Check Point VPNにCVSS 9.8の脆弱性 2件 オランダNCSCが早期悪用を警告(CVE-2026-85102/CVE-2026-85103)

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Check Point VPNにCVSS 9.8の脆弱性 2件 オランダNCSCが早期悪用を警告(CVE-2026-85102/CVE-2026-85103)

Check PointのVPN関連機能に、認証なしで任意コード実行につながる可能性がある2件の重大な脆弱性が公表されました。

対象はCVE-2026-85102とCVE-2026-85103です。いずれもCVSS v3.1は9.8で、Check Pointが2026年9月9日に修正を公開しました。

オランダのNational Cyber Security Centre(NCSC-NL)は9月10日、両脆弱性について悪用可能性と潜在的な被害を「高い」と評価し、「近く悪用試行が発生すると予想する」と注意喚起しました。

一方、Check Pointは9月10日以降の公式コミュニティ投稿で、両脆弱性は社内で発見されたものであり、実際の攻撃で悪用された兆候は確認していないと説明しています。

9月14日時点で公開PoCはNCSCが確認しておらず、CISA Known Exploited Vulnerabilities(KEV)Catalogへの掲載も確認できませんでした。

そのため現時点では「実悪用が確認された脆弱性」ではありません。ただし、認証不要・ネットワーク越し・任意コード実行という条件がそろっているため、VPNをインターネットへ公開している環境では定例パッチを待たずに更新を進める必要があります。

Check Point VPN脆弱性のサマリー

確認できている内容:

  • Check Pointは2026年9月9日、CVE-2026-85102とCVE-2026-85103を公表しました。
  • 2件ともCVSS v3.1は9.8(Critical)です。
  • いずれも認証なしのリモート攻撃者による任意コード実行につながる可能性があります。
  • CVE-2026-85102はVPNネゴシエーション時の証明書信頼検証の不備です。
  • CVE-2026-85103はVPN証明書のASN.1デコード処理におけるヒープベースバッファオーバーフローです。
  • CVE-2026-85102はQuantum Security Gatewayに影響します。
  • CVE-2026-85103はQuantum Security GatewayとQuantum Security Managementに影響します。
  • Check PointはR81.20、R82、R82.10向けのJumbo HotfixとLive Patchを提供しています。
  • R81.20ではJumbo Hotfix Take 166、R82ではTake 126、R82.10ではTake 44で修正されています。
  • Check Point Live Patchの保護は9月9日から展開されています。
  • オランダNCSCは悪用可能性と影響を高く評価し、早期の悪用試行を予想しています。
  • Check Pointは9月10日以降、実悪用を示す兆候はないとしています。
  • NCSCは9月10日時点で公開PoCは報告されていないとしています。
  • 9月14日時点でCISA KEV掲載は確認できませんでした。
項目 CVE-2026-85102 CVE-2026-85103
深刻度 Critical Critical
CVSS v3.1 9.8 9.8
CWE CWE-295 CWE-122
攻撃条件 ネットワーク、認証不要 ネットワーク、認証不要
主な問題 VPNネゴシエーション時の証明書検証不備 VPN証明書ASN.1デコード時のヒープオーバーフロー
主な影響 Quantum Security Gateway上で任意コード実行 Quantum Security Gateway / Security Management上で任意コード実行
実悪用 9月14日時点で確認されず 9月14日時点で確認されず
公開PoC NCSCは9月10日時点で未確認 NCSCは9月10日時点で未確認
CISA KEV 9月14日時点で未掲載 9月14日時点で未掲載

CVE-2026-85102はVPN証明書の信頼検証不備

CVE-2026-85102は、Check Point Quantum Security GatewayにおけるVPNネゴシエーション時の証明書検証に関する脆弱性です。

Check Point CNAが公開したCVE情報では、「Improper Certificate Validation in Quantum Security Gateway」とされています。

不適切な証明書信頼検証により、認証されていないリモート攻撃者がSecurity Gateway上で任意コードを実行できる可能性があります。

CVEレコードで示されているCVSSベクトルは次のとおりです。

CVSS:3.1/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H

つまり、

  • ネットワーク越しに攻撃可能
  • 攻撃複雑度はLow
  • 認証不要
  • ユーザー操作不要
  • 機密性・完全性・可用性への影響がHigh

という条件です。

CVE-2026-85103はASN.1デコード処理のヒープオーバーフロー

CVE-2026-85103は、VPN証明書のASN.1デコード処理に存在するヒープベースのバッファオーバーフローです。

Check PointのCVE情報では、認証されていないリモート攻撃者が、

  • Quantum Security Gateway
  • Quantum Security Management

で任意コードを実行できる可能性があると説明されています。

CWEはCWE-122です。

CVSSベクトルはCVE-2026-85102と同じく、

CVSS:3.1/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H

で、スコアは9.8です。

CVE-2026-85103はSecurity GatewayだけでなくSecurity Managementも影響対象に含まれる点を確認する必要があります。

影響バージョン

Check PointがCNAとして登録したCVE情報では、次のバージョンが影響対象として示されています。

CVE-2026-85102

Quantum Security Gateway:

  • R82.10 with Jumbo Hotfix Take 43 or below
  • R82 with Jumbo Hotfix Take 125 or below
  • R81.20 with Jumbo Hotfix Take 165 or below

CVE-2026-85103

Quantum Security GatewayおよびQuantum Security Management:

