米IT大手のMeta(旧Facebook)が、FacebookやInstagram上で横行する詐欺広告について、長年にわたり問題を把握しながらも十分な対策を取ってこなかった可能性があると、ロイター通信が内部文書に基づく調査報道で明らかにしました。今回の報道は、Metaの広告運用と規制対応の実態に踏み込む内容となっています。
目次
ロイターが入手した内部文書の概要
ロイターによると、Meta社内で作成・共有されていた過去4年分の内部資料には、詐欺広告の拡散が利用者被害を生んでいることを同社自身が認識していた記録が残されていました。一方で、それと同時に、広告収益への影響を最小限に抑えることが最優先事項として扱われていた様子も読み取れるとしています。
内部では、詐欺広告の根本的な排除よりも、「外部からどう見えるか」を管理する方針が議論されていたとされ、規制当局や報道機関の監視を意識した対応が検討・実施されていました。
規制当局の目を意識した見え方の調整
ロイターの調査で特に注目されたのが、Metaが広告ライブラリ(Ad Library)の挙動を調整していた点です。広告ライブラリは、誰でもFacebookやInstagram上の広告を検索・確認できる仕組みで、各国の規制当局も監視に利用しています。
内部文書によれば、Metaは当局や記者が使いそうな検索方法を分析し、問題のある広告が検索結果に表示されにくくなるよう仕組みを変更していました。社内では、こうした取り組みを「問題の規模に対する認識をコントロールする」と表現していたとロイターは伝えています。
日本が実験場になっていた可能性
ロイターの報道では、こうした手法が日本で先行して導入された点も重要視されています。日本では、著名人を装った投資詐欺広告などが社会問題化し、政府が広告主の本人確認強化を検討していました。
Metaは、日本向けに広告ライブラリ上で問題広告の可視性を下げる対応を実施。その結果、当局から見える詐欺広告の件数が減少し、最終的に厳格な広告主本人確認の義務化は見送られました。この「成功例」は、その後、欧州や米国など他地域にも応用されたと内部文書は示しています。
広告主本人確認を避け続けた理由
Metaは内部分析で、全広告主に本人確認を義務付ければ詐欺広告が大幅に減少することを把握していました。それでも同社が慎重姿勢を崩さなかった背景について、ロイターは「収益への影響」を最大の理由として挙げています。
内部試算では、世界全体で本人確認を導入した場合、数十億ドル規模のコストが発生し、広告売上の一部が失われる可能性があるとされていました。このためMetaは、「法律で義務付けられた地域でのみ実施する」という限定的な対応を続けてきたと報じられています。
中国発の詐欺広告と巨額の広告収入
ロイターは、中国を拠点とする広告主・代理店の存在にも注目しています。FacebookやInstagramは中国国内では利用できませんが、中国企業が海外向けに広告を出稿することは可能です。
規制当局とMetaの見解の隔たり
ロイター報道を受け、米国では上院議員が証券取引委員会(SEC)や連邦取引委員会(FTC)に調査を求めるなど、規制当局の関心が高まっています。
一方、Metaはロイターに対し、「詐欺はインターネット全体で増加しており、当社も対策に多額の投資を行っている」「広告ライブラリから広告を削除することは、プラットフォーム上から削除することを意味する」と説明しています。内部文書の解釈については否定的な立場を取っています。
日本への影響
ロイターの報道内容は、日本で深刻化するSNS型投資詐欺とも重なります。警察庁によると、SNS広告を入口とした投資詐欺の被害は急増しており、InstagramやFacebookが使われるケースも少なくありません。
訴訟を起こした主な人物
また2024年から2025年にかけて、日本の実業家や著名人が相次いでMetaを提訴しました。
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堀江貴文氏
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前澤友作氏
いずれも、FacebookやInstagram上で、自身の写真や名前を使った偽のSNS型投資詐欺への広告が長期間放置され、多数の被害者が出ているとして問題視しました。
訴訟の主な争点
訴状などで指摘されたポイントは共通しており、主に次の点が争点となっています。
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Metaが、有名人の肖像や氏名が悪用されている事実を認識していたにもかかわらず、十分な対策を取らなかったこと
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詐欺広告によって一般利用者に被害が生じ、社会的信用や名誉が侵害されたこと
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広告収益を優先し、詐欺広告の排除が後回しにされた結果、被害が拡大した点
原告側は、Metaに対し損害賠償を求めるとともに、同様の詐欺広告を防ぐための実効性ある対策を講じるよう求めました。
こうした状況を踏まえると、Metaの広告運用方針や詐欺広告への対応姿勢は、日本国内の利用者保護にも直結する問題と言えます。今後、各国の規制当局がMetaにどこまで踏み込んだ対応を求めるのかが注目されます。
参照
Meta created ‘playbook’ to fend off pressure to crack down on scammers, documents show








