東ティモールで「ニセ警察詐欺」拠点を摘発、日本人7人含む16人拘束―偽の警察官から「あなた名義で不正な荷物が送られている」

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東ティモールで「ニセ警察詐欺」拠点を摘発、日本人7人含む16人拘束―偽の警察官から「あなた名義で不正な荷物が送られている」

インドネシアとオーストラリア近辺に位置する東ティモールの首都ディリで2026年10月2日、現地の科学犯罪捜査警察(PCIC)が詐欺コールセンターとして使われていたとみられる施設を捜索し、日本人7人を含む外国人16人を拘束しました。

現地報道によると、現場では日本の警察を装うための制服や帽子、警察を模した背景パネル、パソコン、携帯電話、Starlink端末などが押収されました。日本人を狙った電話詐欺に利用されていた疑いがあります。

CyberPressなど海外メディアは、押収された日本語のマニュアルに「電話先が一般家庭か企業か確認し、一般家庭には『あなた名義で不正な荷物が送られている』などと伝える」趣旨の手順が記載されていたと報じています。

この「荷物」を入口に警察官へつなぐ手口は、日本国内でも確認されています。三重県警は10月1日、運送会社を名乗る人物から「あなたの名前で送られた荷物の中に現金が入っていた」と告げられ、その後に警察官や金融庁職員を名乗る人物へ誘導され、計1,690万円をだまし取られた事件を公表しました。

東ティモールの詐欺拠点摘発のサマリー

  • 2026年10月2日、東ティモールのPCICが首都ディリの施設を捜索
  • 外国人16人を拘束し、このうち7人が日本人
  • 現地報道では、中国人4人、台湾人2人、カンボジア人1人を含み、残る2人は拘束時点で身元確認中
  • 日本の警察を装うための制服、帽子、警察を模した背景などを押収
  • パソコン、携帯電話、Starlink端末なども押収
  • 日本の警察官を装って日本国内へ電話する詐欺拠点だった疑い
  • 海外報道では「不正な荷物」を口実に一般家庭へ電話するマニュアルの存在も報じられている
  • 日本国内でも「あなた名義の荷物」を入口とするニセ警察詐欺が確認されている
  • 警察庁によると、2026年8月末までのニセ警察詐欺は6,346件、被害額728.6億円
項目 内容
摘発日 2026年10月2日
場所 東ティモール・ディリ
捜査機関 科学犯罪捜査警察(PCIC)
拘束者 外国人16人、日本人7人を含む
押収物 警察を装う制服・帽子・背景、PC、携帯電話、Starlink端末など
想定される標的 日本国内の個人
主な手口 日本の警察官を装った電話詐欺の疑い
国内の関連手口 「あなた名義の荷物」を口実に警察官へ誘導する詐欺

ディリのホテルを捜索、日本人7人を含む16人を拘束

東ティモールの現地メディアRAFAによると、PCICは10月2日未明、ディリのBecora地区にあるSola Hotelで詐欺コールセンターの疑いがある施設を捜索しました。

最初に14人を拘束し、逃走した2人についてもその後確保したと報じられています。

拘束された14人の内訳は、

  • 日本人7人
  • 中国人4人
  • 台湾人2人
  • カンボジア人1人

で、追加で拘束された2人については当時、身元を確認中でした。

現場には複数の小部屋があり、電話機などを配置してコールセンターのように利用していたとされています。

また、日本の警察を装うためとみられる警察風の背景、制服、帽子、無線機器のほか、パソコンや携帯電話、Starlink端末なども押収されました。

PCICは2026年に入り、ディリなどでオンライン詐欺や違法なコールセンターを相次いで摘発しています。

PCICは7月の摘発時にも、ミャンマー、カンボジア、ラオスなどで活動してきた国際犯罪ネットワークと関連する詐欺拠点が東ティモールへ拡大しているとの認識を示していました。

 

「一般家庭か企業か」を確認してから詐欺へ誘導か

CyberPressは、押収された日本語の詐欺マニュアルについて、電話先が一般家庭か企業かを確認する手順が記載されていたと報じています。

報道された手順では、

  1. 電話先が個人宅か企業かを確認する
  2. 企業だった場合は「間違い電話だった」などとして通話を終了する
  3. 一般家庭だった場合は通話を継続する
  4. 「あなた名義で不正な荷物が送られている」などと告げる

という流れだったとされています。

この詳細はPCICの公式サイト上では現時点で公表されていませんが、日本国内では酷似する手口が実際に確認されています。

三重県では「あなた名義の荷物」で1,690万円被害

三重県警は2026年10月1日、四日市市の50歳代男性が特殊詐欺で計1,690万円をだまし取られた事件を公表しました。

事件ではまず、運送会社を名乗る人物からメールが届きました。

男性が記載された電話番号へ連絡すると、

「あなたの名前で送られた荷物の中に現金が入っていた」

などと告げられ、その後、福岡県警の警察官を名乗る人物へ電話が代わりました。

さらに、

「あなた名義で作られた通帳が事件で使われている」

などと言われ、通信アプリで偽の警察手帳などを提示されました。

その後「口座のお金が犯罪に使われたものか確認する」などとして送金を要求され、現金50万円を振り込んだほか、金融庁職員を名乗る人物へ複数回にわたり計1,640万円を手渡しました。

