
TikTokは2024年1月19日に施行された法律により、米国内での売却か禁止のいずれかを選択する必要に迫られていました。しかし、トランプ大統領は就任直後の1月20日に大統領令を発令し、TikTokの売却に関する決定を4月5日まで延期。現在、この期限が迫っており、複数の企業が買収の意向を示しています。
目次
4月5日の期限を超えるとどうなる?
TikTokは危険性を指摘され、アメリカのバイデン政権時にTikTok禁止法案が可決されましたが、トランプ大統領は猶予期間を設けました。
この猶予期間は2025年4月5日までにTikTokの売却が成立しなければ、米国内でのTikTok 利用が再び禁止されるもので、禁止されると米国内でApp StoreやGoogle Playでの新規ダウンロードが出来なくなり、インストール済みのユーザーもアプリが利用できなくなります。
ただし、トランプ大統領は「必要に応じて期限をさらに延長する可能性がある」とも述べており、依然として状況は流動的です。
TikTokの親会社であるバイトダンスは、過去にTikTokの売却に反対する姿勢を見せていましたが、現在の交渉状況は明らかになっていません。
TikTokの買収に関心を示している企業・コンソーシアム
AP通信の報道によると、TikTokは米国内で高い人気を誇り、市場価値は最大500億ドルと推定されています。そのため、複数の企業やコンソーシアムが買収の意向を示しています。
1. フランク・マコート氏のコンソーシアム
- 提案額:200億ドルの現金
- 戦略:買収後、ブロックチェーン技術を活用し、ユーザーがよりデータをコントロールできるように再設計
- アドバイザー:レディット共同創業者アレクシス・オハニアン氏
2. ジェシー・ティンズリー氏のコンソーシアム
- 提案額:300億ドル以上
- 構成:給与計算会社Employer.comの創業者、ゲームプラットフォームRobloxのCEOなどが参加
- 狙い:TikTokの米国事業を買収し、さらなる成長を目指す
3. パープレキシティAI
- 提案内容:TikTokの米国事業とパープレキシティの事業を統合する合併案を提示
4. マイクロソフト
- トランプ大統領は1月にマイクロソフトの関心していると示唆。
- 買収に関する具体的な提案内容は未公表。
5. 動画プラットフォーム「ランブル」
- 右派を中心に人気の動画サイト。
- TikTokの技術パートナーシップや買収に関心を示しており、企業連合への参加意向を表明。
トランプ大統領の意向と米国政府の関与
トランプ大統領は、TikTokの買収プロセスにおいて、米国政府の関与も検討していると発言しています。具体的には、
- 米国政府が投資ファンドを通じてTikTokの一部を所有する案
- 米国企業がTikTokのプラットフォームに対して株式を保有する案
これにより、TikTokの米国内での運営に対し、より強い管理権限を持つことを目指していると考えられます。
中国政府の対応と立場の変化
TikTokの売却については、中国政府の承認も必要となります。しかし、昨年の段階では「投資撤退の推進は強盗行為」とする強硬な姿勢を示していた中国政府も、中国外務省の毛寧報道官は、「事業運営や買収は市場原理に従い、企業が自主的に決定すべき」とコメントし最近ではやや柔軟な姿勢を見せています。
TikTokの今後の課題と焦点
TikTokの売却が成立する場合、以下のポイントが大きな焦点となります。
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アルゴリズムの取り扱い
- TikTokの独自アルゴリズムが米国でどのように使用されるか。
- コンテンツの配信フローにおける安全性の確保。
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データの取り扱い
- 米国ユーザーのデータをどのように管理・保護するか。
- 米国と中国の間でのデータ流出リスクをどう排除するか。
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米国政府の関与の範囲
- 米国政府がTikTokの運営にどのような関与をするのか。
- 新たな規制や法的措置の検討も視野に入る可能性。
まとめ
TikTokの売却問題は、国家安全保障、ビジネス、データ保護といった多くの要素が絡む極めて複雑な交渉です。トランプ政権は「4つの異なる買収グループと協議中」であると明言しており、4月5日までに結論が出るかどうかが注目されています。
もし売却が成立しなければ、TikTokは米国内で再び禁止される可能性もあります。ただし、トランプ大統領は期限のさらなる延長も示唆しており、今後の動向は不透明なままです。
TikTokの未来は、交渉の行方と米中両国の政治的な動き次第で大きく左右されるでしょう。
参照
Trump says TikTok deal is in the works. Here’s where things stand with the company