
警察庁は、オンラインゲームを通じて犯罪に巻き込まれるケースが増えているとして、保護者や利用者に対して注意を呼びかけています。特に未成年者が「荒野行動」、「第五人格」、「フォートナイト」などのゲーム内で知り合った人物と接触することにより、わいせつ行為や誘拐、さらには海外での違法行為に関与させられる事例が発生しており、その危険性が指摘されています。
オンラインゲームを通じた犯罪の実態
警察庁の発表によると、2023年の1年間でオンラインゲームをきっかけに犯罪に巻き込まれた17歳以下の子どもは89人に上ることが確認されました。
特に、「荒野行動」では37人、「第五人格」および「フォートナイト」ではそれぞれ13人の被害が報告されています。
ゲーム内のボイスチャットやメッセージ機能を利用して、犯罪者が未成年者と関係を築き、指示に従わせるケースが見られます。警察庁は、保護者に対し、ゲームの使用ルールを家庭内で決めることや、子どもがどのような人とやり取りしているかを把握するように促しています。
荒野行動を提供するNetEaseの声明
オンラインゲーム「荒野行動」の運営元であるNetEaseは、この問題について公式声明を発表しました。
声明では、
同社は未成年者の安全を最優先事項としており、
- ゲーム内の安全対策を強化している事
- 関連法規の遵守
- オンライン安全教育の促進をする事
を発表しました。
海外での違法行為に加担させられる危険性
さらに、警察庁は「海外で儲かる仕事」と称して、オンラインゲームやインターネット上で知り合った人物を通じて犯罪に巻き込まれる事案にも警鐘を鳴らしています。
犯罪組織は、「高額報酬」「航空券の提供」などを口実にターゲットを海外へ誘い出し、実際には詐欺行為を強要するなどの手口を用いています。報酬が支払われないだけでなく、脅迫や監禁を受け、逃亡が困難な状況に追い込まれるケースも報告されています。
警察庁が公開した実際の事例では、
- オンラインゲームで知り合った人物から仕事を紹介され、タイへ渡航後、ミャンマーへ密入国させられ、武装した監視下で詐欺行為を強要された。
- 知人を介して紹介された仕事でカンボジアへ渡航後、詐欺行為に従事させられ、軟禁された。
- 知人から紹介された仕事で中国へ渡航し、詐欺行為を強要され、帰国を希望すると暴力団の名を使って脅迫された。
など、オンラインでのやり取りをきっかけに危険な状況に巻き込まれるケースが多発しています。
警察庁の呼びかけと対策
警察庁は、こうした犯罪から身を守るため、以下の点に注意するよう呼びかけています。
- オンラインで知り合った人物から仕事を紹介されても、安易に応じない。
- 高額報酬をうたう海外の仕事の勧誘には細心の注意を払う。
- ゲームの使用ルールを家庭内で決め、保護者が管理する。
- 不審な勧誘や誘いがあった場合は、すぐに警察に相談する。
「#9110」に電話すれば、警察が相談を受け、必要に応じて確実に保護を行うとしています。
オンラインゲームは娯楽として楽しまれる一方で、犯罪に悪用されるリスクが高まっています。未成年者を守るためには、保護者や教育機関の協力が不可欠です。警察庁の警告を踏まえ、適切なオンライン利用のルール作りが求められています。
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