フェースグループ、ランサムウェア 被害の第四報を公表 受注・出荷業務は通常状態に近い仮稼働へ

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フェースグループ、ランサムウェア 被害の第四報を公表 受注・出荷業務は通常状態に近い仮稼働へ

化粧品の開発・販売やエステティックサロン関連事業を展開するフェースグループは2026年8月7日、6月19日に発生した不正アクセスによるシステム障害について、第四報を公表しました。

同社は第三報で、外部からの不正アクセスとランサムウェアによる攻撃を受けたことを確認したと説明していました。今回の第四報では、受注・出荷業務について障害発生前に近い仮稼働体制を構築し、ご注文から出荷までのリードタイムは通常の状態に戻っているとしています。一方で、障害期間中の売上計上や納品書・請求書等の発行は順次対応中であり、原因と影響範囲の調査、ネットワークを含めた全面復旧は継続中です。

フェースグループのランサムウェア被害第四報のサマリー

  • フェースグループは2026年8月7日、6月19日に発生した不正アクセスによるシステム障害について第四報を公表しました。
  • 第三報では、同社サーバーが外部から不正アクセスを受け、ランサムウェアによる攻撃を受けたことが確認されたと説明されています。
  • 受注・出荷業務は、障害発生前に近い仮稼働体制を構築し、注文から出荷までのリードタイムは通常状態に戻ったとされています。
  • 障害期間中の売上計上、納品書・請求書等の発行は継続対応中であり、全面復旧にはなお時間を要する状況です。
  • クレジットカード情報の漏えいは第三報時点で確認されていませんが、ID・パスワードの漏えい範囲は調査中とされており、ECサイト利用者には引き続きパスワード変更が推奨されます。
  • 個人情報保護委員会への報告状況は、第一報から第四報までの公式公表文上では確認できませんでした。

整理表

項目 内容
公表日 2026年8月7日
被害企業 フェースグループ
事案種別 外部からの不正アクセスによるランサムウェア被害
障害発生日 2026年6月19日
第四報の主な更新点 受注・出荷業務が障害発生前に近い仮稼働体制となり、注文から出荷までのリードタイムが通常状態に戻った
継続中の対応 障害期間中の売上計上、納品書・請求書等の発行、原因調査、影響範囲調査、ネットワークを含めた全面復旧
個人情報の影響 第三報時点で、個人情報を含む重要データの保護を最優先に障害システムの遮断措置を講じたと説明。具体的な漏えい有無・範囲は継続調査中
クレジットカード情報 第三報時点で漏えいは確認されていない
ID・パスワード 第三報時点で漏えい範囲を調査中。ECサイト利用者に速やかな変更を強く推奨
出荷業務 6月24日より発送手配を再開。第四報でリードタイムは通常状態に戻ったと説明
請求・売上計上 障害期間中の売上計上、納品書・請求書等の発行は順次対応中
攻撃詳細 被害拡大防止のため、第三報時点で詳細開示を差し控えると説明
個人情報保護委員会への報告状況 公式公表文上では確認できず
関連する既報 フェースグループ、ランサムウェアによるサイバー攻撃を正式確認-第三報でID・パスワード漏えいの調査継続を公表

第四報で何が更新されたのか

今回の第四報は、被害の原因や情報漏えい範囲が確定した報告ではなく、主に業務復旧状況に関する続報です。フェースグループは、6月19日に発生した不正アクセスによるシステム障害について、現在も全面復旧に向けた対応を継続していると説明しています。そのうえで、受注・出荷業務については今週より障害発生前に近い仮稼働体制を構築し、注文から出荷までのリードタイムは通常の状態に戻ったとしています。

一方で、障害期間中の売上計上や、納品書・請求書等の発行については順次対応中です。出荷のリードタイムが戻ったからといって、バックオフィス業務や会計処理、ネットワーク全体が完全に正常化したわけではありません。ランサムウェア被害では、商品の出荷、顧客対応、請求処理、経理処理、在庫管理、社内ネットワークの復旧がそれぞれ別の速度で回復することがあります。今回の第四報も、営業・出荷面の復旧が先行し、内部処理や調査は継続している段階と見るべきです。

第一報から第四報までの経緯

フェースグループは2026年6月22日の第一報で、同社においてシステム障害が発生していることを公表しました。この時点で、外部からの不正アクセスに起因するランサムウェア被害の可能性が判明しており、専門機関の協力のもと、原因の特定、影響範囲の確認、復旧対応を進めていると説明していました。個人情報および取引情報への影響については調査中とされています。

