CapCutの危険性とは-新利用規約で浮き彫りになる「著作権放棄」のリスク

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CapCutの新利用規約で浮き彫りになる「著作権放棄」のリスク-コンテンツの使用権がバイトダンスに自動許諾

2025年6月12日、動画編集アプリ「CapCut」の運営元であるバイトダンス社が、国際版の利用規約を改定しました。今回の改定では、ユーザーがCapCutを通じて編集・アップロードしたコンテンツに対する権利関係について、非常に強いライセンスを同社が取得する旨が明記されています。

※2026年1月22日の規約変更でも危険性は変わらず。

主な変更点:すべてのユーザーコンテンツに「無償かつ永久の利用権」

新たな規約では、ユーザーがCapCut上にアップロードしたコンテンツ(動画、音声、画像、顔の映像など)について、以下のような利用条件が付与されるとされています。

「全世界において、無償かつ取消不能、非独占的、譲渡可能、サブライセンス可能、永久的なライセンスをバイトダンスに許諾したものとみなす」

このライセンスには、コンテンツの改変、複製、配信、広告利用、第三者との共有なども含まれ、ユーザーが自身のアカウントを削除した後であっても、提供されたコンテンツの使用権はバイトダンスに残ると明言されています。









ユーザーの「肖像権・音声データ」も対象に

加えて、ユーザーがアップロードした動画内の声、顔、名前、アカウント名などの情報も同様に、広告やプロモーション利用を含む形で使用可能となっています。

これにより、例えば個人が録音したナレーション付き動画や顔出し動画を編集・投稿した場合、バイトダンス社がその音声や肖像を無断でCM等に使用する可能性があります。

利用規約には次のような一文も含まれています:

「ユーザーは、自らが投稿したコンテンツに関連して、プライバシー権、肖像権、名誉権などの権利を放棄し、マーケティング・広告用途での事前承諾や通知、報酬請求の権利を行使しないことに同意したものとみなす」












第三者AI(生成AI)機能利用における「インプット」と「アウトプット」の責任

最新規約では、CapCut内に統合されている外部AI技術として、Runway、Stable Diffusion、Google、YouTube、FLUX、Lumaなどの具体名が明記されています。これらの機能を使用する場合、ユーザーはCapCutの規約だけでなく、各AIプロバイダーが定める独自の利用規約(Runway Terms of UseやCreativeML OpenRAIL Licenseなど)にも同時に従う必要があります。

規約では、AIを利用するユーザーに対し、以下の2つのフェーズで重い責任を課しています。

インプット(入力・プロンプト)時のリスク

「第三者のAI技術等に入力を提供するために必要なすべての権利、ライセンス、および許可(必要なパブリシティ権のクリアランスやリリースを含む)をユーザーが確保しなければならない。」(規約意訳)

例えば、自社のプロモーション動画を作るために、インターネット上で拾った画像や、許可を得ていないタレントの顔写真を「元画像(プロンプト)」としてAIに読み込ませた場合、その時点でユーザーの規約違反および著作権・肖像権の侵害が成立します。AIにデータを「食わせる」権限処理は、CapCut側ではなく完全にユーザーの責任とされています。

アウトプット(生成結果)時のリスク

「第三者AI技術の出力またはその他の結果を、他者の権利(知的財産権、プライバシー、または所有権を含む)を侵害するような方法で使用することは禁じられる。」(規約意訳)

AIが生成した動画や画像が、偶然にも既存の著作物に酷似していたり、特定の個人のプライバシーを侵害するような内容であった場合、CapCutおよび各AIプロバイダーは一切責任を負いません。「AIが勝手に作ったものだ」という言い訳は通用せず、生成物を公開・利用したユーザー(法人)が直接、権利者から損害賠償や差止請求を受けることになります。

「他ユーザーのテンプレート」利用に潜む罠

CapCutの人気の理由の一つに、他のクリエイターが作成した「動画テンプレート」を簡単に適用できる機能があります。しかし、この「Third Party Content(第三者コンテンツ)」に関しても、規約は冷徹です。

「これらの第三者コンテンツは、当社が提供または承認するものではありません。ユーザーは、かかる第三者コンテンツを利用する際、自己責任(at your own risk)で行うことを認め、同意するものとします。」(規約意訳)

もし、あなたが利用した魅力的なテンプレートの中に、著作権処理されていない市販の楽曲や、無断転載されたイラストが組み込まれていたとしたらどうなるでしょうか。

CapCut側は事前の適法性チェックを保証しておらず、「自己責任で使え」と宣言しているため、そのまま動画をエクスポートして自社のYouTubeやTikTokに投稿した場合、「テンプレートを利用したあなた(自社)」が著作権侵害の主体としてプラットフォームからペナルティ(動画削除やアカウント凍結)を受けたり、権利者から訴えられたりするリスクがあります。

例えば楽曲や動画)を利用して編集を行った場合にも、そのコンテンツはバイトダンスに自動的にライセンスされる一方で、著作権侵害の責任はすべてユーザー本人が負うという点です。

法人でCapCutを利用する事のリスクや危険性

法人でCapCutを利用する事のリスクや危険性は以下の通り多数存在します。

  • 広範ライセンス付与との衝突
     CapCutにアップロード/生成したコンテンツ(UGC)へ、取消不能・世界包括・ロイヤリティフリー・改変可・再許諾可・恒久のライセンスを付与する規定があります。
    クライアント契約の「独占利用」「再許諾禁止」「二次利用禁止」「改変禁止」条項と矛盾しやすい。

  • 権利処理の最終責任はユーザー側
     音源・フォント・画像・動画・テンプレ・AI出力など各要素の権利取得・適法性はユーザー責任。権利不備があると、法人が直接侵害主体として請求・差止・損害賠償の対象になり得る。

  • 音楽の多層権利(原盤/著作権/管理団体)
     規約は原盤と著作権を分けて許諾取得を求め、PRO/CMOや出版社への通知・遵守が必要になり得る旨を示唆。広告・放送・店頭BGM・配信など用途拡張で追加許諾不足が発生しやすい。

  • 「会社コンテンツ」(テンプレ・BGM等)の用途制限
     CapCutの内蔵素材は製品別のマテリアルライセンスに従い、商用可否・媒体範囲・クレジット義務が異なる。放送・大規模広告・有料配信・商品化で想定外利用になりやすい。

  • 第三者コンテンツ/第三者AIの追加規約リスク
     テンプレやAI連携(Runway、Stable Diffusion ほか)は各ベンダーの追加規約が適用。商用不可・出力物の権利不明確・クレジット必須・禁止用途などに違反すると、二次侵害・契約違反の責任が法人に及ぶ。

  • UGCの「非機密」取扱い
     ユーザーコンテンツは原則非機密扱い。未公開の製品情報や顧客素材をアップすると、秘密保持義務違反(NDA違反)や営業秘密漏えいの火種になる。






利用のハードルは低くても、代償は大きい

CapCutは直感的に操作できる点や、豊富なテンプレート・エフェクトで人気を博しています。しかし今回の利用規約改定により、ユーザーが提供するすべての情報とコンテンツを、企業側が自由に使える契約にサインしている状態となります。

特に企業や団体、教育現場などでCapCutを活用している場合、プライバシー・権利管理の観点から極めて慎重な運用が求められます