日本電気株式会社(NEC)、NECネッツエスアイ株式会社、デジタルアーツ株式会社、株式会社FFRIセキュリティは2026年8月27日、国産技術を基盤にサプライチェーン全体のセキュリティ強化を支援する「NEC Cyber Secure Package powered by CyIOC」を共同開発したと発表しました。
Webアクセス制御やクラウドサービスの利用管理、AIチャット利用制御、EDR、24時間365日のSOC監視・運用などを組み合わせ、企業規模やセキュリティ対策レベルに応じて導入できるパッケージとして提供します。
販売はNECとNESICホールディングス傘下のグループ会社が8月31日から開始します。Enterprise版1000人モデルの標準価格は月額210万円からで、同価格にはEDRは含まれません。NECは2026年度から2030年度までの5年間で200億円の売上を目標としています。
NEC Cyber Secure Packageのサマリー
- NEC、NECネッツエスアイ、デジタルアーツ、FFRIセキュリティが「NEC Cyber Secure Package powered by CyIOC」を共同開発しました。
- Webアクセス制御、クラウド利用統制、AIチャット利用制御、EDR、SOC監視などをワンストップで提供します。
- NECネッツエスアイのSOCが24時間365日の監視・分析・インシデント対応を担います。
- デジタルアーツ、FFRIセキュリティの国内開発技術を組み合わせた国産技術基盤のサービスとして展開します。
- 大企業だけでなく、中堅・中小企業を含むサプライチェーン全体のセキュリティ対策を対象としています。
- 利用企業から得られる脅威情報や攻撃傾向を分析し、NECの次世代サイバーセキュリティサービス「CyIOC」の脅威インテリジェンスへ反映します。
- 販売開始は2026年8月31日です。
- Enterprise版1000人モデルの標準価格は月額210万円からで、EDRは価格に含まれません。
- NECの売上目標は2026年度から2030年度までの5年間で200億円です。
- 背景には、取引先や委託先を含むサプライチェーン全体のセキュリティ対策を可視化する「SCS評価制度」の整備があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年8月27日 |
| サービス名 | NEC Cyber Secure Package powered by CyIOC |
| 共同開発 | NEC、NECネッツエスアイ、デジタルアーツ、FFRIセキュリティ |
| 主な対象 | 大企業、中堅・中小企業を含むサプライチェーン構成企業 |
| 主な機能 | Webアクセス制御、クラウド利用統制、AIチャット利用制御、EDR、SOC監視・運用など |
| 監視体制 | 24時間365日 |
| 販売開始 | 2026年8月31日 |
| 標準価格 | 月額210万円~(Enterprise版1000人モデル、税別、EDR除く) |
| 販売元 | NEC、NECネッツエスアイ、NECフィールディング、NECネクサソリューションズ |
| 売上目標 | 2026年度~2030年度の5年間で200億円 |
国産技術を組み合わせ、サプライチェーン全体のセキュリティ強化を支援
NEC Cyber Secure Packageは、個社単位ではなく、取引先や委託先、関連会社を含むサプライチェーン全体のセキュリティ水準を高めることを狙ったサービスです。
サプライチェーンでは、発注元企業が高度なセキュリティ対策を実施していても、取引先や委託先の環境が侵害され、そこを起点に被害が波及する可能性があります。一方、中堅・中小企業では、セキュリティ人材や予算の制約から、大企業と同じ体制を自社だけで構築することが難しい場合があります。
今回のサービスでは、デジタルアーツとFFRIセキュリティが提供する国内開発のセキュリティ技術に、NECネッツエスアイの中堅・中小企業向けセキュリティ監視・運用のノウハウ、NECのサイバーセキュリティや脅威インテリジェンスに関する知見を組み合わせます。
NECは「.JP(日本のサイバー空間)を守る」をスローガンに掲げ、国内で開発・提供される技術を活用することを経済安全保障の観点からも位置付けています。
Web・クラウド・AI・端末を一体で監視
NEC Cyber Secure Packageでは、Webアクセス制御、クラウドサービスの利用管理、AI利用制御、エンドポイント防御、SOC監視を一体的に提供します。
特徴的なのは、生成AIの業務利用も管理対象に含めている点です。NECのサービスページでは、AIチャットフィルター、生成AIサービスの利用制限、機密情報入力の抑止、AI利用状況の監査などを提供機能として挙げています。
生成AIの業務利用が広がる中では、会社が許可していないAIサービスを利用するシャドーAIや、顧客情報・機密情報を外部AIへ入力するリスクへの対応が必要になります。従来のWebフィルタリングやCASBに加え、AIサービスへのアクセスや情報入力まで管理対象を広げる構成です。
エンドポイントではマルウェア対策やEDR、データ保護ではDLPなどを提供し、各機能から得たログをSOCで統合的に監視します。脅威を検知した場合には通知や対処を行い、インシデント被害の最小化を支援します。
