神奈川県海老名市は2026年6月19日、生活保護受給のために必要な銀行からの資産調査回答書を紛失し、その事実を隠ぺいするために回答書を偽造したとして、保健福祉部生活支援課の男性職員を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表しました。
市によると、当該職員は令和8年度に他の職員へ事務を引き継ぐ際、生活保護受給のために必要な銀行からの資産調査の回答書11行分を紛失していたことが判明しました。その後、書類が見つからなかったため、紛失の事実を隠ぺいする目的で、当該受給者の回答書を偽造し、上席等に対して回答書を発見したと虚偽の報告を行ったとされています。
サマリー
- 海老名市が2026年6月19日付で職員の懲戒処分を公表
- 被処分者は保健福祉部生活支援課の主事、26歳男性
- 処分内容は停職1カ月
- 処分理由は公文書偽造
- 生活保護受給のために必要な銀行からの資産調査回答書11行分を紛失
- 書類が見つからなかったため、紛失の事実を隠ぺいする目的で当該受給者の回答書を偽造
- 上席等に対し、回答書を発見したと虚偽報告
- 管理監督責任として、保健福祉部参事兼生活支援課長など2名を文書訓告
- 市長は、市民や関係機関の信頼を大きく損ねたとして謝罪
- リリースでは、外部流出や第三者閲覧の有無については明記されていません
概要
今回の事案は、生活保護受給に関する事務で取り扱う銀行からの資産調査回答書を職員が紛失し、その事実を隠すために回答書を偽造したものです。
被処分者は、海老名市保健福祉部生活支援課の主事で、26歳の男性職員です。海老名市は、当該行為を公文書偽造として、2026年6月19日付で停職1カ月の懲戒処分としました。
市は、本件行為について、市に対する信用を著しく傷つける行為であり、全体の奉仕者としてふさわしくない非行であるため処分したと説明しています
対象となった情報
海老名市の発表で明らかにされている対象情報は、生活保護受給のために必要な銀行からの資産調査回答書11行分です。
ただし、リリースでは、回答書に含まれていた具体的な情報項目、対象者数、金融機関名、口座情報の有無、外部流出や第三者閲覧の有無については明記されていません。
生活保護関連の事務では、受給者の生活状況や資産状況など、非常に慎重な取り扱いが求められる情報が含まれる可能性があります。そのため、外部流出が確認されていない場合でも、文書の所在不明や偽造は行政事務の信頼性に大きく関わる問題です。
処分内容
海老名市が公表した処分内容は以下の通りです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 被処分者 | 保健福祉部生活支援課 主事 26歳 男性 |
| 処分内容 | 停職1カ月 |
| 処分理由 | 公文書偽造 |
| 処分年月日 | 2026年6月19日 |
また、市は管理監督責任を問うため、同日付で以下の処分も行っています。
| 対象 | 処分内容 |
|---|---|
| 保健福祉部参事兼生活支援課長 | 文書訓告 |
| 生活支援課自立支援担当課長兼自立支援係長事務取扱 | 文書訓告 |
市長コメント
海老名市長は、本件について、全体の奉仕者である公務員としてあるまじき行為であり、市民や関係機関の信頼を大きく損ねる事態を招いたとして謝罪しました。
また、市として、不正行為が発生しないよう、今後さらに法令順守を徹底し、市民の信頼回復に全力で取り組むとしています。
行政機関が確認すべきポイント
今回の事案は、サイバー攻撃やシステム障害ではありません。しかし、行政機関における情報ガバナンス、文書管理、職員の内部統制という点では、情報セキュリティ上も重要な事案です。
まず、重要文書の受領と保管の記録を徹底する必要があります。金融機関や関係機関から届く回答書について、受領日、担当者、保管場所、処理状況、引き継ぎ先を記録していなければ、紛失時に影響範囲を正確に把握できません。
次に、担当者が単独で重要文書を保管・処理し、紛失や誤処理を隠せる状態になっていないかを確認する必要があります。ダブルチェック、管理台帳、上席による定期確認、引き継ぎ時の現物確認が機能していなければ、同様の問題が再発する可能性があります。
また、紛失が発生した場合に、担当者が速やかに報告できる仕組みも重要です。紛失そのもの以上に、隠ぺいや偽造が発生すると、影響範囲の確認、関係者への説明、再発防止、行政事務の正当性が大きく損なわれます。
情シス・管理部門が見るべきポイント
紙文書の紛失であっても、情報システム部門や管理部門が関与すべき領域はあります。
まず、重要文書を紙だけで管理している場合、文書管理システムやワークフローシステムで受付・処理・承認・保管状況を記録できるかを検討する必要があります。原本管理が必要な文書であっても、所在管理や処理履歴はシステム化できます。
次に、福祉・税務・住民情報など、機微性の高い業務では、担当者単位の処理履歴と承認履歴を残すことが重要です。誰がいつ処理したか、どの文書を受領したか、どのタイミングで引き継いだかを後から確認できなければ、問題発生時の調査が難しくなります。
さらに、紙文書と電子データが混在する業務では、文書管理ルールとシステム運用ルールを分けずに設計する必要があります。紙の回答書を受け取り、システムへ入力し、原本を保管する場合、紙とシステムのどちらか一方だけを見ても全体の統制は成立しません。
関連記事
栃木県日光市が約9千人の個人情報を含むファイルをメールを誤送信
千葉 鴨川市 職員が不正アクセスし市民や職員の人事情報を閲覧
熊本市教委、進学支援金申請者562人分の個人情報が誤設定により漏洩








