小田急電鉄、駅員が使用済み「箱根フリーパス」で不正払戻し 約1500万円を不正取得

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小田急電鉄、駅員が使用済み「箱根フリーパス」で不正払戻し 約1500万円を不正取得

小田急電鉄は2026年9月10日、同社社員が使用済みの切符を利用して不正な払戻し処理を行い、払戻金を取得していたと公表しました。同社は「収入管理に不備があった」と認めています。顧客への被害は確認されていません。

報道各社によると、不正を行ったのは新宿駅に勤務していた20代の男性社員で、2023年1月ごろから2026年8月15日までの3年半以上にわたり、使用済みの企画乗車券「箱根フリーパス」約2300枚を使って架空の払戻し処理を行い、約1500万円を不正に取得していたとされています。

発覚のきっかけは、男性社員の払戻し処理が他の係員と比べて著しく多いことへの指摘でした。外部からの不正アクセスではなく、業務上利用できる払戻しの仕組みと使用済み乗車券の管理を悪用した内部不正の事例です。

小田急電鉄の不正払戻し事案のサマリー

確認できている内容:

  • 小田急電鉄は2026年9月10日、社員による使用済み切符を利用した不正な払戻し処理を公表しました。
  • 同社は社員が払戻金を取得していた事実を認めています。
  • 小田急電鉄は「当社の収入管理に不備があり」と説明しています。
  • 本件による顧客への被害は確認されていません。
  • 報道によると、不正を行ったのは新宿駅勤務の20代男性社員です。
  • 不正は2023年1月ごろから2026年8月15日まで続き、約2300枚の使用済み「箱根フリーパス」が利用されたと報じられています。
  • 不正取得額は約1500万円と報じられています。
  • 使用済み乗車券はリサイクルのため駅で一時保管されており、男性社員はそこから券を抜き取ったと報じられています。
  • 箱根フリーパスには、悪天候などによる運休時、条件を満たせば利用できなかった乗り物分を払い戻す制度があります。報道では、この仕組みを悪用したとされています。
  • 発覚の端緒は、男性社員の払戻し処理が他の係員と比べて著しく多いことへの指摘でした。
  • 小田急電鉄は9月10日付で男性社員を懲戒解雇し、刑事告訴に向けて警視庁へ相談していると報じられています。
  • 報道によると、男性社員は取得した金を消費者金融からの借入金返済や親族への生活支援に使ったと説明しています。

現時点で確認できない内容:

  • 不正払戻しに利用した端末やシステムの具体的な権限設計
  • 1件ごとの払戻しに上司承認や二者確認が必要だったか
  • 払戻し件数や金額に対する自動アラートが設定されていたか
  • 不正が3年半以上継続した間に定期監査や照合作業が行われていたか
  • 約1500万円のうち弁済された金額
  • 刑事告訴の実施日や捜査状況
  • 小田急電鉄が実施する再発防止策の具体的なシステム要件
項目 内容
公表日 2026年9月10日
公表企業 小田急電鉄株式会社
事案 使用済み乗車券を利用した不正な払戻し処理
対象乗車券 箱根フリーパス
不正期間 2023年1月ごろ~2026年8月15日と報道
対象枚数 約2300枚と報道
不正取得額 約1500万円と報道
発覚のきっかけ 払戻し処理件数が他の係員と比べて著しく多いとの指摘
顧客への被害 小田急電鉄は確認されていないと公表
会社側の認識 「収入管理に不備があった」と公表
社員への処分 9月10日付で懲戒解雇と報道
刑事対応 刑事告訴に向け警視庁へ相談と報道
再発防止 会社は再発防止に取り組むと表明。報道では使用済み切符の管理方法を見直す方針

2023年1月ごろから3年半超、使用済み乗車券約2300枚を不正処理

小田急電鉄の公式発表は、不正の手口について「使用済みの切符を利用して不正な払戻し処理を行い、払戻金を取得していた」と説明しています。

共同通信、テレビ朝日、TBS、FNNなどの報道によると、不正を行ったのは新宿駅に勤務していた20代の男性社員です。

男性社員は2023年1月ごろから2026年8月15日まで、駅で保管されていた使用済みの「箱根フリーパス」を抜き取り、架空の払戻し処理を行っていたとされています。

処理した乗車券は約2300枚、不正に取得した金額は約1500万円に上ると報じられています。

小田急電鉄の公式発表では、対象枚数、金額、社員の年齢、勤務駅、不正期間は記載されていません。これらは報道各社が小田急電鉄への取材などをもとに報じた情報です。

箱根フリーパスの「悪天候時の払戻し」を悪用か

箱根フリーパスは、小田急線の往復乗車と、箱根登山線、箱根登山バス、箱根登山ケーブルカー、箱根ロープウェイ、箱根海賊船などの指定交通機関を組み合わせた企画乗車券です。

小田急電鉄の現行案内では、悪天候などで対象の交通機関が運休し、有効期間中にその乗り物を一度も利用していない場合、旅行終了駅で払戻しを受けられます。

テレビ朝日などは、男性社員がこの制度を悪用し、使用済みの箱根フリーパスについて架空の払戻し処理を繰り返していたと報じています。

ただし、どの交通機関の運休を装ったのか、実際の運休情報との照合をどのように回避したのか、払戻し端末でどのような操作を行ったのかといった具体的な処理手順は公表されていません。

