総務省、pixiv・note・ガールズちゃんねる・好き嫌い.comなど4サイトを情プラ法の「大規模プラットフォーム」に追加指定 対象は計13サイトに

セキュリティニュース

投稿日時: 更新日時:

総務省、pixiv・note・ガールズちゃんねる・好き嫌い.comなど4サイトを情プラ法の「大規模プラットフォーム」に追加指定 対象は計13サイトに

総務省は2026年8月31日、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)第20条第1項に基づき、新たに4者を「大規模特定電気通信役務提供者」に指定しました。

今回指定されたのは、「ガールズちゃんねる」を運営する株式会社ジェイスクエアード、「pixiv」を運営するピクシブ株式会社、「note」を運営するnote株式会社、「好き嫌い.com」を運営する個人です。

情プラ法では、大規模なSNSや掲示板などについて、権利侵害情報の削除申出への対応を迅速化するとともに、削除基準や運用状況の透明性を高めるための義務を課しています。

2025年に指定されたGoogle、LINEヤフー、Meta、TikTok、X、Pinterest、サイバーエージェント、湘南西武ホーム、ドワンゴの9者と合わせ、指定事業者は13者となりました。

ただし、「指定された=問題のある投稿を7日以内に必ず削除しなければならない」という制度ではありません。指定を受けた者は3か月以内に総務大臣へ届出を行い、届出後、権利侵害情報の削除申出について原則7日以内に削除するかどうかを判断し、その結果などを申出者へ通知する体制の整備が求められます。

大規模特定電気通信役務提供者の追加指定のサマリー

  • 総務省は2026年8月31日、情プラ法に基づき新たに4者を大規模特定電気通信役務提供者へ指定しました。
  • 新たな指定対象は、株式会社ジェイスクエアード、ピクシブ株式会社、note株式会社、「好き嫌い.com」を提供する個人です。
  • 参考サービス名は「ガールズちゃんねる」「pixiv」「note」「好き嫌い.com」です。
  • 2025年に指定された9者と合わせ、指定対象は計13者となりました。
  • 指定の規模要件は、1年間の平均月間発信者数が1,000万人を超える、または平均月間延べ発信者数が200万人を超えることです。
  • 「平均月間発信者数」には、実際の投稿者だけでなく、投稿せずサービスを利用した国内利用者も含まれます。
  • 平均月間発信者数900万人以上、または平均月間延べ発信者数180万人以上の事業者には、原則として利用規模を総務大臣へ報告する義務があります。
  • 規模だけで自動的に指定されるわけではなく、削除措置を技術的に実施できることや、権利侵害が発生するおそれの少ないサービスではないことなども条件です。
  • 指定を受けた者は3か月以内に総務大臣へ届出を行う必要があります。
  • 届出後は、削除申出窓口の整備、必要な調査、侵害情報調査専門員の選任、原則7日以内の判断・通知などが求められます。
  • 削除基準の策定・公表、削除時の発信者への通知、運用状況の年次公表など透明性確保の義務もあります。
  • 原則7日以内に求められるのは「削除するかどうかの判断と申出者への通知」であり、7日以内の削除自体を一律に義務付けるものではありません。
項目 内容
公表日 2026年8月31日
公表機関 総務省
根拠法 情報流通プラットフォーム対処法 第20条第1項
今回の指定 株式会社ジェイスクエアード、ピクシブ株式会社、note株式会社、個人
参考サービス ガールズちゃんねる、pixiv、note、好き嫌い.com
指定者数 既存9者+今回4者=計13者
主な規模要件 平均月間発信者数1,000万人超、または平均月間延べ発信者数200万人超
事前の報告基準 平均月間発信者数900万人以上、または平均月間延べ発信者数180万人以上
指定後の届出 指定日から3か月以内
削除申出への対応 原則7日以内に判断結果等を申出者へ通知
主な義務 削除申出窓口の整備、調査、専門員選任、削除基準公表、発信者への通知、運用状況公表

pixiv、note、ガールズちゃんねる、好き嫌い.comを追加指定

総務省が8月31日に新たに指定した4者は以下のとおりです。

大規模特定電気通信役務提供者 参考サービス名
株式会社ジェイスクエアード ガールズちゃんねる
ピクシブ株式会社 pixiv
note株式会社 note
個人 好き嫌い.com

