CISA、Windows Task Hostの脆弱性(CVE-2025-60710)がランサムウェアグループに悪用されていると確認 KEVカタログを更新

セキュリティニュース

投稿日時: 更新日時:

CISA、Windows Task Hostの脆弱性(CVE-2025-60710)がランサムウェアグループに悪用されていると確認 KEVカタログを更新

米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は、2026年4月に実際の悪用が確認されたとして既知の悪用済み脆弱性(KEV)カタログに追加していたWindows Task Hostの脆弱性について、ランサムウェアグループによる悪用も確認されたとして情報を更新しました。

この記事のサマリー

  • 対象はCVE-2025-60710、Windows Task Hostにおける権限昇格の脆弱性です。Task HostはDLLベースのプロセスをバックグラウンドで実行し、シャットダウン時に正しく終了させることでデータ破損を防ぐ、Windowsの中核的なシステムコンポーネントです。
  • 原因はリンクフォロー(不適切なシンボリックリンク・ジャンクションの処理)に起因する脆弱性で、Windows 11およびWindows Server 2025に影響します。
  • 悪用に成功すると、基本的なユーザー権限しか持たないローカルの攻撃者が、SYSTEM権限を取得し、パッチ未適用の端末を完全に制御できる可能性があります。
  • Microsoftは2025年11月の月例パッチでこの脆弱性を修正済みです。CISAは2026年4月13日、実際の悪用を確認したとしてKEVカタログに追加し、米連邦文民行政機関(FCEB)に2週間以内の対応を義務付けていました。
  • CISAは今回(2026年8月14日、金曜日)、KEVカタログを再度更新し、この脆弱性がランサムウェアグループによっても悪用されていることを新たに明記しました。攻撃の詳細は公表されておらず、Microsoftも本記事執筆時点でセキュリティアドバイザリを更新し実際の悪用を確認する形にはなっていません。
  • CISAは「この種の脆弱性は、悪意あるサイバー攻撃者にとって頻繁に使われる攻撃経路であり、連邦の事業体に重大なリスクをもたらす」と警告し、ベンダーの指示に従った緩和策の適用、クラウドサービスについてはBOD 22-01のガイダンスへの準拠、緩和策が利用できない場合は製品の利用中止を呼びかけています。
  • CISAは2021年11月以降、Microsoft製品に関連する383件の悪用済み脆弱性をKEVカタログに掲載しており、このうち112件がランサムウェア攻撃でも悪用されたことが確認されています。

整理表

項目 内容
CVE番号 CVE-2025-60710
対象コンポーネント Windows Task Host
脆弱性の種別 権限昇格(リンクフォローに起因)
影響を受けるOS Windows 11、Windows Server 2025
悪用の影響 基本ユーザー権限からSYSTEM権限への昇格、端末の完全な制御
Microsoftによる修正 2025年11月の月例パッチで対応済み
KEVカタログへの初回追加日 2026年4月13日(実際の悪用を確認)
連邦機関の当初対応期限 追加から2週間以内
ランサムウェア悪用の追記日 2026年8月14日(金曜日)
攻撃の詳細 CISA・Microsoftともに本記事執筆時点で非公表
CISAが確認したMicrosoft製品の悪用済み脆弱性(2021年11月以降) 383件、うちランサムウェアでの悪用が確認されたものが112件

何が起きたか

BleepingComputerの報道によると、CVE-2025-60710はWindows Task Hostに存在する権限昇格の脆弱性です。Task Hostは、DLLベースのプロセスをバックグラウンドで実行し、シャットダウン時にこれらのプロセスを正しく終了させることでデータ破損を防ぐ、Windowsの中核的なシステムコンポーネントです。原因は、不適切なシンボリックリンク・ジャンクションの処理(リンクフォロー)に起因するもので、Windows 11およびWindows Server 2025に影響します。悪用に成功すると、基本的なユーザー権限しか持たないローカルの攻撃者が、SYSTEM権限を取得し、パッチ未適用の端末を完全に制御できる可能性があります。

