静岡県牧之原市、相良中のサポート詐欺で事務職員を戒告-1,000万円被害、保険で補填完了と報道

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静岡県牧之原市、相良中のサポート詐欺で事務職員を戒告-1,000万円被害、保険で補填完了と報道

静岡県牧之原市教育委員会は2026年8月25日、市立相良中学校で5月に発生したサポート詐欺による約1,000万円の不正送金について、被害に遭った60代の女性事務職員を戒告処分としたと公表しました。

牧之原市の公式発表によると、職員はMicrosoftのセキュリティを装う偽警告画面に表示された電話番号へ連絡し、電話相手の誘導によってパソコンの遠隔操作を許可しました。その後、本年度は担当者としての権限を持っていなかったにもかかわらずインターネットバンキングへログインし、学校諸会費口座から計10,000,099円が外部口座へ不正送金されました。送金手数料136円を含む損害額は10,000,235円です。

市教育委員会は、この行為が地方公務員法上の職務上義務違反と信用失墜行為の禁止に該当すると判断しました。毎日新聞や静岡放送によると、相良中学校長も管理監督責任を理由に口頭で厳重注意を受けています。

金銭面では、6月末時点で市が加入する保険の適用可否を審査中でしたが、毎日新聞と静岡放送は8月25日、全国市長会市民総合賠償補償保険の保険金が市へ入金され、元の口座への振り込みが完了したと報じています。

セキュリティ対策Labでは、本件の第一報を「静岡県牧之原市立相良中学校でサポート詐欺、学校口座から1,000万円-不正送金の被害」で取り上げています。

相良中学校サポート詐欺の続報サマリー

  • 確認済み:牧之原市教育委員会は2026年8月25日、相良中学校の60代女性事務員を戒告処分としました。
  • 確認済み:職員は会計年度任用職員で、2026年5月29日にサポート詐欺の被害に遭いました。
  • 確認済み:Microsoftのセキュリティを装う偽警告画面に表示された電話番号へ、職員が独自の判断で電話しました。
  • 確認済み:電話相手の誘導によって、パソコンを遠隔操作される状態となりました。
  • 確認済み:職員は本年度、ネットバンキングを担当する権限を持っていなかったにもかかわらずログインしました。
  • 確認済み:学校諸会費口座から9,999,999円と100円の計10,000,099円が不正送金されました。
  • 確認済み:送金手数料136円を含む損害額は10,000,235円です。
  • 確認済み:市教育委員会は、地方公務員法第29条第1項第2号の職務上義務違反と、同法第33条の信用失墜行為の禁止に該当すると判断しました。
  • 報道:毎日新聞・静岡放送によると、相良中学校長は管理監督責任を理由に口頭で厳重注意を受けました。
  • 確認済み:6月5日、相良中学校長が牧之原警察署へ被害届を提出し、受理されています。市は6月末時点で「電気計算機使用詐欺事件として取り扱う」と説明していました。
  • 確認済み:被害を受けた金融機関は、正規のログイン情報が入力されて送金されたことなどを理由に、金融機関側の補償対象ではないとの見解を市へ示していました。
  • 報道:8月25日時点で、全国市長会市民総合賠償補償保険の保険金が市に入り、元の口座への補填が完了したと報じられています。
  • 確認済み:事件直後の調査では、学校のクラウドサーバー上でファイル操作の痕跡や生徒情報の流出は確認されていません。
  • 確認済み:市は全小中学校でセキュリティ研修、ネットバンキングの単独ログイン防止、振込限度額の設定、国際電話回線の遮断などを進めています。
項目 内容
処分公表日 2026年8月25日
事件発生日 2026年5月29日
対象組織 牧之原市立相良中学校
被処分者 60代女性事務員(会計年度任用職員)
インシデント サポート詐欺による遠隔操作、不正送金
詐欺の入口 Microsoftセキュリティを装う偽警告画面
不正送金額 10,000,099円
送金手数料 136円
損害合計 10,000,235円
処分 戒告
処分理由 職務上義務違反、信用失墜行為
校長への対応 毎日新聞・静岡放送は口頭で厳重注意と報道
被害届 2026年6月5日に提出・受理
情報流出 学校側調査では生徒情報の流出を確認せず
金融機関による補償 対象外との見解
保険 毎日新聞・静岡放送は保険金による補填完了と報道
捜査 牧之原警察署が継続中
再発防止 研修、単独ログイン防止、振込限度額設定、国際電話遮断など

