映画・エンターテインメント業界の反海賊版連合ACE(Alliance for Creativity and Entertainment)は2026年7月2日、世界最大級の海賊版アニメ配信サイトとして知られたHiAnimeの運営者とみられる7人が、ベトナム公安省によって逮捕・訴追されたと発表しました。
HiAnimeは2026年3月に突然サービスを停止していましたが、今回の発表によって、その停止の背景に刑事捜査があったことが初めて明らかになった形です。当サイトでも以前、スペイン語圏最大級の海賊版マンガ配信サイトの摘発を取り上げましたが、今回のHiAnimeの事案は日本発のコンテンツであるアニメを対象にしており、規模・収益ともにこれまでで最大級の摘発事案となっています。
サマリー
- ACEは2026年7月2日、世界最大級の海賊版アニメ配信サイトHiAnimeの運営者とみられる7人が、ベトナム公安省の経済犯罪捜査局(C03)およびサイバーセキュリティ・ハイテク犯罪防止局(A05)によって逮捕・訴追されたと発表した
- 7人は著作権侵害とマネーロンダリングの容疑で訴追されており、4人が身柄拘束、残る3人は居住地からの移動を制限された状態で捜査が続いている
- 訴追内容によれば、グループは2020年から2026年4月にかけて100以上のウェブサイトを運営し、26,000本を超える海賊版アニメ作品をアップロードし、違法な広告収入として約1,285万ドル(約20億8,200万円)を得ていたとされる
- HiAnimeはZoro.toとして始まり、2023年7月にAniwatch.toへ、2024年3月にHiAnime(HiAnime.to)へと、ブランドとドメインを変えながら拡大を続けてきた
- 最盛期の2024年9月には月間3億回超のアクセスを記録し、一時的にDisney+やCrunchyrollといった正規配信サービスのトラフィックを上回ったとされる。欧州委員会の模倣品・海賊版ウォッチリストや米国通商代表部の悪名高い市場リストにも掲載されていた
- 米国土安全保障捜査局(HSI)や米司法省もこの複数年にわたる捜査を支援したとされ、ACEは今後もベトナム当局との連携を継続する方針を示している
- ベトナムでは2026年5月、首相が知的財産権侵害に対する全国的な取り締まりを表明しており、今回の摘発はこうした一連の施策の中に位置づけられる
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年7月2日(ACE) |
| 逮捕・捜査主体 | ベトナム公安省 経済犯罪捜査局(C03)、サイバーセキュリティ・ハイテク犯罪防止局(A05) |
| 逮捕人数 | 7人(4人が身柄拘束、3人は移動制限のうえ捜査継続) |
| 容疑 | 著作権侵害、マネーロンダリング |
| 運営サイト数 | 100以上 |
| アップロードされた海賊版作品数 | 26,000本超 |
| 違法広告収入(2020年〜2026年4月) | 約1,285万ドル(約20億8,200万円) |
| サイトの変遷 | Zoro.to→Aniwatch.to(2023年7月)→HiAnime(2024年3月) |
| サービス停止日 | 2026年3月13日 |
| 支援機関 | 米国土安全保障捜査局(HSI)、米司法省、ACE |
何が起きたか
HiAnimeは、英語字幕・吹き替え付きのアニメ作品を無料で視聴できる、世界最大級の違法配信サイトとして知られていました。ACEの発表によれば、この配信網の運営者とみられる7人が、ベトナム公安省によって逮捕・訴追されています。捜査を担当したのは、経済犯罪を扱うC03(経済犯罪捜査局)と、サイバーセキュリティおよびハイテク犯罪の防止を担うA05(サイバーセキュリティ・ハイテク犯罪防止局)です。7人は著作権侵害とマネーロンダリングの容疑で訴追されており、うち4人はすでに身柄を拘束され、残る3人は居住地からの移動を制限された状態で捜査が続いています。
訴追内容によれば、このグループは2020年から2026年4月にかけて100以上のウェブサイトを運営し、26,000本を超える海賊版アニメ作品をアップロードしていたとされています。この活動を通じて得た違法な広告収入は約1,285万ドル、日本円に換算すると約20億8,200万円にのぼるとされ、長期間にわたって組織的かつ収益性の高い違法ビジネスとして運営されていたことがうかがえます。
HiAnimeは2026年3月13日、事前の説明もないまま突然サービスを停止し、サイト上には別れを告げる短いメッセージだけが表示される状態になっていました。運営終了の理由は当時明らかにされておらず、ブランドを変えての復活を期待する声もありましたが、今回の逮捕発表によって、この唐突な停止の背景に刑事捜査があったことが初めて公式に確認された形です。
Zoro.toからHiAnimeへ-ブランドを変えながら拡大した経緯
HiAnimeという名称は、このサイトが辿った変遷の最終形態にすぎません。もともとはZoro.toというドメインでサービスを開始し、2023年7月にAniwatch.toへ改称、そして2024年3月にHiAnime(HiAnime.to)へと再び名称を変えています。この2024年3月の改称は、インドで先行するサイトブロッキング命令が出されていた時期と重なっており、法的な圧力を避けながらブランドを維持しようとする動きだったと見られています。
改称のたびにサイトは規模を拡大させ、HiAnimeへの改称後、他の競合海賊版サイトへの取り締まりも重なったことで、2024年9月には月間3億回を超えるアクセスを記録したと報じられています。この数字は、一時的にDisney+やCrunchyrollといった正規の配信サービスのWebトラフィックを上回るほどの規模でした。人気の高まりとともに、HiAnimeは欧州委員会が公表する模倣品・海賊版ウォッチリストや、米国通商代表部(USTR)が公表する悪名高い市場のリストにも掲載され、映画・エンターテインメント業界から重大な脅威として認識されるようになっていました。
マネーロンダリング容疑も-立件の枠組みが変わった意味
今回の事案が象徴的なのは、単なる著作権侵害にとどまらず、マネーロンダリングの容疑もあわせて立件されている点です。これまでの海賊版サイトへの対応は、ドメインの差し押さえやサイトブロッキングといった、インフラそのものを止める手法が中心でした。実際、Zoro.toからAniwatch.to、HiAnimeへと名称を変えながら生き延びてきた経緯自体が、単純なドメイン差し止めだけでは根本的な解決にならないことを示しています。今回のように、運営者個人を刑事責任の対象として訴追し、その収益の流れ自体を犯罪収益として立件する手法は、インフラを差し止めるだけでは再び別のドメインで再開されてしまうという、いたちごっこの構造そのものを断ち切ろうとする狙いがあると考えられます。
出典
- 7 Arrested Over World’s Top Anime Piracy Site HiAnime – Hackread
- Vietnam arrests suspects behind HiAnime anime piracy service – BleepingComputer
- 7 arrested in Vietnam for operating large anime piracy site HiAnime – SC Media
- Operators Behind the World’s Biggest Anime Piracy Site HiAnime Arrested Following Shutdown – CBR
- Team behind biggest anime piracy site arrested amid Vietnam crackdown – Dexerto
- Anime Piracy Site HiAnime Operators Arrested in Vietnam – Outlook Respawn
- スペイン警察、スペイン語圏最大級の海賊版マンガ配信サイトを摘発、利益は400万ユーロ超 – セキュリティ対策Lab
- Spotifyの視聴データの約99.6%をカバーする海賊版サイトが公開-Spotifyは不正アクセスの調査を開始 – セキュリティ対策Lab