総務省は今回、運営者が個人である「好き嫌い.com」についても、法人と同様に大規模特定電気通信役務提供者として指定しました。

情プラ法上の指定対象は「企業」に限定されておらず、要件を満たす特定電気通信役務を提供する者が対象となります。

現在指定されている大規模プラットフォームは13サイト

情プラ法は2025年4月1日に施行されました。

総務省は同年4月30日にGoogle LLC、LINEヤフー株式会社、Meta Platforms, Inc.、TikTok Pte. Ltd.、X Corp.の5者を指定しました。

続いて5月30日には、Pinterest Europe Limited、株式会社サイバーエージェント、株式会社湘南西武ホーム、株式会社ドワンゴの4者を追加しています。

今回の4者を加え、2026年8月31日時点で指定されている大規模特定電気通信役務提供者は以下の13者です。

指定時期 大規模特定電気通信役務提供者 参考サービス名
2025年4月 Google LLC YouTube
2025年4月 LINEヤフー株式会社 Yahoo!知恵袋、Yahoo!ファイナンス、LINEオープンチャット、LINE VOOM
2025年4月 Meta Platforms, Inc. Facebook、Instagram、Threads
2025年4月 TikTok Pte. Ltd. TikTok、TikTok Lite
2025年4月 X Corp. X
2025年5月 Pinterest Europe Limited Pinterest
2025年5月 株式会社サイバーエージェント Amebaブログ
2025年5月 株式会社湘南西武ホーム 爆サイ.com
2025年5月 株式会社ドワンゴ ニコニコ(一部サービスを除く)
2026年8月 株式会社ジェイスクエアード ガールズちゃんねる
2026年8月 ピクシブ株式会社 pixiv
2026年8月 note株式会社 note
2026年8月 個人 好き嫌い.com

2026年5月時点の政府資料では、従来の9者はいずれも総務大臣への届出を完了し、削除対応の迅速化や運用状況の透明化に関する義務の適用が開始されていました。

今回追加された4者については、指定後3か月以内に所定の届出を行うことになります。

「大規模プラットフォーム」の指定条件は利用者数だけではない

大規模特定電気通信役務提供者の指定条件は、情プラ法第20条と施行規則で定められています。

まず規模については、サービスごとに直近1年間の数値を平均し、次のいずれかを超えることが条件となります。

規模要件 基準
平均月間発信者数 1,000万人超
平均月間延べ発信者数 200万人超

ここで注意したいのが「平均月間発信者数」の意味です。

名称だけを見ると投稿を行ったユーザーだけを数えるように見えますが、施行規則では、実際に発信者となった者に加えて、その月にサービスを利用した者も算定対象としています。日本国外にいると推定される利用者は除外されます。