東ティモールの事件との直接的な関係は確認されていません。

ただし、「荷物に問題がある」と告げた後に警察官を名乗る人物へ誘導する手口が、国内で実際に被害を発生させている点は共通しています。

ニセ警察詐欺は8月末までに6,346件、被害額728.6億円

警察庁が2026年10月2日に公表した統計によると、2026年1月から8月末までに確認されたニセ警察詐欺は6,346件でした。

被害額は728.6億円に達しています。

前年同期と比較すると認知件数は274件減少していますが、被害額は155.1億円増加しています。

期間 認知件数 被害額
2026年8月末 6,346件 728.6億円
前年同期比 274件減 155.1億円増

件数が前年同期を下回る一方、被害額は増えています。

警察庁は2026年から、急増している「ニセ警察詐欺」を独立した手口として統計上整理しています。

セキュリティ対策Labでも、警視庁や各県警を装ったニセ警察詐欺と偽サイトの手口を継続して確認しています。

制服・警察手帳・ビデオ通話も信用の根拠にならない

今回の東ティモールの摘発では、日本の警察を装うためとみられる制服や警察風の背景が押収されました。

警察庁も以前から、犯人がビデオ通話で制服姿を見せたり、偽の警察手帳や逮捕状を提示したりするニセ警察詐欺を確認しています。

警察庁は次のように注意喚起しています。

  • 警察官が突然SNSのビデオ通話で連絡することはない
  • 警察手帳や逮捕状の画像をSNSで送ることはない
  • 「資金調査」などを理由に個人口座へ送金させることはない
  • 相手から教えられた電話番号へ折り返さず、自分で警察署の番号を調べて確認する

映像に制服姿の人物が映っていることや、背景に警察の名称・紋章が表示されていることは、本物の警察官である証明にはなりません。

実在する警察署の電話番号が表示されるケースも

ニセ警察詐欺では、着信画面だけで真偽を判断することも難しくなっています。

警察庁は、犯人が実在する警察署などの電話番号を発信者番号として偽装表示する手口を確認しています。

実際に愛知県警察本部の代表番号が表示された電話から、

「あなた名義の口座が不正に開設されている」

「資金洗浄事件の容疑者になっている」

などと告げられ、SNSへ誘導された被害も確認されています。

そのため、

「表示されている番号が警察署と一致する」

という理由だけで電話を信用しないことが必要です。

一度電話を切り、自分で警察の公式サイトから代表番号を確認してかけ直します。

電話で「荷物」「口座」「逮捕状」が出たら一度切る

今回の国内外の事例から、ニセ警察詐欺の入口では複数の設定が利用されています。

例えば、

  • あなた名義の荷物から現金や違法物が見つかった
  • あなた名義の銀行口座が犯罪に使われている
  • あなたの携帯電話が事件に関係している
  • あなたに逮捕状が出ている
  • 犯人を逮捕したらあなたのカードが見つかった

などです。

話の設定が異なっていても、その後に、

「警察へ電話を代わる」
「SNSへ移動する」
「ビデオ通話を開始する」
「口座を調査するため送金する」
「秘密の捜査なので家族に話さないよう求める」

と進む場合は、ニセ警察詐欺を疑う必要があります。

電話を切って警察相談専用電話「#9110」、または自分で調べた最寄りの警察署へ相談してください。

東ティモールでは国際的な詐欺拠点の摘発が続く

今回の事件は、東ティモールで確認された初めての詐欺コールセンターではありません。

PCICは2026年7月、ディリ市内でオンライン詐欺拠点に対する複数の摘発を行っています。

7月18日のPCIC公式発表では、ディリの2か所で52人を拘束し、架空投資などを使って国外の被害者を狙うオンライン詐欺拠点だった疑いがあるとしています。

PCICはこうした詐欺コールセンターについて、国際犯罪組織の長期的な活動の延長線上にあると説明しています。

東南アジアでは近年、ミャンマーやカンボジアなどで大規模な詐欺拠点への摘発が進んでいます。その結果、犯罪グループが周辺国へ活動拠点を移す動きも国際機関から指摘されています。

企業でも警察を名乗る電話を個人判断で処理しない

今回報じられたマニュアルでは、企業への電話は途中で切り、一般家庭を狙う手順だったとされています。

ただし、警察や行政機関を名乗るソーシャルエンジニアリングは企業でも発生しています。

実際、セキュリティ対策Labでは2026年8月、警察官を名乗る人物からの電話を受けた社員が、名刺管理システムから約5,000件のデータをダウンロードして送信した安藤ハザマの情報漏洩事案を報じています。

企業では、捜査機関や官公庁を名乗る相手から、

  • 顧客情報
  • 取引先情報
  • 社員情報
  • アカウント情報
  • 送金
  • システム操作

を求められた場合、担当者個人だけで対応しない運用が必要です。

法務、コンプライアンス、情報システム部門などを通じて、相手の所属機関へ公式な連絡先から確認する手順を決めておくことで、電話によるソーシャルエンジニアリングの被害を抑えられます。

出典