中国製EVは「遠隔で無効化・爆発も?」豪当局者が警鐘

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中国製EVは「遠隔で無効化・爆発も?」豪当局者が警鐘

オーストラリア国内でサイバー脅威への警戒感が一段と高まっています。

国防軍でサイバー・宇宙作戦を統括するスーザン・コイル中将は、「我々はすでにサイバー領域での衝突のさなかにあります」と述べ、軍の任務システムや兵器プラットフォーム、産業界とのサプライチェーンを狙う侵入試行が日常化していると警告しました。

軍の危機感:「サイバーを外せば艦は出ず、機は飛ばず、ミサイルは外れる」

コイル中将は講演で、サイバー領域の攻撃が国家の基本的機能を止めうる現実を強調しました。燃料供給、送配電、通信網、医療システムなど、ほぼすべてがサイバーに依存しており、国防装備も例外ではないと指摘します。「サイバー領域をきちんと押さえなければ、我々の艦艇は出航できず、航空機は飛び立てず、ミサイルも目標を外すでしょう」と危機感を示しました。

同氏はまた、AIの進展が攻撃側の裾野を広げているとし、「エラーの少ない攻撃コードの生成など、これまで想定しづらかった能力をAIが与えつつあります」と説明。一方で「相手が持つものは我々も持ちうる」と述べ、AIの防御活用も加速させる考えを示しました。

「5G排除」から7年、EVなど“接続機器”が新たな前線に

マクギボン氏は、2018年に高リスクベンダーの5G網からの排除を決めた国家安全保障委の判断を引き、

現在は「中国で製造されたのではなく、中国により制御されうる」膨大な接続デバイスが社会インフラに入り込んでいると懸念を表明しました。なかでも近年急増する中国製EVについて、マイクやカメラ、テレマティクス、OTA(無線)アップデートなどの機能を通じて常時・広範にデータを収集し得る点を問題視。

「公務員は乗車を控えるべきだ」と強い表現で訴えました。

同氏は、あくまで“可能性の議論”と断りつつ、製造元の意図もしくは乗っ取りにより安全機能が無効化され、家庭用蓄電池やEVの過充電、特定都市のピーク時に走行性能を劣化させる、あるいは車両自体を遠隔停止させるといった、社会的混乱を狙ったシナリオを提示。国家が支援する攻撃者にとって「接続車両」は魅力的な攻撃面になりうると主張しました。

実運用の課題:監査の未整備とAUKUSサプライチェーンの標的化

豪監査院は2024年、国防省が自らのサイバー規程に反し、ITシステムの認可が長期間未了のケースがあるなど管理の不備を厳しく指摘しました。登録済みシステムのうち約半数で認可が失効または未取得という実態も明らかにされ、基礎的なガバナンスの立て直しが急務です。

オーストラリア信号局(ASD)のアビゲイル・ブラッドショー長官は、英米豪のAUKUS枠組みで進む知財連携が、逆にサプライチェーン全体を標的として魅力的にしているとし、「取引的ではなく戦略的なパートナーシップ」で関与企業の耐性強化を進めていると説明しました。

何が言えるのか:警鐘としての“最悪シナリオ”と、実務的対応

今回の議論は、直ちに「中国製EVが危険」という断定につながるものではありません。オーストラリア当局者・専門家の発言は、国家安全保障の観点から最悪の事態を想定して備えるべきだという警鐘です。実際にバックドアや遠隔爆発の仕掛けが確認されたという話ではなく、設計上・運用上の脆弱性が悪用されれば、社会インフラ級の障害に発展し得るという“リスクベースの評価”に立った問題提起だと言えます。

そのうえで、政策・調達・技術の三層で現実的な対策を積み上げる必要があります。

  • 政策・調達では、5G同様のリスク評価フレーム(由来国だけでなくサプライチェーン、アップデート経路、運用形態を含む)を車両・蓄電池・充電網にも適用し、認証・監査基準を明確化します。高リスク機能(遠隔停止、OTA権限、テレメトリの外部送信など)には追加の許認可や利用制限を課し、政府・重要インフラ向け導入にはゾーン分割機能限定モデルを条件化する選択肢があります。

  • 技術要件としては、ファームウェアの署名検証とロールバック保護、安全機能(BMS等)のフェイルセーフ独立実装、テレマティクスのデータ最小化国内保管、車載ネットワークのゼロトラスト化(ゲートウェイでの厳格なフィルタリング)などが挙げられます。OTAの鍵管理はHSM等で分離し、メーカー権限の“万能化”を避ける設計が重要です。

  • 運用面では、公的車両や重要業務の乗務では多様なベンダー構成を保ち、特定メーカー・特定国へ過度に依存しない体制を維持します。また、ソフトウェア部品表(SBOM)の提出・更新を義務化し、脆弱性対応のSLOを契約に組み込みます。充電網や家庭用蓄電池についても、過充電・過熱制御のハードウェア的独立保護と遠隔無効化の多要素承認を標準化することが有効です。

出典

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