アクサ生命保険、顧客情報を持ち出した元従業員が不正競争防止法違反容疑で逮捕

セキュリティニュース

投稿日時: 更新日時:

アクサ生命保険、顧客情報を持ち出した元従業員が不正競争防止法違反容疑で逮捕

アクサ生命保険株式会社は2026年7月16日、2025年9月25日に公表していた元従業員による顧客情報漏えい事案について、警察への被害相談・捜査協力の結果、当該元従業員が不正競争防止法違反の容疑で兵庫県警察に逮捕されたと公表しました。同社は2025年9月の公表以降、本件に伴う二次被害の発生は確認されていないとしています。

サマリー

  • アクサ生命保険は2025年9月25日、元従業員(退職済み)が社外秘の顧客情報を無断で持ち出し、保険募集代理店に勤務する元同僚に漏えいしたことが判明したと公表していた
  • 当時の公表によれば、情報を持ち出した元従業員(2024年8月退職)から、保険募集代理店に転職した別の元従業員(2024年6月退職)へ情報が渡り、この元従業員は2025年1月、勤務先の保険募集代理店で当該顧客情報の一部を使用して保険募集活動を行っていたことが調査で判明していた。漏えいした情報は、契約者の氏名・生年月日・性別、保険金受取人の氏名、契約内容(保険商品名・保険料・払込状況等)
  • 発覚のきっかけは2025年7月23日、漏えい被害の対象となった顧客からの、同社ホームページの問い合わせフォームを通じた連絡だった
  • アクサ生命は今回、2026年7月16日付で、警察に被害相談を行い捜査に協力してきた結果、顧客情報を持ち出した当該元従業員が不正競争防止法違反の容疑で兵庫県警察に逮捕されたと公表した
  • 同社は、2025年9月の公表以降も本件個人情報流出に伴う二次被害の発生は確認されていないとしている
  • アクサ生命は、今後も顧客の個人情報の持ち出しおよび第三者による不正な使用等の犯罪行為には厳正に対処するとし、今回の事態を重く受け止め、より一層の管理体制の強化に努めるとしている
項目 内容
逮捕公表日 2026年7月16日
当初の漏えい公表日 2025年9月25日
逮捕容疑 不正競争防止法違反
逮捕した警察 兵庫県警察
情報を持ち出した元従業員 2024年8月退職
情報を受け取り使用した元従業員 2024年6月退職、保険募集代理店に転職
漏えいした情報 契約者氏名・生年月日・性別、保険金受取人氏名、契約内容(商品名・保険料・払込状況等)
発覚のきっかけ 2025年7月23日、被害顧客からの問い合わせフォーム経由の連絡
情報の悪用状況 2025年1月、勤務先の保険募集代理店で保険募集活動に一部使用
二次被害の有無 2025年9月の公表以降、確認されていない

何が起きたか-2025年9月の公表内容

アクサ生命保険は2025年9月25日、元従業員による顧客情報漏えいについて公表していました。

同社の説明によれば、2024年8月に退職した元従業員が、在籍中に社外秘である顧客情報を無断で持ち出し、2024年6月に退職し保険募集代理店に勤務していた別の元同僚へ漏えいしていたことが判明しました。この情報を受け取った元従業員は、2025年1月、勤務先の保険募集代理店において、当該顧客情報の一部を使用して保険募集活動を行っていたことが、当時の調査で明らかになっています。

発覚のきっかけは2025年7月23日、漏えい被害の対象となった顧客が、同社ホームページの問い合わせフォームを通じて連絡したことでした。漏えいした情報は、契約者の氏名・生年月日・性別、保険金受取人の氏名、契約内容(保険商品名・保険料・払込状況等)です。同社は当時、個人情報が漏えいした可能性がある顧客へ個別に連絡するとともに、速やかに行政へ本件を報告したとしていました。

元従業員の逮捕-刑事事件としての進展

アクサ生命保険は2026年7月16日、この事案について警察に被害相談を行い捜査に協力してきた結果、顧客情報を持ち出した当該元従業員が、不正競争防止法違反の容疑で兵庫県警察に逮捕されたと公表しました。不正競争防止法は、営業秘密の不正な取得・使用・開示等を規制する法律で、企業が保有する機密情報や顧客データの不正な持ち出し・利用行為が刑事罰の対象となりうる根拠法の一つです。

同社は、2025年9月の公表以降も、本件個人情報流出に伴う二次被害の発生は確認されていないとしています。あらためて該当する顧客に対し、多大な迷惑と心配をかけたことを陳謝するとともに、今後も顧客の個人情報の持ち出しおよび第三者による不正な使用等の犯罪行為には厳正に対処していく方針を示しています。同社は今回の事態を重く受け止め、同様の事案を起こさないよう、より一層の管理体制の強化に努めるとしています。

保険業界で相次ぐ元従業員による顧客情報持ち出し

当サイトで以前紹介したプルデンシャル生命保険の元社員による顧客リスト持ち出し事案では、元社員が退職前に他の従業員のID・パスワードを使って3万7,000件以上のファイルをダウンロードし、転職先の保険代理店で顧客リストを不正に営業活動へ利用していたとして、本人と転職先の支店長がともに逮捕されています。今回のアクサ生命の事案も、退職した元従業員が在籍中に持ち出した顧客情報を、転職先の保険募集代理店で営業活動に利用していたという点で、極めて似た構造を持っています。

保険業界では、営業職員が顧客との個人的な信頼関係を通じて長期的に情報を保有・管理する業務形態が一般的であるため、退職・転職に伴う顧客情報の不正な持ち出しリスクが、他業種と比べても構造的に生じやすい傾向があります。

情報システム部門への示唆

今回の事案は、退職者による顧客情報の持ち出しが、単なる社内規程違反にとどまらず、不正競争防止法違反という刑事事件にまで発展しうることを改めて示す事例です。自組織で顧客情報・営業秘密を扱う従業員が多い場合、退職時のアクセス権限の即時無効化、貸与端末・記憶媒体の返却確認、そして在職中から顧客情報のダウンロード・外部送信ログを監視する体制の整備が、こうした持ち出しの抑止・早期発見において重要です。

あわせて、今回の事案が示すように、被害の発覚は必ずしも自社の内部監査によるものとは限らず、被害を受けた顧客本人からの通報がきっかけになるケースも少なくありません。顧客からの問い合わせ・相談を受け付ける窓口において、個人情報の不審な利用に関する連絡が寄せられた際に、速やかに社内で調査を開始できる報告・エスカレーションのフローを整備しておくことも、被害の早期把握につながります。転職先が同業他社・関連する代理店等である場合には、情報の悪用が業界内で連鎖的に広がるリスクも踏まえ、業界団体を通じた情報共有や、転職者の受け入れ先における顧客情報の出所確認といった、業界横断的な対策の検討も有効です。

出典