Microsoftはこの脆弱性を、2025年11月の月例パッチで既に修正しています。CISAは2026年4月13日、実際の悪用を確認したとしてKEVカタログにこの脆弱性を追加し、米連邦文民行政機関(FCEB)に対し、2週間以内にシステムを保護するよう義務付けていました。

今回、CISAはKEVカタログを再度更新し、この脆弱性がランサムウェアグループによっても悪用されていることを新たに明記しました。ただし、CISAは具体的な攻撃の詳細を公表しておらず、BleepingComputerが問い合わせた時点でMicrosoftの担当者からも回答は得られていません。Microsoft自身のセキュリティアドバイザリも、本記事執筆時点で実際の悪用を確認する形には更新されていません。

CISAは今回の更新にあたり、「この種の脆弱性は、悪意あるサイバー攻撃者にとって頻繁に使われる攻撃経路であり、連邦の事業体に重大なリスクをもたらす」と警告しています。そのうえで、ベンダーの指示に従った緩和策の適用、クラウドサービスについては拘束力のある運用指令(BOD)22-01のガイダンスへの準拠、緩和策が利用できない場合は当該製品の利用中止を呼びかけています。

Microsoft製品を狙った悪用は継続的な傾向

CISAが今回、ランサムウェアグループによる悪用を確認したのは、Windows Task Hostが初めてではありません。1週間前にも、CISAはMicrosoft SharePointのリモートコード実行の脆弱性(CVE-2026-45659)について、ランサムウェアグループによる悪用を確認したと警告しています。この脆弱性は2026年7月上旬に実際の悪用が確認されたのち、KEVカタログに追加されたものです。当サイトでもこの経緯をCISA、SharePoint Serverの脆弱性 CVE-2026-45659をサイバー攻撃への悪用実績ありとしてKEVに追加で報じています。

CISAは、2021年11月以降、Microsoft製品に関連する383件の悪用済み脆弱性をKEVカタログに掲載しており、このうち112件が、ランサムウェア攻撃においても悪用されたことが確認されています。今回のケースが示すとおり、いったんパッチが提供され、KEVカタログに追加された脆弱性であっても、しばらく経ってから、ランサムウェアグループによる本格的な悪用が新たに確認されるケースは珍しくありません。

情報システム部門が確認すべき対策ポイント

  • Windows 11・Windows Server 2025を運用している場合、2025年11月の月例パッチが適用されているか確認してください。既に半年以上前に提供されているパッチのため、未適用のまま放置されているシステムがないか、あらためて棚卸しすることをおすすめします。
  • 本脆弱性はローカルからの権限昇格に悪用されるため、初期侵入そのものを許さない対策(フィッシング対策、境界防御、最小権限の徹底)とあわせて、多層的な防御を意識してください。
  • CISAのKEVカタログは、一度「悪用確認済み」として追加された後も、ランサムウェア等での悪用状況について更新されることがあります。過去にKEV対応済みとして扱った脆弱性であっても、パッチ未適用のシステムが社内に残っていないか、定期的に再確認する運用を検討してください。
  • 自社が保有するMicrosoft製品の資産管理と、CISAのKEVカタログとの突き合わせを定期的に行い、対応漏れがないか確認してください。

今後注目すべき点

本記事執筆時点で、CVE-2025-60710を悪用した具体的な攻撃の詳細は明らかになっていません。今後は以下の点が焦点になると考えられます。

  • CISA・Microsoftによる、攻撃の詳細や関連するランサムウェアグループの特定・公表の有無
  • 未パッチのまま残るWindows 11・Windows Server 2025環境における、実際の被害事例の有無
  • 同様に「パッチ提供・KEV追加から時間が経ってからランサムウェア悪用が確認される」パターンの脆弱性が、他にも見つかるかどうか

 

出典

CISA: Windows Task Host flaw now exploited by ransomware gangs——BleepingComputer

CISA、SharePoint Serverの脆弱性 CVE-2026-45659をサイバー攻撃への悪用実績ありとしてKEVに追加——セキュリティ対策Lab