取り扱い記録を残し、責任者が定期的に確認する。
システムによる不正防止策
情報システム部門は、経理部門と連携し、システム面での管理強化を図ることで、不正アクセスや不正取引を未然に防ぐことができます。
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アクセス権限の見直し
- 経理システムへのアクセス権限を定期的に見直し、必要最低限の範囲に制限する。
- 異動・退職時には、不要なアカウントを即時削除する。
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操作ログの記録と監視
- インターネットバンキングの操作ログを記録し、不審な操作がないか定期的に確認する。
- 経理システムのログイン履歴を監視し、異常なアクセスがないかチェックする。
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アラート通知の設定
- 高額取引や不審な時間帯のアクセスが発生した際、自動的に管理者へ通知が届く仕組みを導入する。
- 長期間ログインがなかったアカウントは、自動的にロックする。
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クラウド型会計ソフトの活用
- クラウドベースの会計システムを導入し、リアルタイムで取引を監視できる環境を整える。
- 多要素認証(MFA)を有効化し、不正ログインを防止する。