
2025年5月31日、ロイターの報道によると米マイクロソフト(Microsoft Corp.)のロシア国内子会社である「Microsoft Rus LLC」が、破産を申請する意向を示したことが、ロシア政府の公式登記システム「Fedresurs(フェドリスル)」に5月30日付で掲載されました。ロイター通信が報じたもので、同社からのコメントは現時点で出ていません。
ロシア事業は2022年から段階的に縮小
マイクロソフトは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後も一定の主要サービスを継続して提供していましたが、同年6月に「経済見通しの変化と事業への影響」を理由に事業を大幅に縮小すると発表していました。
縮小の一環として、ロシア国営メディア「RT」のアプリをWindowsアプリストアから削除し、ロシア政府支援のメディアに対する広告も停止するなど、制裁的措置を講じていました。
プーチン大統領の発言と背景
こうした動きの背景には、ロシア政府の「デジタル主権」戦略があります。今週、プーチン大統領はマイクロソフトやZoomなどの外国ソフトウェアプロバイダーを「制限すべき」と発言し、国産ソフトの導入拡大を明確に打ち出しました。
ロシア政府は近年、海外のIT企業に対して規制を強化しており、特に米国系のクラウド・コミュニケーションサービスに対する風当たりが強まっています。
他の関連会社やIT大手の動向
Fedresursに掲載された内容によれば、今回破産申請の対象となっているのは「Microsoft Rus LLC」ですが、ロシアには他にも以下の関連会社が存在しています:
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Microsoft Development Centre Rus
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Microsoft Mobile Rus
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Microsoft Payments Rus
現時点では、これらの関連会社がどのような影響を受けるかは不明です。
また、同じく米国のIT大手であるGoogle(親会社:Alphabet)も2022年にロシア子会社が破産を申請しています。
当時は、ロシア当局による銀行口座の差し押さえにより、従業員への給与や取引先への支払いが困難になったことが理由とされました。
業界全体に広がる「ロシア離れ」
このように、外国IT企業のロシア撤退や事業縮小はもはや一過性の動きではなく、構造的な流れとなっています。マイクロソフトの今回の破産申請は、その象徴とも言えるでしょう。
国際情勢の変化により、ITインフラの分断が進むなか、企業側にもローカルな規制・法制度に即した柔軟な対応が求められています。
参照
https://www.reuters.com/technology/microsoft-unit-russia-file-bankruptcy-database-shows-2025-05-30/