6月25日の第二報では、6月19日以降、ECサイトでの注文商品の発送手続きが停止していたものの、6月24日から発送手配を再開したと公表しました。ただし、通常時と同じペースでの出荷は難しく、配送に数日程度の時間を要する場合があると説明しています。EC事業者にとって、出荷停止は売上だけでなく、顧客満足度、問い合わせ対応、取引先への納品調整にも直結します。第二報の段階では、被害の確定よりも業務継続と顧客対応が前面に出ていました。

6月26日の第三報では、状況が一段進みます。同社は、調査によりサーバーが外部からの不正アクセスを受け、ランサムウェアによる攻撃を受けたことを確認したと公表しました。第一報・第二報の「可能性」から、第三報ではランサムウェア攻撃が確認されたという表現に変わっています。あわせて、障害が発生したシステムの遮断措置を講じたこと、クレジットカード情報の漏えいは現時点で確認されていないこと、IDおよびパスワードの漏えい範囲については調査を継続していることが示されました。

今回の8月7日の第四報では、受注・出荷業務のリードタイムが通常状態に戻ったことが示されました。一方で、原因と影響範囲の調査、売上計上や請求関連処理、ネットワークを含めた全面復旧は続いています。ランサムウェア被害の復旧は、単にサーバーを復旧するだけでは終わりません。どのデータが影響を受けたのか、認証情報が使われた可能性はないか、バックドアが残っていないか、ログからどこまで追えるか、顧客・取引先へ追加通知が必要かを確認する必要があります。

業務が戻り始めても情報漏えいリスクの確認は終わっていない

第四報で出荷リードタイムが通常状態に戻ったことは、利用者や取引先にとって重要な前進です。しかし、セキュリティインシデントとして見ると、復旧状況と情報漏えい範囲の確定は別の問題です。

第三報では、クレジットカード情報の漏えいは確認されていない一方で、ID・パスワードの漏えい範囲については調査中とされ、ECサイト利用者に速やかなパスワード変更が強く推奨されています。これは、利用者側で取れる自衛措置が残っていることを意味します。同じID・パスワードを他サービスでも使っている場合、仮に認証情報が漏えいしていれば、パスワードリスト型攻撃につながるおそれがあります。

ランサムウェア攻撃では、暗号化だけでなく、事前にデータを窃取してから脅迫する二重脅迫型の手口が一般化しています。今回の公表では、攻撃者名、侵入経路、データ外部送信の有無、暗号化されたシステム範囲などは明らかにされていません。これは、調査中であることに加え、被害拡大防止のため攻撃詳細の開示を差し控えるという判断もあると考えられます。

情報システム部門としては、業務復旧のニュースだけを見て「収束した」と判断しないことが重要です。原因調査、影響範囲調査、認証情報の再発行、顧客通知、監視強化、再侵入の確認が完了するまで、インシデント対応は継続していると見るべきです。

EC事業者でランサムウェアが起きたときに影響が広がりやすい理由

フェースグループのようにECサイトや会員向けサービスを運営する企業では、ランサムウェアによる業務停止の影響が複数の業務に波及します。受注データ、在庫情報、配送指示、決済連携、顧客情報、ポイント、問い合わせ履歴、請求・納品書発行などがそれぞれ連動しているためです。

特に美容・化粧品関連のECでは、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、購入履歴、肌悩みや商品嗜好に関わる問い合わせ内容など、漏えいした場合に利用者が心理的負担を感じやすい情報が含まれる可能性があります。今回の第四報では具体的な漏えい範囲は示されていませんが、EC事業者の一般論として、購買履歴や問い合わせ履歴は単なる事務情報ではなく、利用者の生活習慣や関心に結び付く情報として扱う必要があります。

また、ECの復旧では「出荷できるか」だけでなく、「正しい請求ができるか」「過去注文と重複しないか」「返品・キャンセルに対応できるか」「ポイントや会員情報に不整合がないか」も重要です。第四報で売上計上や納品書・請求書等の発行が順次対応中とされている点は、業務データの整合性確認に一定の時間が必要であることを示しています。

利用者と取引先が確認すべきこと

フェースグループのECサイトやサービスを利用している利用者は、第三報で案内されているとおり、ID・パスワードの変更を優先すべきです。特に、他のECサイト、メール、SNS、ポイントサービスなどで同じパスワードを使い回している場合は、同じ文字列を使っているサービスすべてで変更する必要があります。