  • R82.10 with Jumbo Hotfix Take 43 or below
  • R82 with Jumbo Hotfix Take 125 or below
  • R81.20 with Jumbo Hotfix Take 165 or below

Check PointのJumbo Hotfix公式ドキュメントでは、次のTakeで両脆弱性の修正が確認できます。

系列 修正版
R81.20 Jumbo Hotfix Take 166
R82 Jumbo Hotfix Take 126
R82.10 Jumbo Hotfix Take 44

BleepingComputerはCheck Point情報を基に、R82.20は影響を受けないと報じています。

ただし、実際の運用環境ではCheck Pointのアドバイザリと現在のTakeを直接照合してください。

Live Patchによる修正も提供

Check Pointは、R81.20、R82、R82.10向けにCheck Point Live Patch(CPLP)での保護を展開しています。

公式コミュニティでは、9月9日からLive Patchのロールアウトを開始したと案内しています。

Live Patchを利用することで、対象構成では再起動やクラスターフェイルオーバーなしで保護を適用できます。

一方、

  • Live Patchが有効か
  • 対象プロセスへ適用済みか
  • 利用している構成がLive Patch対象か

は確認が必要です。

「自動配布されるから対応不要」と判断せず、Check Pointが示す確認手順で適用状態を検証する必要があります。

オランダNCSCは「悪用試行が近く発生」と評価

オランダNCSCは2026年9月10日、両脆弱性について緊急の注意喚起を公表しました。

NCSCは、

  • 悪用される可能性
  • 悪用された場合の潜在的な被害

の双方を高く評価しています。

そのうえで、短期間のうちに悪用試行が発生すると予想し、できるだけ早く修正を適用するよう求めています。

NCSCによると、悪用された場合には、

  • システムの掌握
  • 機密情報の閲覧
  • 情報の改ざん
  • システム運用の妨害

につながる可能性があります。

ただし、「悪用が予想される」と「悪用が確認された」は別です。

Check Pointは実悪用を確認していない

Check Pointは公式コミュニティで、両脆弱性について、

  • 社内で発見した
  • 実際の攻撃で悪用された兆候はない

と説明しています。

したがって9月14日時点では、

「CVE-2026-85102/85103が攻撃に悪用されている」

とは表現できません。

オランダNCSCの警告は「早期に悪用される可能性が高い」という将来リスク評価です。

公開PoCは9月10日時点で未確認

NCSCは9月10日時点で、公開されたProof of Concept(PoC)やexploit codeは報告されていないとしています。

ただし、公開PoCがなくても脆弱性が悪用されないとは限りません。

とくに、

  • CVSS 9.8
  • 認証不要
  • インターネット境界のVPN製品
  • 任意コード実行

という条件では、攻撃者が独自に解析して攻撃コードを作成する可能性があります。

Site-to-Site VPNではアクセス制限も推奨

オランダNCSCは、Site-to-Site VPNを利用する組織に対し、アップデートに加えてVPNルールの見直しも推奨しています。

具体的には、

  • implied rulesの無効化
  • VPNアクセス元を特定の信頼済みIPアドレスへ限定

といった対策を挙げています。

これはパッチの代替ではありません。

攻撃面を減らすための追加対策として扱います。

境界VPNの脆弱性は公開直後から狙われることがある

VPNやファイアウォールなどの境界機器は、インターネットから直接到達できることが多く、重大脆弱性の公開後に短期間で攻撃対象になるケースがあります。

Check Pointでは2026年6月、別のVPN脆弱性CVE-2026-50751について実悪用を確認しました。

CVE-2026-50751は非推奨のIKEv1を利用するRemote Access VPN/Mobile Accessにおける認証回避脆弱性で、今回のCVE-2026-85102/85103とは別問題です。

関連記事:Check Point VPNの認証回避脆弱性、サイバー攻撃への悪用確認(CVE-2026-50751)

同事例では、少なくとも1件でQilinランサムウェアのアフィリエイトに関連する侵害後活動が確認されました。

この過去事例を根拠に、今回の2件がQilinやランサムウェアに使われていると判断することはできません。

情報システム部門が確認したい対応

Check Point VPNを利用している組織では、次の順で確認できます。

  1. Quantum Security Gateway/Security Managementの利用有無を確認する
  2. R81.20、R82、R82.10の現在のJumbo Hotfix Takeを確認する
  3. 影響Takeなら修正版へ更新する
  4. Live Patch利用環境ではCVE-2026-85102/85103の適用状態を確認する
  5. Security ManagementもCVE-2026-85103の対象として確認する
  6. Site-to-Site VPNの公開範囲と接続元制限を見直す
  7. インターネットへ公開されているVPNゲートウェイを優先して対応する
  8. 不審なVPN接続・管理操作・設定変更を監視する
  9. Check Pointの公式アドバイザリを継続確認する
  10. CISA KEVや各国CERTの更新を確認する

修正後もログ監視を続ける

現時点で実悪用は確認されていませんが、NCSCが早期悪用を予想しているため、パッチ適用後もしばらくは関連ログを監視する方が安全です。

確認対象としては、

  • 通常と異なる送信元からのVPNアクセス
  • 認証前後の異常終了
  • Security Gateway上の予期しないプロセス
  • 管理設定の変更
  • 新規管理者アカウント
  • Security Gatewayから内部ネットワークへの異常通信
  • VPN後の不自然な横展開

などがあります。

現時点では公式IOCは公表されていません。

IOCの有無だけでなく、平常時と異なる挙動を確認する必要があります。

出典