5月29日、偽Microsoft警告から約1,000万円を不正送金

事件が発生したのは2026年5月29日午後です。

牧之原市の第一報によると、市の会計年度任用職員が相良中学校のパソコンで休暇制度についてインターネット検索をしていた際、Microsoftセキュリティを装う偽の警告画面が表示されました。

職員は画面上にMicrosoftの連絡先として表示された電話番号へ連絡しました。

その後、電話相手の指示に従ってパソコンを操作したことで遠隔操作ソフトが導入され、第三者がパソコンを操作できる状態になりました。

職員は途中で不審に感じ、学校のネットワークシステム管理業者へ連絡し、インターネット回線を外して電源を切りました。

しかし、その時点ではすでに送金処理が行われていました。

8月25日、被害職員を戒告処分

牧之原市教育委員会は8月25日、被害に遭った事務職員を戒告処分としました。

市が公表した処分理由では、職員が偽警告画面に表示された電話番号へ「独自の判断」で連絡したことに加え、電話相手の誘導によってパソコンの遠隔操作を許したことを挙げています。

さらに重要なのが、職員が「本年度は担当者としての権限を有しない中でインターネットバンキングにログインした」と市が説明している点です。

市教育委員会は、この行為によって学校諸会費口座から10,000,099円が不正送金される結果を招いたとして、地方公務員法第29条第1項第2号の職務上義務違反と、同法第33条の信用失墜行為の禁止に該当すると判断しました。

処分は戒告です。

一方、静岡放送は、市教育委員会が懲戒処分として最も軽い戒告が妥当と判断したと報じています。

校長も管理監督責任で厳重注意と報道

牧之原市が8月25日に公開した「職員の懲戒処分について」では、被処分者である事務職員の処分内容が中心で、校長への処分は記載されていません。

一方、毎日新聞と静岡放送は、相良中学校の校長についても、職員を含む学校関係者への管理監督を怠ったとして、8月25日付で口頭による厳重注意を受けたと報じています。

この部分は市の8月25日公開ページでは確認できないため、報道情報として区別して扱う必要があります。

被害額は10,000,099円、手数料込みで10,000,235円

牧之原市によると、学校の口座から不正送金された金額は合計10,000,099円です。

内訳は、

  • 9,999,999円
  • 100円

の2件でした。

さらに送金手数料がそれぞれ68円発生し、合計136円となったため、市が見込んだ損害額は10,000,235円です。

被害口座には、修学旅行積立金や教材費など、保護者から集めた学校諸会費が含まれていました。

金融機関は補償対象外と回答

6月29日の牧之原市定例記者懇談会では、被害補償についてより詳しい説明が行われています。

市によると、6月11日に金融機関と面談したところ、

「ログイン、パスワード等が入力されたうえで送金されており、それ自体に問題がない」

として、金融機関側の補償対象にはならないとの見解が示されました。

今回の事案では、攻撃者が銀行システムへ直接侵入したわけではありません。

職員が正規のネットバンキングへログインした状態でパソコンを遠隔操作され、そのセッションが悪用された形です。

この違いは、フィッシングや認証情報窃取だけを想定した不正送金対策では不十分であることを示しています。

保険適用が決まり、元口座への補填完了と報道

6月29日時点では、市が加入している保険の適用可否について保険会社が検討していました。

牧之原市は当時、サポート詐欺による今回のようなケースは保険会社側でも初の事案で、適用範囲や必要書類を本社で検討中だと説明していました。

その後、毎日新聞と静岡放送は8月25日、全国市長会市民総合賠償補償保険の保険金が市へ入金され、元の口座への振り込みが完了したと報じました。

静岡放送によると、8月5日付で保険金が支払われたとされています。

牧之原市の8月25日付「職員の懲戒処分について」には保険金の入金について記載されていないため、この点は報道による続報として扱います。

6月5日に被害届、警察は電気計算機使用詐欺事件として捜査

牧之原市は6月29日の記者懇談会で、相良中学校長が6月5日に牧之原警察署へ被害届を提出し、受理されたことを明らかにしています。

同市によると、牧之原警察署は「電気計算機使用詐欺事件」として取り扱うとしています。

毎日新聞と静岡放送は8月25日時点でも捜査が継続していると報じています。

攻撃者の身元、送金先口座の名義人、資金回収の有無などは公表されていません。

生徒情報の流出は確認されず

事件当日、学校のネットワークシステム管理業者が遠隔操作されたパソコンを調査しました。

牧之原市の第一報によると、当該パソコンから接続できるクラウドサーバーについてアクセスや操作ログを確認した結果、ファイル操作の痕跡や生徒情報の流出は見受けられなかったとしています。

