2026年5月1日、株式会社サンリオ(東証プライム:8136、東京都品川区、代表取締役社長:辻朋邦)は、2026年4月16日に公表した常務取締役1名の不適切な報酬受給疑い事案について、特別調査委員会の設置および2026年3月期決算発表の延期を取締役会で決議したとして適時開示を行いました。
調査の対象範囲の拡大と、より高い独立性・客観性の確保が必要と判断し、当初のベーカー&マッケンジー法律事務所による調査体制から、社外取締役を委員長とする特別調査委員会に移行します。調査は特定のグループ子会社だけでなく、他のグループ会社への類似事象の有無の確認も含めたグループ全体への調査に拡大されます。
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この記事のサマリー
- 2026年4月16日公表の第一報(斎藤陽史常務取締役・59歳による子会社からの不適切報酬受給疑い・複数年・合計数億円)を受けて、特別調査委員会を設置しました。
- 委員長は森川紀代・社外取締役(監査等委員)が就任。外部委員としてベーカー&マッケンジー法律事務所の吉田武史弁護士・デロイト トーマツの佐藤保則公認会計士が参加します。
- 調査対象は当初の特定グループ子会社を超えて、他のグループ会社にまで拡大。類似事象の有無を全社横断で確認します。
- 2026年5月13日に予定していた2026年3月期の決算発表を延期。期末後50日を超える見込みとなっており、延期後の日程は調査の範囲・進捗に依拠するとしています。
- 現時点で2026年3月期以前の連結業績における虚偽は確認されていないとしており、連結業績への影響は現時点で軽微との認識を示しています。
目次
事案の経緯
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年4月16日 | 常務取締役1名(斎藤陽史氏・59歳)が、担当するグループ子会社から指名・報酬諮問委員会で決定された報酬以外の追加報酬を受領していた疑いを公表。複数年にわたり合計数億円。当該取締役の全職務を停止。ベーカー&マッケンジー法律事務所の支援のもと調査開始 |
| 2026年5月1日 | 特別調査委員会の設置を決議。 調査対象範囲の拡大等を踏まえ、より独立性・客観性の高い体制に移行。2026年3月期決算発表の延期を決議 |
| 今後 | 特別調査委員会主導で調査継続。グループ全社横断の類似事象確認。調査完了次第、速やかに開示 |
特別調査委員会の構成
| 役割 | 氏名 | 所属・資格 |
|---|---|---|
| 委員長 | 森川 紀代 | サンリオ 社外取締役(監査等委員) |
| 委員 | 吉田 武史 | ベーカー&マッケンジー法律事務所 弁護士 |
| 委員 | 佐藤 保則 | 合同会社デロイト トーマツ 公認会計士 |
委員3名と当社との間には特別な利害関係はないとしています。
特別調査委員会の主な調査目的
今回の特別調査委員会が担う調査の目的は以下の5点です。特定のグループ子会社からの報酬受領に関する事実関係の確認、類似事象の有無の確認(グループ全社横断)、影響額の算定、原因究明と再発防止策の提言、その他特別調査委員会が必要と認めた事項です。
なぜ特別調査委員会が必要だったのか
4月16日の第一報では、独立した外部法律事務所(ベーカー&マッケンジー)の支援のもとで調査を進めていました。にもかかわらず約2週間で特別調査委員会への体制変更が行われた理由として、公表文では「調査の対象範囲の拡大等を踏まえ、より独立性および客観性を確保した体制のもとで調査を進めることが適切と判断した」とされています。
「調査の対象範囲の拡大」という表現が重要です。これは当初の「特定のグループ子会社1社」の調査だけでは全体像の把握に至らなかった可能性を示唆しており、類似事象が他のグループ会社にも存在する可能性が浮上したものとみられます。社外取締役を委員長とすることで、経営執行側からの独立性をより明確に担保する意図もあります。
調査対象のグループ全体への拡大」が示す問題の深刻化
今回の最大の注目点は、調査対象が特定子会社を超えて「グループ全体」に拡大されたことです。
今回の件はグループ会社をまたぐ権限と統制の問題として、親会社で決めたルールが子会社運用にどこまで反映されているか、承認済み情報と実際の支払いが突合できる仕組みになっているかが問われますという観点は、特別調査委員会設置の背景とも合致します。
斎藤常務は子会社のCEOも兼務するという「二重の立場」にあり、この構造が本社の指名・報酬諮問委員会の監視が及びにくい「子会社CEO」という盲点を生み出していたとみられています。今回の調査拡大は、同様の二重構造が他のグループ会社にも存在していないかを確認するものと考えられます。
決算発表の延期と業績への影響
2026年5月13日に予定していた2026年3月期決算発表は延期されます。期末(3月31日)から50日を超える見込みとなっており、東証のルール上は「期末後45日以内の開示」が推奨されています。延期後の日程は特別調査委員会の調査範囲・進捗によって決まるため現時点では未定です。
なお、連結業績への影響については「現時点では軽微と認識している」とし、2026年3月期以前の連結業績に虚偽は確認されていないと説明しています。ただし調査の進捗によって開示すべき事項が判明した場合は速やかに開示するとしています。
コンプライアンス・内部統制担当者へのポイント
本件が示す内部統制上の教訓は「親会社役員が子会社CEOを兼任する二重構造において、子会社側の報酬決定プロセスが本社の承認フローから外れうる」という点です。
対策の観点として以下が挙げられます。グループ子会社の役員報酬決定プロセスを本社の指名・報酬諮問委員会のスコープに明示的に含めること、親会社役員が子会社役員・CEOを兼務する場合の報酬二重受領に関するルールの明文化、グループ全体での報酬・費用支払いの一元モニタリング体制の整備が最低限必要な対策です。
今回の発覚が「内部通報」によるものであったことは内部通報制度が機能した証左であり、制度があること自体の有効性を示す事例でもあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 不適切報酬を受け取っていた常務取締役は誰ですか? 報道によれば斎藤陽史常務取締役(59歳)です。サンリオの公式発表では氏名の明示を避けていますが、複数のメディアが実名を報道しています。
Q. 決算発表はいつ行われますか? 現時点では未定です。特別調査委員会の調査範囲・進捗を確認しつつ決定次第、速やかに公表するとしています。
Q. 連結業績(売上・利益)に影響はありますか? 現時点では「軽微と認識している」としています。調査の進捗によって開示すべき事項が判明した場合は速やかに開示するとしています。
Q. 内部通報制度が機能したとはどういう意味ですか? 今回の不正は内部からの通報がきっかけで発覚しました。指名・報酬諮問委員会という外部監視機能をすり抜けた不正を発見したのが内部通報制度であったことは、コーポレートガバナンスの多層防御の観点から重要な示唆を持ちます。