フェースグループを名乗るメールやSMS、電話にも注意が必要です。インシデント公表後は、被害企業名や顧客不安を利用して、パスワード変更、返金、配送状況確認、請求書再発行などを装うフィッシングが発生することがあります。公式サイトの案内と一致しないURL、添付ファイル、個人情報やクレジットカード情報の再入力依頼には慎重に対応する必要があります。

取引先企業は、障害期間中の注文、出荷、請求、納品書、返品、キャンセルについて、自社側の記録とフェースグループ側の案内に不整合がないかを確認すべきです。請求書や納品書の再発行が行われる場合、なりすまし請求書や振込先変更依頼に見せかけたビジネスメール詐欺にも注意が必要です。

個人情報保護委員会への報告状況

第一報から第四報までの公式公表文を確認した範囲では、個人情報保護委員会への報告状況は明記されていません。第三報では、個人情報を含む重要データの保護を最優先に障害システムの遮断措置を講じたこと、クレジットカード情報の漏えいは確認されていないこと、ID・パスワードの漏えい範囲について調査中であることが示されています。

個人情報保護法では、個人データの漏えい等が発生し、または発生したおそれがあり、要配慮個人情報や不正目的のおそれ、財産的被害のおそれ、一定規模以上の漏えい等に該当する場合、個人情報保護委員会への報告や本人通知が必要になります。現時点では、フェースグループの公表文だけから報告対象該当性や報告実施状況を断定することはできません。

今後、ID・パスワードや個人情報の漏えい範囲が確定した場合、対象者への個別連絡や追加公表が行われる可能性があります。利用者と取引先は、公式サイトの続報を確認し、メールで届いた案内だけに依存しないことが重要です。

情報システム部門への示唆

今回の第四報で最も重要なのは、復旧が段階的に進んでいる一方で、調査と全面復旧が継続している点です。ランサムウェア被害では、業務を再開できる状態に戻すことと、安全な状態に戻すことを分けて考える必要があります。仮稼働体制で受注・出荷を戻す判断は事業継続上必要になる一方、侵入経路の封鎖、認証情報の無効化、バックドアの有無、横展開の痕跡、外部送信の有無を確認しなければ、再侵害のリスクが残ります。

自社で同様の事案に備える場合、まずバックアップの取得と復旧訓練を実施する必要があります。バックアップは取得しているだけでは不十分で、ランサムウェアに暗号化されない隔離保管、復元手順の確認、復旧優先順位の明確化が必要です。IPAや警察庁も、ランサムウェア対策としてバックアップ、多要素認証、アクセス制限、ソフトウェア更新、感染時の初動対応を重視しています。

次に、ECや受発注システムでは、業務再開時のデータ整合性確認が重要になります。注文番号、出荷状況、請求情報、入金消込、返品・キャンセル、ポイント、会員ステータスなどが障害前後でずれると、顧客対応や会計処理に長く影響します。インシデント対応計画には、サーバー復旧だけでなく、業務データの突合、請求書再発行時の承認、顧客問い合わせ対応、偽メール対策まで含めるべきです。

認証情報については、ECサイト利用者へのパスワード変更依頼だけでなく、社内管理者、委託先、管理画面、VPN、リモートデスクトップ、クラウドサービス、メールアカウントの認証情報を横断的に見直す必要があります。ランサムウェア攻撃では、初期侵入に使われた認証情報が複数のシステムで使い回されている場合、復旧後も再侵入されるおそれがあります。

広報・法務・情シスの連携も重要です。今回のように第一報から第四報まで段階的に情報が更新される場合、初期段階では断定できないことが多くあります。そのため、公表文では「確認された事実」「調査中の事項」「利用者にお願いする対応」を明確に分ける必要があります。利用者が不安を抱きやすいID・パスワード、クレジットカード、個人情報については、分かったことと分かっていないことを過不足なく伝えることが、二次被害防止にもつながります。

ランサムウェア対応は、システム復旧だけでなく、受注、出荷、請求、顧客対応、取引先対応、決算・会計処理、個人情報保護対応まで広がる経営課題です。今回の続報は、出荷が戻り始めても、全面復旧と影響範囲調査には時間がかかることを示しています。自社のインシデント対応計画でも、「業務を止めないための仮復旧」と「安全性を確認した完全復旧」を分けて設計しておく必要があります。

出典