そのため、実務上は投稿者だけでなく、閲覧などでサービスを利用する国内ユーザーも含めた規模が指定判断に使われます。

一方、「平均月間延べ発信者数」は、サービスを利用して発信者となった者の延べ数を基準とします。

規模要件に加え、削除可能性やサービスの性質も確認

利用規模が基準を超えただけで、自動的に指定されるわけではありません。

情プラ法第20条では、規模要件に加えて、当該サービスについて侵害情報の送信防止措置を技術的に講じることが可能であることを求めています。

さらに、「権利の侵害が発生するおそれの少ない特定電気通信役務」に該当しないことも条件です。

施行規則では、権利侵害が発生するおそれの少ないサービスとして、主に次の2種類を除外しています。

  • 不特定の利用者間の交流を主たる目的としていないサービス
  • 不特定の利用者間の交流機能が、上記サービスに専ら付随して提供されるもの

総務大臣は、これらの条件を満たしたサービスのうち、削除対応の迅速化や運用状況の透明化を図る必要性が特に高いと認められるサービスの提供者を指定します。

つまり、「利用者数が一定以上」という数字だけではなく、サービス上でユーザー間の情報流通がどのように行われているかも指定判断に関係します。

指定までの流れ 900万人・180万人から報告対象に

情プラ法では、総務省が指定対象となり得るサービスの規模を把握するため、指定基準より低い段階から報告制度を設けています。

施行規則第9条では、各年度の平均月間発信者数が900万人以上、または平均月間延べ発信者数が180万人以上となった特定電気通信役務提供者に対し、原則として年度終了後1か月以内に総務大臣へ報告書を提出することを求めています。

指定までの流れを整理すると、概ね次のようになります。

  1. 事業者がサービスの平均月間発信者数などを算定する
  2. 900万人または180万人の報告基準に達した場合、総務大臣へ報告する
  3. 総務省が1,000万人または200万人の規模要件を含む指定条件を確認する
  4. 必要性が特に高いサービスの提供者を総務大臣が指定する
  5. 指定された提供者が3か月以内に名称、住所などを総務大臣へ届け出る
  6. 届出後、削除対応の迅速化や運用状況の透明化に関する義務が適用される

総務大臣は、事業者からの報告だけでは利用規模を把握することが困難な場合、利用状況の調査など合理的な方法により平均月間発信者数などを推計することもできます。

また、総務大臣から個別に報告を求められた場合、事業者は基準値にかかわらず報告する必要があります。

指定後は削除申出に原則7日以内の判断・通知

大規模特定電気通信役務提供者として届出を行った事業者には、権利侵害情報への対応を迅速化するための義務が課されます。

まず、自己の権利を侵害されたとする利用者が削除を申し出られる方法を整備し、公表しなければなりません。

施行規則では、日本語で申出を行えることも求めています。

申出を受けた事業者は必要な調査を実施し、削除などの送信防止措置を実施するかどうかを判断します。

そして原則として、申出を受けた日から7日以内に、

  • 削除などを実施した場合はその旨
  • 実施しなかった場合はその旨と理由

を申出者へ通知する必要があります。

ただし、発信者から意見を聴く場合や侵害情報調査専門員に調査させる場合、その他やむを得ない理由がある場合には、7日以内に最終判断が完了しないケースも制度上想定されています。その場合も、所定期間内に遅延理由などを通知する必要があります。

「7日以内に削除」ではない点に注意

情プラ法の「7日」という期間は、しばしば「7日以内の削除義務」と受け取られることがありますが、正確には異なります。

法律が求めているのは、権利侵害情報の削除申出を受けた事業者が調査したうえで、削除などの措置を講じるかどうかを判断し、その結果を原則7日以内に申出者へ通知することです。

事業者が調査の結果、権利侵害に該当しないなどの理由で削除しないと判断することも制度上想定されています。その場合は、削除しなかった旨と理由を通知します。

また、総務省が個々の投稿について一律に削除を指示する仕組みでもありません。

政府資料でも、削除するかどうかは事業者自身が定めた削除基準などに基づいて判断する仕組みとして整理されています。

削除基準やモデレーション実績の透明化も義務

情プラ法は削除申出への迅速な対応だけでなく、プラットフォームによるコンテンツモデレーションの透明化も求めています。

大規模特定電気通信役務提供者は、原則として自ら定め、公表した基準に従って投稿の削除などを行う必要があります。

施行規則では、この基準を実際に適用する14日前までに公表することを求めています。

また、削除などを行った場合には、一定の例外を除き、投稿者にその旨と理由を通知するか、容易に知ることができる状態にする必要があります。

さらに年度ごとに、削除申出への対応件数、削除・非削除件数、AIを利用した削除やアカウント停止の状況、日本語を理解するコンテンツモデレーターの人数などを含む運用状況を公表することが求められます。