なお、NECのサービスページでは、EDRを含むエンドポイント防御やDLPなど一部機能について順次リリース予定としています。導入を検討する企業は、契約時点で利用できる機能と提供時期を確認する必要があります。
24時間365日のSOC運用までパッケージ化
サイバーセキュリティでは、製品を導入するだけでなく、検知したアラートを継続的に分析し、必要な対応につなげる運用体制が重要です。
NEC Cyber Secure Packageでは、NECネッツエスアイのSOCによる24時間365日の監視・分析・インシデント対応をパッケージへ組み込んでいます。Web、クラウド、AI、端末などから収集したログをまとめて監視することで、複数のセキュリティ製品を個別に運用する負担を抑える狙いがあります。
特に中堅・中小企業では、自社だけでSOC要員を常時配置することが難しいケースがあります。対策製品と監視・運用をまとめて提供することで、セキュリティ人材不足を補完する位置付けです。
また、企業のセキュリティ対策状況に応じて複数のサービスメニューを用意し、必要な機能を3タイプにパッケージ化します。全企業へ一律に同じ構成を導入するのではなく、企業規模や求められる対策水準に合わせて選択できる設計としています。
SCS評価制度の開始を見据えたサプライチェーン対策
今回のサービス発表の背景には、政府が整備を進める「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」があります。
経済産業省と内閣官房国家サイバー統括室は、サプライチェーンを構成する企業のセキュリティ対策状況を共通基準で評価・可視化する制度としてSCS評価制度の整備を進めています。2026年3月には制度構築方針が公表され、★3と★4について2026年度末ごろの申請受付開始が予定されています。
同制度では、委託元企業が取引先に必要なセキュリティ水準を示し、委託先側が対策状況を確認できる仕組みが想定されています。企業の優劣を競わせる「格付け」を目的とした制度ではなく、サプライチェーン内で求められる対策水準を共通化し、可視化することが目的です。
NEC Cyber Secure Packageも、SCS評価制度への対応を見据えて準備を進めたい企業を想定利用者の一つに挙げています。
ただし、SCS評価制度は特定のセキュリティ製品を導入することを求める制度ではありません。経済産業省も、EDRや資産管理システムなど特定製品の導入を一律に要求するものではないと説明しています。そのため、本サービスの導入とSCS評価制度の★取得を同一視することはできず、各企業は制度の要求事項に照らして自社の対策状況を確認する必要があります。
利用企業の脅威情報をCyIOCへ反映
NECは、NEC Cyber Secure Packageを通じて取得する脅威情報や攻撃傾向を分析し、次世代サイバーセキュリティサービス「CyIOC」の脅威インテリジェンスへ反映するとしています。
CyIOCは、NEC独自の脅威インテリジェンスとAI技術を組み合わせ、サイバー攻撃の予兆把握、防御、検知、対応などを支援するサービスです。
NEC Cyber Secure Packageを中堅・中小企業を含むサプライチェーンへ広げることで、個別企業だけでは見えにくかった攻撃傾向を収集・分析し、その結果を再び防御へ活用する循環を作る狙いがあります。
NECは、こうした脅威情報を企業向けだけでなく安全保障領域の脅威分析・対策にも活用し、日本のデジタルインフラ全体の安全性向上につなげる方針です。
月額210万円から、5年間で200億円の売上を目標
NEC Cyber Secure Packageは2026年8月31日から販売を開始します。
Enterprise版1000人モデルの標準価格は月額210万円からで、税別です。この標準価格にはEDRは含まれていません。
販売元はNEC、NECネッツエスアイ、NECフィールディング、NECネクサソリューションズの4社です。
NECは2026年度から2030年度までの5年間で200億円の売上を目標としています。サプライチェーン対策やSCS評価制度への対応、AI利用管理、セキュリティ人材不足など複数の課題を背景に、大企業から中堅・中小企業まで導入を広げる考えです。
情報システム部門への示唆
サプライチェーンセキュリティでは、自社のEDRやファイアウォールを強化するだけでは十分ではありません。取引先、委託先、子会社など、自社とデジタルに接続する組織がどの程度のセキュリティ対策を実施しているかを把握することが重要になります。
SCS評価制度の整備が進むことで、今後は発注企業から委託先へ、一定のセキュリティ水準を求める場面が増える可能性があります。情報システム部門では、制度開始を待ってから対応するのではなく、資産管理、ID・アクセス管理、脆弱性管理、端末防御、ログ監視、インシデント対応など、現在の対策状況を整理しておく必要があります。
また、今回のサービスがAIチャット利用制御を標準的な対策領域として扱っている点にも注目できます。生成AIの利用が一般化する中、Webやクラウドの利用管理とAI利用管理を別々に考えるのではなく、シャドーIT、機密情報入力、アクセス制御、ログ監視を一体として運用する必要性が高まっています。
一方、パッケージ型サービスを導入しても、組織側の責任がなくなるわけではありません。どの資産を守るのか、どのログを監視するのか、アラート発生時に誰が判断・対応するのか、委託先との責任分界をどこに置くのかまで事前に整理することが重要です。








