
岡山市南区の支店で保管されていた運送会社(本社:福岡市)の備品を無断で売却し、代金を横領したとして、岡山南警察署は2025年5月6日、同社の元執行役員の男(55)を含む4人を業務上横領の疑いで逮捕しました。
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ラック241基を77万円で売却、代金を着服か
事件は、2023年3月16日から翌17日にかけて、岡山市南区の支店で保管されていた金属製ネスティングラック241基が、市内のリサイクル業者に約77万5千円で売却されたものです。この売却行為は会社に無断で行われており、売却代金は4人が着服したとされています。
逮捕されたのは、元執行役員のほか、以下の3人です。
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岡山市中区の会社役員の女(46)
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同市のアルバイトの男(37)
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広島市安佐南区の会社員の男(36)
いずれも警察の取り調べに対し、認否は明らかにされていません。
同社は2023年12月に本件を告訴し、警察が捜査を開始。事情聴取などを経て、容疑が固まりました。
内部不正を防ぐために企業が取るべき対応
今回の事件は、内部者による備品の不正売却という点で、企業の内部統制や物品管理体制の脆弱性が浮き彫りになったケースです。とりわけ、以下のポイントについては情報システム部門および経営層が再検討すべき事項と言えます。
物品の在庫・持出管理のIT化とログ監視
備品の管理が紙ベースや属人的運用に依存していると、持ち出しや売却といった行為を検知できません。在庫管理システムやICタグ、QRコードによる自動管理と監査ログの整備が必要です。
権限と責任の分離
役職者が単独で資産管理や売却決定に関与できる環境は、リスクが高まります。購買・売却の際には複数人承認プロセスや内部監査部門の関与をルール化する必要があります。
不正通報制度(ホットライン)の整備
社内の不正を早期に察知するには、従業員からの通報を受け付ける内部通報制度(いわゆるホットライン)の整備と、通報者の保護体制が不可欠です。
退職者・元役職者へのアクセス制御の徹底
今回の事件では、元役員が関与していた点も注目すべきです。退職後も関係を維持する人物が会社資産にアクセスできる環境はリスクが継続する状態であり、退任時点での権限剥奪・物理的アクセス制限は徹底すべきです。
一部参照
https://www.sanyonews.jp/article/1720066