セキュリティ調査を専門とする非営利団体「The Shadowserver Foundation」は2026年3月、日次のインターネットスキャンにおいて、サポートが終了(End-of-Life:EOL)したMicrosoft IIS(Internet Information Services)が世界で51.1万台以上稼働していると報告しました。
さらに深刻なことに、そのうち22.7万台超はMicrosoftの「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」の提供期間すらも超過した状態にあります。時代遅れのIISを最も多く稼働させている上位国は中国と米国ですが、アジア圏に位置する日本も決して無関係ではありません。
目次
シャドーサーバーの報告:2つの警告タグと実態
今回の発信は、特定の侵害事案の公表ではなく、インターネット上に「攻撃者から見て到達可能な公開資産」が相当数放置されていることを示す警告です。
Shadowserverは、自組織が提供する「Vulnerable HTTP Report(脆弱なHTTPレポート)」において、古いIISを明確に可視化するため、新たに以下の2つのタグを追加してネットワーク管理者に通知を開始しました。
| タグ名 | 状態 | 意味と該当する稼働台数 |
eol-iis |
EOL (End of Life) |
Microsoftの通常サポートが終了したIISインスタンス
(世界で51.1万台超) |
eos-iis |
EOS (End of Support) |
延長セキュリティ更新(ESU)の猶予期間も終了し、公式パッチが一切提供されないIISインスタンス
(世界で22.7万台超) |
EOLとEOSの違い──IISのレガシー化は「OSのレガシー化」
Microsoft Learnの公式ドキュメントが示す通り、IISはWindows OSの組み込みコンポーネントであり、Windows Server本体と同じライフサイクルで管理されます。つまり、「Webサーバー(IIS)の更改遅れ=OS自体の更改遅れ」を意味します。
過去の主要なIISとWindows Serverのサポート終了時期は以下の通りです。
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IIS 8.5 / 8.0(Windows Server 2012 / 2012 R2):2023年10月10日終了
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IIS 7.5 / 7.0(Windows Server 2008 / 2008 R2):2020年1月14日終了
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IIS 6.0(Windows Server 2003):2015年7月14日終了
一部の製品では最大3年間のESU(有償の延長サポート)が利用可能ですが、eos-iisのタグがつく22.7万台のサーバーは、このESUの期間すらも完全に超過しています。
認証基盤、アプリケーション、TLS設定、周辺ミドルウェアに至るまで、サーバー全体が極めて脆弱な「完全なレガシー状態」でインターネットに晒されている危険な状態になっています。
なぜ危険なのか? CISAが求める「攻撃面の縮小」
サポートが終わったIISが自動的にすぐ侵害されるわけではありません。
しかし、新たに「認証不要のリモートコード実行(Pre-auth RCE)」などの致命的な脆弱性が発見された場合、公式の修正パッチが提供されないため、攻撃者に対して完全に無防備(ゼロデイ状態が永続する状態)となります。
米国サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)も、サポート終了を迎えたエッジ機器やソフトウェアは脅威アクターにとって魅力的な標的であると警告し、組織に対して以下の対応を強く推奨しています。
今すぐ取るべき推奨対応策
インターネット公開資産の管理不備は、自社がランサムウェア被害に遭うだけでなく、他者への攻撃の踏み台にされるリスクも孕んでいます。情シス部門は今一度、公開基盤のライフサイクル確認と、速やかな置き換えに向けたアクションを起こす必要があります。
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インベントリの把握(棚卸し) 外部に公開されているIISを製品名だけでなく、「どのWindows Serverバージョンで動いているか」「ESUの対象期間内か」まで含めて正確に棚卸しし、リスクの優先順位をつけます。
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攻撃対象領域(アタックサーフェス)の削減 EOL/EOSのIISをやむを得ず一時的に残す場合は、インターネットからの直接到達性を絞ります。不要な公開を停止し、前段にリバースプロキシやWAF(Web Application Firewall)を配置する、管理ポートを閉じるなどして露出を最小限に抑えます。
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バージョンアップまたは別環境への移行(根本解決) ESU期間も終了した環境は、恒久運用の前提にしてはいけません。現在サポート中の環境(IIS 10 / Windows Server 2019や2022など)へのアップグレード、またはNginx・Apache等の代替Webサーバー、クラウド環境への移行計画を前倒しで実行します。
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継続的なモニタリング Shadowserverのダッシュボードやレポート、各種脆弱性スキャンツールを活用し、自組織のネットワーク内に「野良サーバー」が放置されていないか定期的に監視します。
出典








