消費者庁、サブスクの「解約妨害」禁止を中間取りまとめ案に 虚偽説明・解約拒否・不当遅延などを規制へ

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消費者庁、サブスクの「解約妨害」禁止を中間取りまとめ案に 虚偽説明・解約拒否・不当遅延などを規制へ

消費者庁の「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」は2026年8月31日、サブスクリプションサービスや定期購入など継続的な消費者契約について、不当な「解約妨害」を禁止する規律を盛り込んだ中間取りまとめ案を議論しました。

案では、消費者が解約するかどうかの判断に通常影響する事項について事実と異なる説明をする行為、将来の不確実な事項について断定的な判断を示す行為、解約申入れの拒否や不当な遅延、消費者を欺く行為や威迫して困惑させる行為などを、禁止対象の例として挙げています。

また、解約妨害の禁止については、適格消費者団体による差止請求制度を活用し、事業者に禁止行為の差止めを請求できる仕組みも検討されています。

共同通信は8月31日、消費者庁が早ければ2027年の通常国会への関連法案提出を目指すと報じています。ただし、消費者庁が8月31日に公表した中間取りまとめ案には、法案の具体的な提出時期は記載されていません。

サブスク解約妨害規制のサマリー

  • 消費者庁の検討会は2026年8月31日、消費者契約法の中間取りまとめ案を議論しました。
  • サブスクリプションや定期購入など継続的な消費者契約を対象とする新たな一般規律が検討されています。
  • 中間取りまとめ案は「健全な商慣習に照らし不当に消費者の解約を妨げる行為・環境設計」の禁止を盛り込みました。
  • 禁止対象として、解約判断に影響する事項についての不実告知が例示されています。
  • 将来の変動が不確実な事項について断定的な判断を示す行為も対象案です。
  • 解約申入れを拒否したり、不当に手続きを遅延させたりする行為も規制対象として検討されています。
  • 消費者を欺く行為や、威迫して困惑させる行為も禁止対象案に含まれます。
  • 事業者には、契約時と同等の方法を含む合理的な解約方法を提供する努力義務を設ける案があります。
  • 解約条件、連絡先、方法などの情報提供についても努力義務を整備する方向です。
  • 自動更新では、更新拒否の機会を確保するための事前通知を事業者の努力義務とする案が示されています。
  • 契約内容の重要事項を不利益に変更する場合、消費者への事前通知を義務付ける案も盛り込まれています。
  • 解約妨害の禁止については、適格消費者団体による差止請求の対象とする方向が示されています。
  • 現時点では中間取りまとめ案の段階であり、法改正の内容や施行時期は確定していません。
  • 共同通信は、早ければ2027年の通常国会への関連法案提出を目指すと報じています。
項目 内容
検討主体 消費者庁「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」
開催日 2026年8月31日
対象 サブスクリプション、定期購入など継続的な消費者契約
主な規制案 解約妨害の禁止
禁止行為の例 不実告知、断定的判断、退去妨害、不退去、解約申入れの拒否・不当遅延、欺罔・威迫など
解約方法 合理的な離脱方法を提供する努力義務を検討
情報提供 解約条件、連絡先、方法などを提供する努力義務を検討
自動更新 更新拒否の機会を確保する事前通知の努力義務を検討
契約変更 重要事項の変更時に事前通知を義務付ける案
差止請求 適格消費者団体による解約妨害の差止請求を可能にする案
法案提出 共同通信は早ければ2027年通常国会と報道。一次資料には具体時期の記載なし
現在の段階 中間取りまとめ案。法改正は未確定

サブスク普及で「契約後」のトラブルを新たに規律

今回の検討は、従来の消費者契約法が主に「契約を結ぶまで」の不当勧誘や、不当な契約条項を中心に規律してきたことを見直すものです。

消費者庁の資料では、サブスクリプションサービスをはじめとする継続的な契約が普及し、契約の履行、継続、終了の各段階でもトラブルが発生していると指摘しています。特に解約場面では、消費者が解約権を持っていても、手続きが妨害される、解約方法が分からない、手続きそのものに大きな負担がかかるといった問題があります。

「重要事項についてうそをつく」行為を解約妨害として禁止へ

7月2日の検討会資料では、解約妨害として禁止する行為の具体例が示されています。

その一つが、「消費者が解約をするかどうかについての判断に通常影響を及ぼす事項についての不実告知」です。

このほか、将来における変動が不確実な事項についての断定的判断、解約申入れの拒否・不当遅延、退去妨害、不退去、消費者を欺く行為や威迫して困惑させる行為などが例示されています。

