
2025年6月27日、カナダ政府は国家安全保障審査の結果、中国の監視カメラメーカーのカナダ法人、Hikvision Canada Inc.に対して国内でのすべての業務を停止し、カナダ事業を閉鎖するよう命じました。これは、Investment Canada Act(投資カナダ法)に基づく措置であり、Hikvisionのカナダ国内での活動が「カナダの国家安全保障にとって有害である」と判断されたことによるものです。
背景と発表の詳細
カナダ政府は今回の決定について、「カナダの安全保障および情報機関から提供された情報と証拠に基づき、多段階の審査を経て判断した」と説明しています。ただし、審査結果の具体的な内容や証拠については公開されていません。
カナダのイノベーション・科学・産業大臣であるMélanie Joly氏は、声明にて「今回の決定は、国家安全保障上の懸念に対処するために必要な措置である」と述べ、Hikvision製品の今後の使用についても注意喚起しました。政府関係機関に対しては、Hikvision製品の購入・使用を禁止し、既存の資産についても継続的に見直しを行うとしています。
「カナダ政府は外国投資を歓迎しますが、国家安全保障を犠牲にすることは決してありません。」
なお、この措置はカナダ国内のHikvision Canadaに限定されたものであり、同社の海外関連企業には適用されません。
しかし、政府は「すべてのカナダ国民に、この決定を考慮した上で、自らの判断で行動することを強く推奨する」としています。
Hikvisionの反応:「根拠なき政治的判断」
これに対して、Hikvisionは同日、「カナダ政府の決定に強く反対する」との声明を発表しました。声明では、今回の命令について「事実に基づかず、手続き的正義や透明性を欠いたものである」と厳しく批判。さらに、「カナダ政府は当社の技術的評価ではなく、親会社の出身国に基づく偏見により決定を下した」と述べ、政治的背景の影響を示唆しました。
Hikvisionは2014年の設立以来、カナダ国内で監視カメラ、AI搭載のIoTセキュリティ製品、ビル管理システムなどを展開してきた企業であり、「地域社会の安全を守るために法令を遵守し、質の高い製品を提供してきた」と強調しています。
また、審査過程においては「求められた情報を速やかに提供し、積極的に協力した」としながらも、「政府側は最終的に具体的な証拠を提示することなく結論を下した」と不満を表明しています。