使用済み切符はリサイクルのため保管、そこから抜き取ったと報道

テレビ朝日は、使用済みの箱根フリーパスがリサイクルのため新宿駅で一時保管されており、男性社員がそこから券を抜き取っていたと報じています。

通常、使用済みの乗車券はすでに旅行を終了した証拠でもあります。今回の事案では、その使用済み券が不正な払戻し処理に再利用できる状態になっていたことになります。

小田急電鉄は公式発表で「収入管理に不備があった」と認めています。

一方、現時点では、使用済み券の保管場所へ誰がアクセスできたのか、持ち出し記録を付けていたのか、廃棄・リサイクル前の枚数確認をしていたのか、払戻し済み券と回収券をシステム上で照合できたのかといった管理方法の詳細は公表されていません。

TBSやFNNは、小田急電鉄が使用済み切符の管理方法などを見直す方針だと報じています。

発覚のきっかけは「払戻し件数が著しく多い」という指摘

今回の事案で内部不正対策の観点から確認したいのが、発覚の経緯です。

TBSによると、2026年8月15日、男性社員について「払い戻し処理がほかの係員と比較して著しく多い」などとの報告があり、会社が調査したことで不正が発覚しました。

共同通信も、男性社員の払戻し処理が突出して多いことに他の駅員が気付いたと報じています。

つまり、不正な払戻し処理そのものがシステムによって直ちに遮断されたのではなく、担当者別の処理量の異常が人によって認識されたことが発見につながった形です。

約2300枚、約1500万円という規模になるまで3年半以上継続したとされる点からは、「操作できるか」という権限制御だけでなく、「通常と異なる使われ方をしていないか」を継続的に確認する必要性が見えてきます。

小田急電鉄は「収入管理に不備」、顧客被害は確認されず

小田急電鉄は9月10日付の公式発表で、社員が不正な払戻し処理によって払戻金を取得していた事実を認めたうえで、「当社の収入管理に不備があり」と説明しています。

個人の不正行為だけでなく、会社側の管理にも問題があったとの認識を示した形です。

一方、本件による顧客への被害は確認されていないとしています。

今回の不正は、利用者の口座やクレジットカードから不正に料金を引き落としたものではなく、会社の払戻し処理を悪用して払戻金を取得した事案として公表・報道されています。

男性社員を懲戒解雇、刑事告訴へ

報道各社によると、小田急電鉄は2026年9月10日付で男性社員を懲戒解雇しました。

共同通信は、被害金は弁済されておらず、小田急電鉄が刑事告訴する方針だと報じています。TBSやFNNは、同社が刑事告訴に向けて警視庁へ相談しているとしています。

男性社員は会社の聞き取りに対し、不正に取得した金について、消費者金融からの借入金返済や親族への生活支援に使ったと説明したと報じられています。

ただし、現時点で逮捕や起訴が公表されたわけではありません。法的な罪名や刑事責任については、今後の捜査・司法手続きと分けて扱う必要があります。

内部不正は「権限の有無」だけでは検知できない

今回のような内部不正では、外部の攻撃者によるアカウント乗っ取りとは異なり、本人が業務上利用できるシステムや物理的な資産を悪用するケースがあります。

その場合、IDとパスワードが正しい、操作権限が付与されているというだけでは、不正か通常業務かを判定できません。

IPAの「組織における内部不正防止ガイドライン」は、内部不正の早期発見のため、ログや証跡を記録・保存し、通常業務と異なる事象を定期的に確認する考え方を示しています。

同ガイドラインでは、アクセス数や量に基づく通知システムについて、基準値が高すぎれば必要な通知を逃し、低すぎれば通知過多になるため、実際の運用状況に合わせて基準値を設定し、見直すよう示しています。

今回の事案に置き換えると、情報アクセスだけでなく、払戻し、取消、値引き、現金出金、手動訂正など、金銭に関係する例外処理についても同じ考え方を応用できます。

情報システム部門・内部監査部門が確認したいポイント

今回の事案は鉄道会社の駅業務で発生しましたが、返金、返品、値引き、取消、ポイント付与、経費精算などを扱う企業にも共通する管理課題があります。

まず確認したいのは、担当者単位で例外処理の件数と金額を確認できるかです。月単位・週単位で、払戻し件数、払戻し総額、1件当たりの金額、同じ担当者による連続処理、同じ商品・サービスへの偏り、同僚や同一店舗の平均値との差を比較できれば、通常業務から外れた処理を早期に見つけやすくなります。

次に、現物とシステム処理の照合です。今回の事案では使用済みの紙券が不正処理に再利用されたと報じられています。紙券、商品券、金券、返品商品、廃棄品など、システム外に存在する物理資産については、保管、持ち出し、廃棄の各段階で記録と照合ができるかを確認します。

金銭を伴う例外処理は、担当者1人で申請から現金取得まで完結できるかも確認対象です。一定額以上の払戻しや通常と異なる処理について、別担当者の承認を必要とする、日次で管理者が確認するなど、職務分掌を設定します。

ログは「残している」だけでは発見につながりません。担当者別の件数や金額を集計し、異常値をレビューする担当部署と頻度を決めます。自動アラートを導入する場合も、実際の業務量に合わせて閾値を調整し、通知が埋もれないようにします。

また、内部通報や同僚からの報告を受けた場合に、誰が調査を開始し、操作ログ、現物、監視カメラ、売上・現金記録などを保全するかも事前に決めておく必要があります。

内部不正に関する国内の事例は「内部不正のニュース」でも整理しています。

今回、小田急電鉄は収入管理の不備を認めていますが、具体的な再発防止策は公式発表では明らかにしていません。今後は、使用済み券の管理方法、払戻し時の承認フロー、担当者別の異常検知、定期監査などをどのように見直すかが確認ポイントになります。

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