具体的な禁止行為の一部は、下位法令で定めることも想定されています。

UIによる解約妨害も「環境設計」として対象になり得る

中間取りまとめ案は、担当者による説明や対応だけでなく、「健全な商慣習に照らし不当に消費者の解約を妨げる行為・環境設計」を対象として想定しています。

そのため、Webサイトやアプリで解約ボタンを見つけにくくする、解約手続きを不必要に複雑化するなど、いわゆる「解約ダークパターン」も今後の制度設計次第で対象になり得ます。

セキュリティ対策Labでは、別の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」が進めるダークパターン規制について「消費者庁、ダークパターンの包括規制を検討 特商法改正の中間取りまとめ案、米国・英国と比較」で整理しています。

「契約はオンライン、解約は電話だけ」の見直しにも影響

中間取りまとめ案では、事業者が消費者に「合理的な離脱方法」を提供するよう努める規定も提案されています。

消費者庁は、解約方法が契約締結時と同じ方法である場合や、契約時と同じ方法を含む複数の解約方法が用意されている場合、多くのケースで合理的と考えられるとしています。

ただし、この部分は現時点では一律の義務ではなく努力義務として整理されています。

解約条件・連絡先・方法の情報提供も努力義務へ

中間取りまとめ案では、解約条件、連絡先、方法などについて、事業者が情報を提供するよう努める規定を整備する方向も示されています。

現行の消費者契約法にも、契約締結時の必要な情報提供や、消費者から求められた場合の解除権行使に必要な情報提供について努力義務があります。今回の案では、継続的な契約の特性を踏まえ、解約に必要な情報へアクセスしやすくする方向です。

自動更新では事前通知の努力義務を検討

自動更新型の契約では、消費者が更新しない旨を申し出る機会を確保するため、事前通知の努力義務を設ける案が示されています。

通知事項としては、更新方法や条件、解約料、追加負担なく解約を申し出られる期間、更新後の契約期間などが想定されています。

一方、契約ごとに更新頻度や内容が異なることや「通知疲れ」への懸念から、一律の通知義務ではなく努力義務とする案です。

料金値上げなど重要事項の変更は事前通知を義務化へ

より強い規律が検討されているのが、契約途中で重要事項を変更する場合です。

消費者庁は、料金の値上げや基本的なサービス内容の変更など、消費者が契約を継続するかどうかの判断に通常影響する事項について、一方的な定型約款の変更を行う場合には個別通知を義務付ける案を示しています。

通知内容としては、変更後の契約内容、変更の効力発生日、変更前に解約できる期間・条件・方法などが想定されています。

適格消費者団体による差止請求も検討

解約妨害の禁止を実効的にする手段として、適格消費者団体による差止請求制度の活用も提案されています。

個々の消費者がその都度争うだけでなく、適格消費者団体が事業者に禁止行為の差止めを求められる仕組みです。

ただし、具体的な請求要件や法的効果は今後の法制化過程で変わる可能性があります。

サブスク相談件数は2024年度1万5752件

消費者庁の7月2日の資料では、PIO-NETに登録された「サブスクリプション」に関する消費生活相談件数が増加していることも示されています。

相談件数は2021年度7,461件、2022年度9,924件、2023年度12,534件、2024年度15,752件でした。

セキュリティ対策Labでも、国民生活センターが2026年8月に注意喚起したファッションレンタルサービスの解約トラブルを「国民生活センター、ファッションレンタル「Rcawaii」に注意喚起 解約後も請求が続く相談」で取り上げています。

2027年通常国会への法案提出は共同通信報道

共同通信は8月31日、消費者庁が早ければ2027年の通常国会への関連法案提出を目指すと報じています。

一方、8月31日に消費者庁が公表した第8回検討会資料は「中間取りまとめ案」であり、具体的な法案提出時期は記載されていません。

現時点では「2027年通常国会への提出が決定した」とするのではなく、共同通信報道として区別する必要があります。

Web・サービス運営部門への示唆

今回の規制案は、法務部門だけでなく、Webサービスの企画、UI/UX、カスタマーサポート、情報システム部門にも影響します。

まず、契約フローと解約フローを並べて棚卸しする必要があります。オンラインで契約できるにもかかわらず、解約だけ電話や郵送に限定していないか、不要な画面遷移や引き止めを何度も挟んでいないかを確認します。

次に、解約時の説明内容を統一します。解約条件、解約料、更新日、利用可能期間について事実と異なる説明が行われないよう、FAQ、CRM、オペレーター向けスクリプトの内容を一致させることが重要です。

また、解約申入れを受け付けた日時と処理状況を記録し、利用者へ受付完了を通知できる仕組みも必要です。

自動更新や料金変更については、通知時期、変更内容、解約可能期間をシステム上で管理し、送信履歴を監査可能にしておくことが望まれます。

さらに、UI変更のレビューには法務・コンプライアンスの視点を加える必要があります。解約ボタンの視認性を下げる、契約継続を選ぶボタンだけを強調するなどの設計は、今後「環境設計による解約妨害」と評価される可能性があります。

出典