今回pixivやnoteなどが指定されたことで、これらのサービスでも、届出後は削除申出への対応プロセスやコンテンツモデレーションの運用状況がこれまで以上に可視化されることになります。

pixivやnoteの利用者・企業には何が変わるのか

利用者側で最も分かりやすい変化は、名誉やプライバシーなど自己の権利を侵害する投稿について、法に対応した削除申出窓口や手続が整備される点です。

削除申出を行った後、対応結果が分からないまま長期間経過する問題に対し、原則7日以内の通知という期限が設定されます。

一方、投稿者側から見ると、プラットフォームが投稿を削除した場合に、その事実や理由が通知される仕組みが強化されます。削除基準も事前に公開する必要があるため、どのような情報が削除対象となり得るのかについて透明性が高まります。

企業にとっても、自社や役職員を対象とした権利侵害情報が投稿された場合、指定サービス上では法に基づく申出手続を確認する選択肢が増えます。

ただし、自社にとって不都合な情報や否定的な評価であるというだけで、情プラ法に基づき削除されるわけではありません。迅速化の対象となる削除申出では、申出者が自己の権利を侵害されたと主張し、対象情報などを示して申し出ることが前提となります。

指定事業者には専門員選任や運用記録の整備も必要

指定の影響は、問い合わせ窓口を設けるだけにとどまりません。

大規模特定電気通信役務提供者は、専門的な知識経験が必要な権利侵害情報の調査を適正に行うため、「侵害情報調査専門員」を選任しなければなりません。

施行規則では、大規模特定電気通信役務ごとに少なくとも1人の専門員を選任することとされています。

そのため今回指定された事業者側では、削除申出の受付システムだけでなく、案件管理、判断期限の管理、専門員へのエスカレーション、削除理由の記録、発信者への通知、年度ごとの集計・公表まで含めた運用体制が必要になります。

投稿サービスを提供する企業にとっては、情プラ法への対応は法務・コンプライアンス部門だけで完結するものではなく、カスタマーサポート、Trust & Safety、システム開発、データ分析などをまたぐ業務となります。

義務違反では総務大臣による勧告・命令の対象に

情プラ法では、対象事業者が削除申出窓口の整備や通知、削除基準の公表、運用状況の公表などの義務に違反していると認められる場合、総務大臣が是正措置を勧告できる仕組みを設けています。

勧告を受けた事業者が正当な理由なく対応しなかった場合には、必要な措置を講じるよう命令することもできます。

この命令に違反した行為者には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。法人の業務に関する一定の違反では、法人に対して1億円以下の罰金が科される可能性もあります。

このため、新たに指定された事業者にとっては、単なる自主的なモデレーション強化ではなく、法律に基づいた運用・証跡管理が求められることになります。

情報システム・リスク管理部門への示唆

今回の追加指定は、情プラ法の対象が世界的なSNSだけでなく、国内の投稿サービス、ブログ・コンテンツプラットフォーム、掲示板型サービスへ広がっていることを示しています。

自社でUGC(ユーザー生成コンテンツ)を扱うサービスを運営する企業では、現在指定されていなくても、平均月間発信者数900万人または平均月間延べ発信者数180万人の報告基準に近づいていないかを把握しておく必要があります。

特に成長中のサービスでは、利用者規模を計測する仕組み、削除申出の受付日時を証跡として残す仕組み、7日という期限を管理するワークフロー、削除・非削除の判断理由を記録する仕組みなどを、指定後に急いで構築するのではなく事前に検討しておくことが重要です。

また、一般企業側でも、自社や従業員への誹謗中傷、なりすまし、プライバシー侵害などが発生した場合に備え、指定プラットフォームの正式な削除申出窓口を把握し、証拠保全から申出までの社内フローを整理しておくことが考えられます。

一方で、情プラ法はプラットフォームへ「不都合な投稿をすべて削除させる制度」ではありません。企業のレピュテーション管理では、権利侵害に該当する問題と、批判・評価・意見として扱うべき情報を分けて判断することが必要です。

出典