したがって、本件で確認されている被害は金銭被害です。

「生徒の個人情報も漏えいした」などとする事実は、現在の公表資料からは確認できません。

市内全小中学校でネットバンキング運用を見直し

牧之原市は事件後、市内の全小中学校で再発防止策を進めています。

6月29日の公式説明で挙げられた対策には、

  • 会計年度任用職員を含む全職員へのセキュリティ研修
  • インターネットバンキングへ単独でログインできないよう管理方法を見直す
  • 各口座に振込限度額を設定
  • 学校の固定電話で国際電話の発着信を遮断

などがあります。

市はサイバーセキュリティ研修について、牧之原警察署生活安全課長を講師に招き、今回の被害事例や最近のサポート詐欺、被害防止策を全職員に周知する方針を示しています。

「研修」だけでなく権限と送金プロセスの統制が重要

今回の続報で重要なのは、処分の有無だけではありません。

市の処分理由から、被害職員は当年度のネットバンキング担当権限を持っていなかったにもかかわらず、実際にはログインできる状態だったことが分かります。

つまり、業務上の「担当権限」と、システム上の「実際に操作できる権限」が一致していなかった可能性があります。

組織のセキュリティでは、ルールで「操作してはいけない」と定めるだけではなく、担当外の職員がそもそも重要システムへログインできない仕組みを作る必要があります。

また、送金額が9,999,999円に達したことから、口座ごとの振込限度額や高額送金時の複数承認も重要です。

牧之原市が事件後に、単独ログインの防止や振込限度額の設定へ踏み込んだ点は、人的対策から技術・業務統制へ再発防止策を広げたものといえます。

サポート詐欺は「電話しない」で止められる

IPAは、サポート詐欺について、ウェブ閲覧中に突然表示される偽のウイルス警告を使い、利用者を電話へ誘導したうえで遠隔操作や金銭支払いにつなげる手口だと説明しています。

偽警告が表示されただけでパソコンがウイルス感染しているとは限らず、IPAは表示された電話番号へ連絡せず、警告画面を閉じるよう呼びかけています。

警察庁も、偽警告に表示された電話番号へ電話しないこと、指示されたアプリやソフトウェアをインストールしないことを対策として挙げています。

組織端末では、利用者個人の判断に任せるのではなく、「警告画面が表示されたら何も操作せず情報システム部門へ連絡する」といった単純な初動ルールを決めておくことが重要です。

セキュリティ対策Labでは、サポート詐欺の具体的な手口と対策を「サポート詐欺とは 手口・被害事例・電話してしまった場合の対処法を解説【2026年最新版】」でも整理しています。

情報システム・内部統制部門への示唆

今回の続報は、サポート詐欺を単純な「利用者教育の失敗」として処理すると、再発防止が不十分になることを示しています。

第一に、重要システムへのアクセス権限は業務分掌と一致させる必要があります。担当から外れた職員のアカウントや権限は速やかに停止し、ネットバンキングのような高リスク業務では定期的な権限棚卸しを行います。

第二に、高額送金は一人の端末・一人の判断だけで完結させない仕組みが必要です。送金限度額、複数承認、別端末での承認などを組み合わせることで、1台のパソコンが遠隔操作された場合でも被害を抑えられます。

第三に、遠隔操作ソフトの導入や実行を利用者権限で自由に行えないよう制御することも重要です。承認済みのリモートサポート手段だけを許可し、それ以外はアプリケーション制御などで実行を制限します。

第四に、偽警告への教育は「気をつける」だけでなく、実際の画面を使った訓練が有効です。IPAは偽警告画面を疑似体験できるサイトを公開しており、職員研修へ活用できます。

第五に、インシデント対応では被害者個人の責任と組織の統制不備を分けて検証する必要があります。今回、牧之原市自身も単独ログイン防止、振込限度額、研修など組織側の対策を実施しています。

処分だけでインシデントを終わらせず、「同じ判断ミスが別の職員に起きても被害が成立しない仕組み」に変えることが再発防止の中心になります。

出典